オーバーパワード! ~最強勇者と最強魔王~

正島まさし

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11.槍を持った女

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 ずいぶん長いこと話をした後、俺はおばば様の家を出た。
 日は高く登ってる。昼近くの時間のようだ。
 俺はおばば様が話した言葉のいくつかを反芻する。

『いいかい。あんたにはとても大切な役目がある。あんたの役目に、とても大きなものの運命がかかっているんだ。』

『だから役目を果たすまで死んじゃ駄目だよ。一つしかない命を大事にね。いつか記憶を取り戻し、役目を果たすまでね』

『それは、あんたにしか果たせない役目なんだ……』

「役目……か」
 俺は一人つぶやく。
 そんな事言われても、その役目が思い出せないんじゃ、どうすればいいんだろう。
 途方に暮れていると。

 一人の女が、向こうの方から小走りに、こちらに駆けてくるのが見えた。
 待っていると、背中に槍を背負ったその女は、俺の前で止まってニカッと笑った。

「よ! 行き倒れ! 復活したみたいだな!」
「お、おう」
 女の気さくな挨拶に、ちょっと気圧され気味に答える。

 女、と言ったけど、女の子というべきだろうか。
 俺よりいくつか歳上なぐらいに見えた。二十歳前だろうか?
 目のさめるような赤い髪が印象的だ。

「で、お前誰なの」
「名前はダイチ……だと思う。それ以外はよく思い出せない」
「マジで!? え、じゃあさ、おまえ手の色変じゃん。なんで?」
「いや、それもちょっと……思い出せなくて……」
 なんなんだこの人。
 顔立ちはかなり整っている。非の打ち所がないかも知れない。でも何ていうか、ちょっと表情が男っぽいんだよな。

「えー? じゃあさじゃあさ、お前顔とか首はそんな変な色じゃないじゃん。手は灰色じゃん?どこから灰色になってるの?」
「さ、さあ……」
「なんだよ、そんなのちょっと脱げば分かるじゃん、ほら、シャツ脱いで」
「え、ちょっと……」
 女の子が俺のシャツを脱がそうとするので、仕方なく自分で脱いだ。

「おおー。結構鍛えた体だな! んで、胸も腹も割と普通の色だけど、肩のところで急に色が灰色に変わってるんだな。変なのー」
「お、おう」
 ほんとに何なのこの女。
 遠慮なさすぎだろう。
「まるで両腕切り落とされちゃって、そこに灰色の両腕をくっつけたみたいだなー」
「え……」
「ああ、キモいこと言っちゃった? ごめんな」
 両腕を切り落とされる……なんだか、そんなことが実際にあったような気がした。
 気のせいだろうか……?
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