絶対零度の悪役令嬢

コトイアオイ

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1.攻略対象者との初接触

王子は作るもの

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 夜、ベッドの上で部屋の天井を見上げながら物思いにふける。


静まり返った夜に、ほうっと自分の溜息が響く。


…落ち着け私。王子もまだ若いんだから。お互いまだ10歳だ。この数年を経て、皆が群がるいい男に成長するんだろうし。



「はぁ…。少女漫画とはいえ、最初から出来た人なんていないわよねそりゃ。」



まぁ、でも彼ならば恋愛感情も抱けそうにないから、ヒロインとドロドロの取り合いとかにはならないだろう。そこは安心した。



…そうだ!王子のあの許し難い言動を思い出して、私はひらめいた。私が攻略対象者よりも格好良くなればいいのでは!?そうすれば、彼らに惚れることもなく、修羅場に巻きこまれずに平穏な人生を遅れるんじゃないだろうか。自分よりかっこ悪い男に惚れるか?いや、普通惚れないはず。


クリスティーヌ・ウォレス、脱悪役令嬢を狙うと共に、格好良い人になれるよう頑張ります。


クリスティーヌはやる気に満ちていた。まだ見ぬ攻略対象者は少なくとも三人いるはずだが、王子があれなのだから王子の友人も似たようなものかもしれない。


止める者もいないので、クリスティーヌは迷走した考えのまま決意を固めた。その夜、ぐっすり快眠だったことは言うまでもない。


ーーー


はい、どうも。新生クリスティーヌ・ウォレスです。

この間の決意から暫く経ったが、その間に私は剣の腕も磨いた。力では男に敵わないが、速さで勝てるよう練習した。

ところで、剣を習うのは意外とためになった。ダンス同様、姿勢が良くなるし、何より度胸がつく。


そうして、私が決意も新たに迎えた本日は、親戚の娘の誕生パーティがあり、そこに私は招かれたのだ。パーティ多いよこの世界…とは、突っ込んではいけない。



今までも多少はパーティに顔を出したことはあるが、今日は初めてパーティに臨む気分がしてドキドキと鼓動が速い。


私の野望(長生きしたい)のため、私は生まれ変わるのだ。


敢えて、髪の毛は編み込みなどせず、魔法実演の時のように簡単に後ろで一本にくくっている。そして、服装もまた公爵令嬢としてのドレスではなく、貴族令息が着るような服を着ていた。


もちろん、正式な式典では今まで通りドレスを着るつもりだ。今日はあくまでも、自分に喝を入れるためにこの服装を選んだ。大事なのは服ではなく、心の持ちようと行動である。でも、動きやすいから、私的なパーティでは男装でいようかなぁ…。


意外なことに父は好きなようにして良いと言ってくれた。無理な婚約に少し罪悪感を覚えているのかもしれない。
その一方で、母が猛反対した。ぼんやりと母を説得した時のことを思い出す。


ーーー



「お母様、家に迷惑はかけません。難癖をつけられようものなら、私の持てる全ての力をもって排…解決してみせます」



強い決意を持って母を見つめる。ついでに、前世の本で見た騎士をイメージして、母の手を取り、手の甲に口付けてみる。これは、またまたやり過ぎただろうか…?


しかし、母は顔を赤らめて目をそらす。あれ、何かいけそう。すると、同じ部屋にいた兄が我慢出来ないとばかりに吹き出す。



「これは、母上の負けだね。やぁ、小さな騎士様の誕生だ!」



こうして、兄の後押しもあり、私の男装は許可されたのだ。アスター兄様ありがとう。兄様は一番に認めてくれた。「面白そうだね」と笑いながら。思うのだが、兄はよく笑う。たまに笑顔が怖いけど、爽やかイケメンさんだ。



兄をお手本にすれば、簡単な気がしてきた。見た目に関しては、私と兄は年こそ離れてはいるものの、非常に似た面立ちをしている。
あとは、中身と行動を磨くのみだ。



ーーー



パーティ会場で招待状を見せると、二度見されることはしばしばあったが、家の中の広いホールへと案内される。そして、部屋に足を踏み出した途端、沢山の視線を感じた。


そりゃあそうだ。誰?あの人という言葉が不思議と聞こえる気がする。


会場に集まっている人々の顔をサラリと見渡して、軽くお辞儀をする。そして、顔を上げて名乗りを上げる。



「ウォレス公爵が娘、クリスティーヌ・ウォレスでございます。この度は素晴らしい会にお招きいただき、誠にありがとうございます」


クリスティーヌの声は、ホール全体に通る。その声は少女だからこその高さを持っていたが、凛々しい顔に堂々とした立ち居振る舞いからは少年らしさが溢れていた。クリスティーヌの中性的な危うい魅力に周りがざわつく。


そして、クリスティーヌは挨拶の締めに、兄の笑顔を思い出しながら、微笑んでみる。




…会場に悲鳴が響いた。




「アスター様?小さなアスター様がここにおられるわ!!」




「何言っているの、アスター様ではないわ!クリスティーヌ…クリス様よ!!」



こうして、誕生パーティは異様な盛り上がりを見せたのだった。
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