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小鳥の鳴き声で、俺は目を覚ます。
ベッドから身を起こし、室内を見回す。
(見覚えのない部屋だ……ここは、どこだ?)
壁のしっくいも剥がれかけた、あまり使われてなさそうな部屋。
俺が寝ていたのも、壊れかけの粗末なベッド。
とりあえず外に出ようとしてドアに手を伸ばし、視界に入った自分の手に違和感を持つ。
肌が、石みたいに灰色だ。
俺の肌の色はこんな色だっただろうか?
ドアを開けると、爽やかな外の風景が広がっていた。
ここは山の中にある村というところだろうか。
レンガ造りの家や、白い壁の家がポツポツと建っている。
「とりゃー!」
「やー!」
小さな子供たちが、木の棒でちゃんばら遊びをしている。
「おーい、ちょっとー」
俺は子供たちに声を掛ける。
「あ、起きたんだ!」
子供たちの中の幼い女の子が素っ頓狂な声を上げる。
「おばば様に知らせに行かなくちゃ!」
「あたし、行ってくる!」
そう言った女の子がどこかに走っていく。
「兄ちゃん誰ー?」
「なんで倒れてたのー?」
残りの子供たち質問を投げかけてくる。
「ええと、ちょっと待って……トイレどこにあるか教えて」
俺は格好悪いと思いながらも、先程から感じていた腹痛に耐えかねて、そう聞いた。
その後、俺は「おばば様」という人と会う事になった。
昼間でも薄暗い、窓のない部屋に案内された。
そこにいた「おばば様」は、やはり相当に歳を重ねた老婆だった。
「よく来たね。ささ、そこにかけて」
「どうも……」
俺は言われるままに、おばば様の対面の席に座る。
「あんた、記憶をなくしてるね。なにか思い出せることは?」
いきなり、おばば様はそう言った。
(え……記憶?)
俺はそう言われて、何かを思い出そうとして、ようやく自分が記憶喪失なのを自覚した。
「ええと……俺の名前は……ダイチ……」
かろうじて自分の名前は思い出せた。
「他には?」
「ええと……よく分からないです、でも、すごく大事な何かを無くしてしまったような、そんな気がします」
「ふむ……実はね、あんたの記憶を覗かせてもらった」
「記憶を? ……そんな事ができるんですか」
「ああ、あんたね、すごく辛い目にあったんだ」
「そう、ですか」
辛い目にあった実感はないが、俺はそう答えた。
「そう、あんたみたいに辛い目にあった人間は稀だよ。極めて稀だね。それで、あんたの魂は耐えられなくなって、記憶を封印しちまったのさ。……もし、今、一度に記憶を取り戻しでもしたら、今度こそあんたは発狂して、廃人になってしまうだろうね」
おばば様はそう言った。
ベッドから身を起こし、室内を見回す。
(見覚えのない部屋だ……ここは、どこだ?)
壁のしっくいも剥がれかけた、あまり使われてなさそうな部屋。
俺が寝ていたのも、壊れかけの粗末なベッド。
とりあえず外に出ようとしてドアに手を伸ばし、視界に入った自分の手に違和感を持つ。
肌が、石みたいに灰色だ。
俺の肌の色はこんな色だっただろうか?
ドアを開けると、爽やかな外の風景が広がっていた。
ここは山の中にある村というところだろうか。
レンガ造りの家や、白い壁の家がポツポツと建っている。
「とりゃー!」
「やー!」
小さな子供たちが、木の棒でちゃんばら遊びをしている。
「おーい、ちょっとー」
俺は子供たちに声を掛ける。
「あ、起きたんだ!」
子供たちの中の幼い女の子が素っ頓狂な声を上げる。
「おばば様に知らせに行かなくちゃ!」
「あたし、行ってくる!」
そう言った女の子がどこかに走っていく。
「兄ちゃん誰ー?」
「なんで倒れてたのー?」
残りの子供たち質問を投げかけてくる。
「ええと、ちょっと待って……トイレどこにあるか教えて」
俺は格好悪いと思いながらも、先程から感じていた腹痛に耐えかねて、そう聞いた。
その後、俺は「おばば様」という人と会う事になった。
昼間でも薄暗い、窓のない部屋に案内された。
そこにいた「おばば様」は、やはり相当に歳を重ねた老婆だった。
「よく来たね。ささ、そこにかけて」
「どうも……」
俺は言われるままに、おばば様の対面の席に座る。
「あんた、記憶をなくしてるね。なにか思い出せることは?」
いきなり、おばば様はそう言った。
(え……記憶?)
俺はそう言われて、何かを思い出そうとして、ようやく自分が記憶喪失なのを自覚した。
「ええと……俺の名前は……ダイチ……」
かろうじて自分の名前は思い出せた。
「他には?」
「ええと……よく分からないです、でも、すごく大事な何かを無くしてしまったような、そんな気がします」
「ふむ……実はね、あんたの記憶を覗かせてもらった」
「記憶を? ……そんな事ができるんですか」
「ああ、あんたね、すごく辛い目にあったんだ」
「そう、ですか」
辛い目にあった実感はないが、俺はそう答えた。
「そう、あんたみたいに辛い目にあった人間は稀だよ。極めて稀だね。それで、あんたの魂は耐えられなくなって、記憶を封印しちまったのさ。……もし、今、一度に記憶を取り戻しでもしたら、今度こそあんたは発狂して、廃人になってしまうだろうね」
おばば様はそう言った。
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