オーバーパワード! ~最強勇者と最強魔王~

正島まさし

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1.襲撃

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 この異世界を救うべく、地球から召喚された俺の4ヶ月以上にわたる旅も、ようやくクライマックスを迎えるところだ。
 俺と、俺のパートナーのエディスは、魔王を倒すべくその居城に乗り込み、今まさに最上階への階段を登っているところだからだ。

「ダイチ」
 17歳の若さでありながら、この異世界で最高の魔法使いであるエディスが、僕の名を呼ぶ。

「わたしたち、ずいぶん遠いところまで来たね」
「……そうだな」
 俺はうなずく。
 不気味な黒い石でできている階段を登りながら。

「ねえ、ダイチ」
 爽やかな黄緑色のエディスの前髪。
 その下に見える彼女の表情は少し憂いの色を帯びている。

「魔王を倒したら、ダイチは元いた世界に帰るんだよね。精霊の神殿の、あの『門』をくぐって」
「そうだな」
 そうしたらこの世界とも、エディスともお別れだ。二度と会えないだろう。
 そう思うと切ない。俺の16年の人生で、かつて感じたことがないほどに。

「ねえ、ダイチ」
 エディスのその声に、俺は彼女がなにか大事な事を言おうとしているのを感じて、足を止めて彼女の方を見る。

「ダイチは前に誘ってくれたよね。魔王を倒したら、二人で『門』をくぐろうって。いつまでも、ダイチのもとの世界でいっしょに生きようって」
「ああ……無理を言って悪かった」
 チクリと胸が痛む。
 そう、エディスはその申し出を断ったのだ。エディスにしてみれば、生まれ育ったこの世界との永遠の別れになるのだから無理もない。

「あのね……もう一度……誘ってくれないかな……」
 目をうるませて。エディスが、まっすぐに僕を見ていた。
 俺の胸に喜びの予感があふれる。

「それって……」
 俺は、

 ドゴオオオオオ!

 ……轟音とともに地面に突き刺さった石の柱を、紙一重で躱した。
 まるで弓で矢を射るように、電柱のような大きさの石の柱を、何かが射出したらしい。

「エディス!」
「大丈夫!」
 上がる砂埃で視界は遮られるが、名前を呼んで無事を確認する。

「ほう……さすがだな、今のを躱すか」
 どこからともなく、相当に低い不気味な声が聞こえる。

「どこだ!? どこから?」
 前を見ても後ろを見ても、敵らしい姿は見えない。

「上!」
 エディスの声。
 上を見ると、巨大な人間の形をした何かが、真上から飛び降りて来るのが見えた。
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