欲望

♚ゆめのん♚

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1話 私たち

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昼間が似合わない。
道端には大量のゴミ。
そのゴミをカラスが漁っている。
見慣れた光景。
外国人観光客がキャリーケースを引きながら歩いている
その中身はドンキで買った大量の化粧品なのだろうか。
少し長めの横断歩道を渡ると
《歌舞伎町一番街》と書かれている門がある。
そう。ここは東京のど真ん中、新宿・歌舞伎町。
主人公の橘 凛(たちばな りん)【21】が生まれ育った場所。
新宿・歌舞伎町の欲望な物語が今、始まる。


紫の蝶がプリントしてある黒い柄シャツを着て
黒いロングスカートを履いている
ヘッドフォンで椎名林檎の「本能」を聞いて
歩いてるのが今回の主人公、橘 凛(たちばな りん)【21】

今日も外国人観光客が多いな。
外国人観光客の波をかき分けて歌舞伎町を歩く。

歩いていると、昼間からキャッチをしているホストが目に入る。
昼間からご苦労さん。

歌舞伎町の突き当たりを右に曲がると、喫茶店 「和」の看板が出ている。
私は祖父母が営んでいる喫茶店の後継者。
凛はヘッドフォンを首にかけ
喫茶店のドアを開けると祖父が棚の中にコーヒーカップを綺麗にしまっていて
店には誰1人来ていなかった。

凛の祖父「凛。おかえりなさい」
凛「ただいま、おじいちゃん」
凛の祖父「相変わらず、人は多かったか」
凛「外国人観光客とホストのキャッチが凄かったよ」
凛の祖父「そうか。」

あまり多くを語らない祖父だが街はどうなっているかだけは、良く聞いてくる。
若いころ、破天荒で遊び人だったと祖母から聞いていただけあり
今の若い子の状況が気になっているのかな。

実際、外国人観光客もホストやキャバ嬢も増えているが
行き場を無くしトー横で生活をしている子供、トー横キッズ
ホストにハマりまくっている、ホス狂
歩きながらスマホで動画を撮っている、インフルエンサー
ぼったくり居酒屋のキャッチ
そんな所が増えている。

消えていくのは逮捕者か、隠れて消された人たち。

そんな事を考えていると店のドアの鈴がなった

“カランカラン”

高身長、ダンディなオーラがダダ漏れなパーマのイケメンが入ってきた。
この男は、大我。
イケおじホストとして今、新宿で売れているホストさんなのだ。

凛「いらっしゃいませ」
大我「あら、凛ちゃん、今日も可愛いね」
凛「営業なら外でしてくださいよ」
凛は強めの口調でそう答える。

大我「営業じゃないって。本当のことなのにな」
まぁた、この人は相変わらず口が上手だな。
凛「はいはい。今日は何を頼みます?」
大我「ホットティーで」
いつもホットコーヒーを頼むはずなのに。今日は紅茶? 気分かな。
凛「かしこまりました。」

凛は伝票にホット1と書いてキッチンに向かう。

大我は席で深いため息をつく。

凛「大我さんがため息なんて珍しいっすね」
大我「ちょっと脇腹軽く切られちゃって」
凛「ふぇ?」
凛はキッチンから急いで大我に駆け寄る。

大我の脇腹には包帯が何重にも巻かれていた。

凛「なにがあったんですか!?」
大我「そこの路地で全身黒の服装で
          バイクのヘルメットを被った人に脇腹を....」
凛「え」

私は言葉を失った。


――3年前――
〇歌舞伎町の路地裏
    凛の受験合否発表の日だった。

涼しい風が吹く。

凛は、父と母の3人で
受験合否を見る前に気晴らしに外食に行く道中だった。
前から全身黒の服装をしてバイクのヘルメットを
被ってる人が前から歩いてきた。

どんなバイクに乗っているのかなぁ。と思った瞬間、
その人は、父の左の脇腹を右手に持っている刃物で切った後、
母の左の脇腹も切りつけて去っていった。

凛「お父さん!お母さん!」

必死に2人のことを呼ぶが反応が全くない。

だめだ。
震える手でスマホを出し110のボタンを押す。

地面は赤く染まるだけで私ただ叫ぶことしか出来なかった。

「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

気づいたら、凛は耳を塞いで震えながらしゃがんでいた。

大我「凛ちゃん、大丈夫?」

“カランカラン“

地雷系コーデをし、ピンク髪のツインテールをした女・田中 絵梨花【26】がお店に走って入ってくる。

絵梨花「凛!大丈夫?!凛!」
凛は息を荒らげながら頷く。

絵梨花「深呼吸だよ。凛!」
絵梨花のゆう通り、ゆっくり深呼吸をすると落ち着いてきた。

凛「ありがとう。絵梨花」
大我「凛ちゃんってこうゆうことよくあるの?」
絵梨花「大我、なんか余計なこと言ったでしょ」

強めな口調でそう言っている
絵梨花は、大我に貢いでいるお客さん。
いわゆるホス狂なのだ。

大我「いや、俺は...」
絵梨花「いいや。凛、大丈夫?」
凛「うん。だいぶ。落ち着いてきた。ありがとう」
絵梨花「良かった!」
大我「なんか...ごめん」
凛「いやいや驚かせちゃってごめんなさい!」
絵梨花「これは、大我が悪いね!今日シャンパン半額!」
大我「なんで、絵梨花になんだよ!」

喫茶店「和」に笑いが起こる。

こんな平和な毎日がずっとずっと続くと思っていた。
崩れていくなんて...
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