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第1章
ローン会社との交渉
しおりを挟む「では、ここから九州ローンに電話して仮交渉します。これで先方が納得してくれると即解決なんですが…… 向こうの声が聞こえるようにしますが、向こうが都合の良い事言ってきても慌てて反論とかしないで、とりあえず聞いておいてから違う所をメモしておいて下さい。」
新田は請求書を見ながらモニターのボタンを押した後に電話番号を押した。
「お電話ありがとうごさいます。九州ローンでごさいます」
とても明るく可愛らしい声の事務員さんだ。
「えー、弁護士の新田と申しますが、岩田来夢さんの債務についてしっかり話のわかる方をお願いしたいのですが?」
「どのような内容でしょうか?」
さっきの声と同一人物かと疑っても良いレベルの低い声で聞いてきた。
「偽造された借用書は無効で返済分の全額返金請求、及び連帯保証人の削除を要求する話になるのでさっさと話出来る人に繋いでもらえるかな? 」
「担当に繋ぎますので少々お待ち下さい」
トーンが更に低くなった。この子は怒らせたらヤバい奴だな……
「もしもし、支店長の佐々山と言いますが何やら難癖をつけてきていると言うお話ですが?」
「弁護士の新田と申しますが、難癖なんてとんでもない! むしろ難癖つけてるのはお宅の方ですよ?
岩田来夢さんの件ですが、まず連帯保証人の欄の筆跡は似ているように書いてますが本人の自筆ではありません。印鑑証明の陰影も印鑑証明から作られた印鑑を使用していますので本人の承諾が無い保証人は無効です。速やかに全額を返金して連帯保証人の欄から中野真理さんと二人を外して頂きたい」
「その借金はご本人さんも認めて何度かお支払い頂いているので弁護士の先生様が出しゃばって出てくる話では無いですよ?」
「本人は最初から一貫して認めてませんよね?」
「じゃなんで払うんだよ! 認めたから払ってるんだろ? 認めて無いならそこで裁判とかすればいいのに、支払ってるんだから認めたんだろ? まっ、先生もゼロ回答じゃ立つ瀬も無いだろうから残りの983,200円はまけといてやるよ。これで借金0になるからいいだろ?」
「ぬしゃああ!人ば、なめちょるど? 昨年の9月にぬしんとこの社員がゆーっととわかっとっとばい!」
(お前は人をなめているんだろう?昨年の9月にお前のところの社員が言っているのはわかっているんだよ!)
「昨年9月26日に山下って社員が岩田さんに対して、書類が偽装かどうか問題はない、書類が揃っていれば借金は成立するんだから、さっさと諦めて払えよ。もしも貴方が払わないなら、もう一人の中野さんに請求するだけだからどっちでもいいよ。中野さんって来年早々結婚も決まって幸せそうだね。このタイミングで借金とか破談にならないといいけどね?岩田さんって身寄りもないんでしょ?いざとなったら生命保険って手もあるし、まだまだ若いからお金になるお店紹介しようか? うちの系列ならすぐ働けるし、会社終わったあとのアルバイトでもいいよ?そんな会話してますよね? ボイスレコーダーに入っているのでしらばっくれても仕方ないですよ? 他にも色々問題になるような言動が収められていますけどどうしましょうか? 登録貸金業者さんで番号もらってますよね? 納得できるお返事がなければ明日にでも九州財務局の金融監督課へ報告しに行こうと思っているのですが……」
「いや…… ちょっと待ってください……」
「待たんよ、さっさと返事して! あれだったら御社の顧問弁護士と直接話してもいいから…… とりあえず30分以内に連絡頂戴、1分でも過ぎたら徹底的にするから、脅迫やらなんやらも含めて徹底的にね!! じゃ3時までに返事してな!!」
受話器を置くと新田はとびきりの笑顔を来夢に向けた
「ごめんね!! びっくりしたかな?興奮すると方言が出ちゃうんだよな」
「ちょっとびっくりはしました。ちょっと怖い系の人っぽかったです」
「まぁしばらく休憩しよう、向こうから電話あるだろうから、それまでコーヒータイムだ」
新田が内線で何か話をしてしばらくすると事務員さんが、ロールケーキとコーヒーを運んで来た。
『来夢俺はちょっと外出してくるにゃ、だからケージに放り込むふりしてくれにゃ』
「ちょっとネコちゃんが寝ちゃったのでケージに寝かせますね」
「おぉそうですか、可愛いですね! 帰り際に抱っこさせてもらってもいいですか?」
新田が恐ろしい事を言ってきた……
男にこねくり回されたくないよ~
「もしも起きていて機嫌がよければいいですよ」
断れって言う前に返事しやがった…… 寝たフリしておこう……
ケージに入れられた俺はすぐさま転移で九州ローンのキャビネットの上に転移した。朝から来夢が洗濯をするとか言っていたので、俺はちょっと出てくると言って九州ローンの会社を探して転移ポイントを決めておいたのだ。
ロビーのあるキャビネットから見下ろすが、事務員の女性くらいしかいない。最初に電話を取ったのはこの女性だろう。お客さんもいないのでスマホをいじくっている。仕事しろよ…… 違う部屋を探そう…… 認識阻害の魔法をかけて支店長を探す。
支店長室とか無く、支店長は応接間で電話をしていた。弁護士と相談しているようで、先程の話を説明していた。俺はそのままソファーの下に潜り込みボイスレコーダーをセットした。ヤバいホコリが鼻に入ってムズムズする…… クシャミをしそうになる寸前にキャビネットに転移したが、転移するとクシャミがクシュン!クシュン!と出てしまった!! バレたかと思ったら事務員はイヤホンまでしてスマホいじりをしていた……
仕事しろ!もっと床掃除しろ!
クシャミが収まったので再度応接室へ転移して、今回は隅っこで聞き耳を立てていた。
「……よろしくお願いします」
弁護士との会話は終わったようだ。レコーダー回収して帰るか…… そう思っていたら支店長はどこかに又掛け始めた。
「伊山さんですか? 伊山さんから紹介してもらった岩田って女ですが、弁護士が出てきて全部持っていかれそうなんですが…… ええ…… はい…… そうですね…… じゃそういう段取りでお願いします」
紹介? どういうこと?
聴力強化を掛け電話の内容を聞いていたらとんでもないことが判明した。
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