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第二章 クエストに向かう少女、やり過ぎる
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「あら~ツルカさん!」
「どうも、受付嬢さん。今日も受けに来たよ」
ツルカに話しかけてきたのは、以前冒険者カード制作を担当してくれた受付嬢だった。
「今日もいっぱいクエストあるわよ~。ささっ、見てって見てって~!」
「あ、うん……分かった」
「いつもツルカさんには助けられてるんだから~。仕事も完璧にこなして、クエストの依頼主からも好評! Cランク冒険者の鑑だよ~! 今日も頑張って。応援してるぅ~!」
受付嬢は鼻歌をうたいながら意気揚々と持ち場に戻っていく。
クエストをやらないわけにいかない最大の理由は、こうして期待されてしまっているからだ。これほど期待されてしまっては、切実なツルカも断れない。
「……イワトカゲ討伐。やりすぎたなぁ」
《仕方ないです。実際、マスターは世界最強……とも言えます。今から約二百年前。グランドシオルを滅ぼしかけた、神々にも比肩しうると伝えられている伝説の魔王『マリアネ』の力を、マスターは保有するのですから……》
「う、うん……」
《グランドシオルの頂点に立つマリアネの力は、世界を掌握することができるほどの力を持ちます。討伐したイワトカゲだって、マスターが生み出した波動だけで木っ端微塵に破裂してしまったではありませんか……。拳を突き出しただけでしたのに》
「この姿も……そいつの全てなんだよな。今の時代に二百年前の魔王の実体を知る奴なんてなかなかいるわけないし、何も疑われないんだもんな……」
ツルカは断固とした精悍な色を満面に塗りたくると、震えるほどに拳を握った。
「自分は自分じゃない。でも、あいつは俺に全部くれたんだ。だったら、無駄にしたくないじゃん。あいつは悪いやつじゃなかった。それは、アイナも思うだろ」
《残念ながら理解し兼ねます。ですが、マスターの思いは少なからずアイナも感じます》
その時、ある言葉がツルカの脳裏をかすめる。記憶の扉をこじ開けられたかのように浮かび上がった彼女の言葉は、ツルカの心を苦しいほどに締め付けた。
『──────いつか、また勇者と出会えるなら。その時はしっかりと謝りたい。人族を殺めたことを……この口で……な』
過去を回顧する度、ツルカは憂いに沈むばかりだった。いつも勢いだけで生きているツルカとは、全くの別人だ。
《マスター。気分が悪いのですか?》
「……いや、全然~。よしっ」
ツルカは大きく首を振って頬を叩いた。
「叶うなら俺の口から言ってやりたいもんだな……。いつまでもネガティブになってたら進まないぜ! おっしゃ、早速、クエストでも見てみるか~!」
と、ツルカがクエストボードへと目を通し始めた時である。つんつん、とツルカは背後から肩を突かれた。
「はぁい────んー⁉」
「こんにちは、ツルカ=ハーラン様」
なんとそこには、数名の騎士団がツルカを睨むように立ちはだかっていたのだ。予想外の事態に、ツルカは挙動不審に周りをキョロキョロと見渡す。
(あれ、あれ────ッ⁉ 俺、騎士団に目をつけられるようなことした⁉)
一般的に町の徘徊や王城の守衛を任されている騎士団は、滅多なことがない限り庶民に話しかけることなどない。簡単な職務質問は時々されると聞くが、ツルカのような子どもに質問することもないだろう。だが、こうやって指名されるということは、自覚がなくとも騎士団に目を付けられる何かをしたことになる。
「あ、あのー……なにか……?」
冒険者ギルドは沈黙に支配され、騎士団による無言の圧力が引き続きツルカを襲う。
ツルカは恐怖に打ち震えながら、立ち尽くすしかなかった。
「どうも、受付嬢さん。今日も受けに来たよ」
ツルカに話しかけてきたのは、以前冒険者カード制作を担当してくれた受付嬢だった。
「今日もいっぱいクエストあるわよ~。ささっ、見てって見てって~!」
「あ、うん……分かった」
「いつもツルカさんには助けられてるんだから~。仕事も完璧にこなして、クエストの依頼主からも好評! Cランク冒険者の鑑だよ~! 今日も頑張って。応援してるぅ~!」
受付嬢は鼻歌をうたいながら意気揚々と持ち場に戻っていく。
クエストをやらないわけにいかない最大の理由は、こうして期待されてしまっているからだ。これほど期待されてしまっては、切実なツルカも断れない。
「……イワトカゲ討伐。やりすぎたなぁ」
《仕方ないです。実際、マスターは世界最強……とも言えます。今から約二百年前。グランドシオルを滅ぼしかけた、神々にも比肩しうると伝えられている伝説の魔王『マリアネ』の力を、マスターは保有するのですから……》
「う、うん……」
《グランドシオルの頂点に立つマリアネの力は、世界を掌握することができるほどの力を持ちます。討伐したイワトカゲだって、マスターが生み出した波動だけで木っ端微塵に破裂してしまったではありませんか……。拳を突き出しただけでしたのに》
「この姿も……そいつの全てなんだよな。今の時代に二百年前の魔王の実体を知る奴なんてなかなかいるわけないし、何も疑われないんだもんな……」
ツルカは断固とした精悍な色を満面に塗りたくると、震えるほどに拳を握った。
「自分は自分じゃない。でも、あいつは俺に全部くれたんだ。だったら、無駄にしたくないじゃん。あいつは悪いやつじゃなかった。それは、アイナも思うだろ」
《残念ながら理解し兼ねます。ですが、マスターの思いは少なからずアイナも感じます》
その時、ある言葉がツルカの脳裏をかすめる。記憶の扉をこじ開けられたかのように浮かび上がった彼女の言葉は、ツルカの心を苦しいほどに締め付けた。
『──────いつか、また勇者と出会えるなら。その時はしっかりと謝りたい。人族を殺めたことを……この口で……な』
過去を回顧する度、ツルカは憂いに沈むばかりだった。いつも勢いだけで生きているツルカとは、全くの別人だ。
《マスター。気分が悪いのですか?》
「……いや、全然~。よしっ」
ツルカは大きく首を振って頬を叩いた。
「叶うなら俺の口から言ってやりたいもんだな……。いつまでもネガティブになってたら進まないぜ! おっしゃ、早速、クエストでも見てみるか~!」
と、ツルカがクエストボードへと目を通し始めた時である。つんつん、とツルカは背後から肩を突かれた。
「はぁい────んー⁉」
「こんにちは、ツルカ=ハーラン様」
なんとそこには、数名の騎士団がツルカを睨むように立ちはだかっていたのだ。予想外の事態に、ツルカは挙動不審に周りをキョロキョロと見渡す。
(あれ、あれ────ッ⁉ 俺、騎士団に目をつけられるようなことした⁉)
一般的に町の徘徊や王城の守衛を任されている騎士団は、滅多なことがない限り庶民に話しかけることなどない。簡単な職務質問は時々されると聞くが、ツルカのような子どもに質問することもないだろう。だが、こうやって指名されるということは、自覚がなくとも騎士団に目を付けられる何かをしたことになる。
「あ、あのー……なにか……?」
冒険者ギルドは沈黙に支配され、騎士団による無言の圧力が引き続きツルカを襲う。
ツルカは恐怖に打ち震えながら、立ち尽くすしかなかった。
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