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第五章 教官ツルカ率いるギルド、危険種と遭遇する
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《シールド全壊……マリアネ様の頑丈さにより何とか生きながらえる事に成功……。いや、死にたいのですか。かなり無茶ですよ》
「こればっかりは……なんかムカついてくるなぁ⁉」
頬を伝う血を手で拭い、ツルカは恐ろしく顔を顰めて黒竜を睨み据える。
無詠唱魔法は効力が大きく低下する代わりに、即座に完成させることができる。さらには発動率も低下するため、一般的に無詠唱魔法を行うのは腕に自信がある者や、先ほどのように緊急時でしか使われない。
「凄い……。ツルカちゃん、あんな攻撃でさえ防ぐなんて」
「何故だ……。あの方は、何故あそこまで手加減している……⁉」
「手加減……?」
意味の分からない女の発言に、マリナは小首を傾げる。
「……なに、違う。よく感じれば、『存在』がまるっきり異なる⁉ だがしかし、あれほど瓜二つな事があるものなのか……」
光が一向に差さないほどの懐疑心に口端を吊り上げる女に対し、マリナは依然として小首を傾げていた。
「さぁてどうしてやろうかね。まずはあんたの顔面もう一回蹴らせてくれないかねェ⁉」
ツルカは猛然と駆け出し、黒竜の顔面に向かって全力の一蹴を決め込もうとしたが、黒竜の瞳が怪光を放つと同時に、ツルカは途端に押しつぶされるかのような感覚を覚える。
「な、なんだこれっ……!」
身体がまるで重くなったかのように、ツルカは立つこともままならない。
《黒竜による重力魔法『グラビティ・マニュピレーション』の付与を確認。マスターのみ、現在の重力が十倍になっています!》
「っ……やべえ、立ち上がれねえ……!」
身動きがとれないツルカへ巨大な足音を立てながら迫る黒竜。黒竜はツルカの目前で一度足を止めると、しばらくして大きな片足をゆっくり上げた。
「なんもできねぇ……っ!」
そして、黒竜は足でツルカを踏み潰そうとした────
「『グラビティ・マニュピレーション』ッ!」
ナユが大慌てで唱えた魔法により、ツルカは強制的に横へと移動。吹き飛ばされたかのように地面を転がって土に塗れる。
「いてっ……擦り傷どころの騒ぎじゃねえな、はは……」
ツルカの腕には火傷に加え、皮膚ごと抉られたかのような擦り傷が拵える。
「良かった……。無詠唱だから心配だったけど、上手くいった」
重力魔法『グラビティ・マニュピレーション』。ナユと同じく黒竜が使用した重力系統の魔法で、対象の重力を操る事が可能。重力魔法は相手の行動を大幅に制限することのできる阻害魔法で、付与され支配下に置かれた場合はツルカの様に手出しすら不可能となる。
であれば対処法は何なのか。それは、同じ重力魔法だ。対象が重力魔法により支配されているなら、同じ重力魔法で対象を支配下にすればいい。よって、ナユは黒竜の支配下であったツルカの重力を同じ魔法で操って見せたのだ。
「マリナっ、あのドラゴンの気を引いてっ!」
「分かった!」
マリナが一本の矢を空に向かって放ったと同じタイミングで、ナユは痛手を負ったツルカの元へと疾走した。
「分散しろっ、『レインアロー』!」
するとマリナが放った一本の矢は空中で分裂していき、数が増していく。やがて空に点々とする矢は閃光の如く黒竜へと降り注ぐ。黒竜は翼で体を覆うようにして、延々と迫り来る矢から身を守る。その間にナユがツルカの元へ到着した。
「だ、大丈夫⁉ 酷い怪我だよ……」
「何してるんだ、手を出すなって言ったろ」
「うるさいっ! こんな怪我を負って何を言っても、まったく説得力ないの!」
ナユは怒っているような顔つきだったが、どこか優しい雰囲気だった。そんな中途半端な表情で、ナユはツルカに回復魔法を唱える。傷口に温かい光の粒子が募り、みるみる癒されていく。全ての傷は完治しなかったものの、支障なく動けるほどにまで改善した。
「あ、ありがとう。助かった。次は絶対負けねえから────」
「何を言ってるの⁉ 私達も戦うんだよ!」
「こればっかりは……なんかムカついてくるなぁ⁉」
頬を伝う血を手で拭い、ツルカは恐ろしく顔を顰めて黒竜を睨み据える。
無詠唱魔法は効力が大きく低下する代わりに、即座に完成させることができる。さらには発動率も低下するため、一般的に無詠唱魔法を行うのは腕に自信がある者や、先ほどのように緊急時でしか使われない。
「凄い……。ツルカちゃん、あんな攻撃でさえ防ぐなんて」
「何故だ……。あの方は、何故あそこまで手加減している……⁉」
「手加減……?」
意味の分からない女の発言に、マリナは小首を傾げる。
「……なに、違う。よく感じれば、『存在』がまるっきり異なる⁉ だがしかし、あれほど瓜二つな事があるものなのか……」
光が一向に差さないほどの懐疑心に口端を吊り上げる女に対し、マリナは依然として小首を傾げていた。
「さぁてどうしてやろうかね。まずはあんたの顔面もう一回蹴らせてくれないかねェ⁉」
ツルカは猛然と駆け出し、黒竜の顔面に向かって全力の一蹴を決め込もうとしたが、黒竜の瞳が怪光を放つと同時に、ツルカは途端に押しつぶされるかのような感覚を覚える。
「な、なんだこれっ……!」
身体がまるで重くなったかのように、ツルカは立つこともままならない。
《黒竜による重力魔法『グラビティ・マニュピレーション』の付与を確認。マスターのみ、現在の重力が十倍になっています!》
「っ……やべえ、立ち上がれねえ……!」
身動きがとれないツルカへ巨大な足音を立てながら迫る黒竜。黒竜はツルカの目前で一度足を止めると、しばらくして大きな片足をゆっくり上げた。
「なんもできねぇ……っ!」
そして、黒竜は足でツルカを踏み潰そうとした────
「『グラビティ・マニュピレーション』ッ!」
ナユが大慌てで唱えた魔法により、ツルカは強制的に横へと移動。吹き飛ばされたかのように地面を転がって土に塗れる。
「いてっ……擦り傷どころの騒ぎじゃねえな、はは……」
ツルカの腕には火傷に加え、皮膚ごと抉られたかのような擦り傷が拵える。
「良かった……。無詠唱だから心配だったけど、上手くいった」
重力魔法『グラビティ・マニュピレーション』。ナユと同じく黒竜が使用した重力系統の魔法で、対象の重力を操る事が可能。重力魔法は相手の行動を大幅に制限することのできる阻害魔法で、付与され支配下に置かれた場合はツルカの様に手出しすら不可能となる。
であれば対処法は何なのか。それは、同じ重力魔法だ。対象が重力魔法により支配されているなら、同じ重力魔法で対象を支配下にすればいい。よって、ナユは黒竜の支配下であったツルカの重力を同じ魔法で操って見せたのだ。
「マリナっ、あのドラゴンの気を引いてっ!」
「分かった!」
マリナが一本の矢を空に向かって放ったと同じタイミングで、ナユは痛手を負ったツルカの元へと疾走した。
「分散しろっ、『レインアロー』!」
するとマリナが放った一本の矢は空中で分裂していき、数が増していく。やがて空に点々とする矢は閃光の如く黒竜へと降り注ぐ。黒竜は翼で体を覆うようにして、延々と迫り来る矢から身を守る。その間にナユがツルカの元へ到着した。
「だ、大丈夫⁉ 酷い怪我だよ……」
「何してるんだ、手を出すなって言ったろ」
「うるさいっ! こんな怪我を負って何を言っても、まったく説得力ないの!」
ナユは怒っているような顔つきだったが、どこか優しい雰囲気だった。そんな中途半端な表情で、ナユはツルカに回復魔法を唱える。傷口に温かい光の粒子が募り、みるみる癒されていく。全ての傷は完治しなかったものの、支障なく動けるほどにまで改善した。
「あ、ありがとう。助かった。次は絶対負けねえから────」
「何を言ってるの⁉ 私達も戦うんだよ!」
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