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強制参加
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お節介な魔法使いによって、ドレスに着替えさせられ、強制的に馬車に乗り込まされたアリステラ。
現在、空の一人旅を満喫中だった。
「おぉ~!夜空が綺麗…。」
馬車の窓から見下ろす景色は絶景だ。濃紺の空に瞬く無数の星が宝石のように見える。家に灯る僅かな光もまた、それはそれで趣きを感じさせる。
外から見れば、尋常ではない速度で飛ぶ馬車だったが、中からは普通に景色を楽しむことが出来る。まさに、魔法の産物ならではのものだ。あの魔法使いは、挙動こそ不審でも、腕は確かだったらしい。とはいえ、今頃シリルによって何かしらの制裁を加えられていそう。アリステラに過保護なシリルが、あの魔法使いをただで帰すとは思えない。
魔法使い、頑張れ。
その場にいないアリステラはそう思う他なかった。
体感時間30分程で、馬車は動きを止めた。何事かとアリステラは馬車の窓から辺りを見回す。既に日が落ち、暗い中では周りがあまり見えない。ただ、向こうに見える白い城門を除いて。
「あ、もしかして、空飛んでたらおかしいから、近くに来たら地上を走るとか?」
アリステラの予想は当たっていたようで、馬車は音もなく地上に降り立ったかと思えば、そこから地面を疾走し始める。それでも衰えないのはその速度だ。
アリステラは知らなかったが、この時既にパーティー参加の締切は迫っていた。馬車はそれ知ってか、城門までを一気に駆け上がる。坂でも気にせず力強く走り抜けてくる馬車に、門番達がぎょっと驚く。
「お、おいおい、ありゃ何だ化け物か」
「え、あそこ、坂だよな…何あの速度」
ドン引きしている門番の前で、馬車は急ブレーキをかけて止まる。それでも、中に座るアリステラに何も影響がないのが不思議なところか。
馬車の窓から、アリステラが門番に声をかける。
「あの、すみません…。色々あってこのパーティーに強制参加することになったみたいなんですけど…」
アリステラもよく分かっていないので、そのセリフはどこかちぐはぐである。
しかし、門番はアリステラを一目見るや、顔を真っ赤にして背ける。小刻みに震えるその指で城を指差し、アリステラを場内へ案内してくれた。
「何あの美少女!!化け物馬車からとんでもないのが出てくると思ったら、超可憐な少女だった!」
門番2人は意外な展開に騒ぐ。彼らはきっととんでもない醜女が出てくるのでは、もしくは鬼女でも来るかと思い込んでいたのだ。それほどあの馬車の速度は常識外だったということである。
一方、アリステラはパーティー会場に通されたが、その会場の煌びやかさに目を細めた。シャンデリアの光も、女達の色とりどりのドレスの色彩も、アリステラにとっては煩わしいものだった。
「うわぁ、色に酔いそう…。美味しいもの適当に摘んで帰ろ」
花より団子派だったアリステラは、小皿を手に料理を物色し始めた。
現在、空の一人旅を満喫中だった。
「おぉ~!夜空が綺麗…。」
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魔法使い、頑張れ。
その場にいないアリステラはそう思う他なかった。
体感時間30分程で、馬車は動きを止めた。何事かとアリステラは馬車の窓から辺りを見回す。既に日が落ち、暗い中では周りがあまり見えない。ただ、向こうに見える白い城門を除いて。
「あ、もしかして、空飛んでたらおかしいから、近くに来たら地上を走るとか?」
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アリステラは知らなかったが、この時既にパーティー参加の締切は迫っていた。馬車はそれ知ってか、城門までを一気に駆け上がる。坂でも気にせず力強く走り抜けてくる馬車に、門番達がぎょっと驚く。
「お、おいおい、ありゃ何だ化け物か」
「え、あそこ、坂だよな…何あの速度」
ドン引きしている門番の前で、馬車は急ブレーキをかけて止まる。それでも、中に座るアリステラに何も影響がないのが不思議なところか。
馬車の窓から、アリステラが門番に声をかける。
「あの、すみません…。色々あってこのパーティーに強制参加することになったみたいなんですけど…」
アリステラもよく分かっていないので、そのセリフはどこかちぐはぐである。
しかし、門番はアリステラを一目見るや、顔を真っ赤にして背ける。小刻みに震えるその指で城を指差し、アリステラを場内へ案内してくれた。
「何あの美少女!!化け物馬車からとんでもないのが出てくると思ったら、超可憐な少女だった!」
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一方、アリステラはパーティー会場に通されたが、その会場の煌びやかさに目を細めた。シャンデリアの光も、女達の色とりどりのドレスの色彩も、アリステラにとっては煩わしいものだった。
「うわぁ、色に酔いそう…。美味しいもの適当に摘んで帰ろ」
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