【短編if】聖女はそっちなんだから俺に構うな!

ネオン

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【省吾が聖人で田辺さんがおまけだったらIF】③

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◇◇◇

 次の日の午前中は、メイドのミルさんにこの世界のことを色々教えてもらった。何と、この世界って同性婚OKなんだって! しかも子供まで出来るとか……。マジ神! ちなみにミルさんの恋人も女の子なんだってww うち自身はノーマルだけど、BLもGLも愛でる分には大好物だから、働くとしたら色んなカップルを見ることが出来るような所がいいなあ――。なんて思いを馳せていると、国王様に顔を見せにいかないといけないんだって! 北川は聖人だから仕方ないけど、うちは別に良くない? ミルさんにそう言うと、巻き込まれたと言っても、召喚を行った側としてはしっかり国王様もうちのことを把握する必要があるんだって。めんどいし別に良いんだけどなあ。

 小さい頃に七五三の写真を撮る時に着せてもらったようなヒラヒラなドレスを着せられる。どっちかというとカジュアルな服装が好きなうちは、何かヒラヒラ過ぎて落ち着かない。それによりにもよってピンク! 薄ピンクだけどさ、十六歳にもなってピンクのドレスは恥ずかしい気がする……。でも、アジア人あるあるで、歳より幼く見えるらしくって、大人っぽい色のドレスより似合うって言われてしまった。ツインテールだけは断固拒否したよ! 普段自分でツインテすることもあるけど、このドレスでツインテしたら完全に子供……。ヒールの靴を用意してもらったけど、履きなれてないから、足が痛くなりそう――。

 謁見の間っていうところまで、昨日部屋まで案内してくれた侍従さんが連れて行ってくれた。

 北川を見てびっくり! 前髪上げてるところ初めて見たけど、垂れ目がちな目も可愛いし、女顔なイケメンだった! 隠れイケメン来たーーっ!

 北川の服装は、紺色の細身のパンツで、上はヒラヒラこそしていないけど艶々したシルクの様な素材のシャツ、その上に上品な紺色のジャケットを羽織っている。さらに襟元は、碧色の紐を緩いリボン結びしたもので飾られていて、そのリボン結びの真ん中には金縁で囲まれた碧色の宝石が付けられている。

 北川に寄り添うように立っている王子様は、白を基調とした軍服の様な服装だった。所々金の糸で刺繍が施されていて、とてもよく似合っている。一つだけ気になるところを上げれば、襟元に飾られた物が少し地味だなって思った。だって、それ以外は目を見張るような白に金とゴージャスな感じなのに、黒い宝石のブローチって。このキラキラ王子ならもっと明るい色の方が似合うと思うんだけど――。あれっ!? もしかして、お互いの色ってやつなんじゃないの? よく貴族が出てくるような漫画とか小説でさ、お互いの瞳の色や髪の色を服装に取り入れるっていう描写見掛けるよね。そう思ったら、王子様の襟元の黒いブローチは北川の瞳と髪の色だし、北川のリボンと宝石は王子様の瞳の色で、宝石の周りの金細工は髪の色よね。うん。尊いわ。きっと北川は王子様のその意図に気付いてないけど、良いんじゃない!? 溺愛の予感ww

 国王様はイケオジだった。一方的にこの世界に呼びだしたことを謝ってくれて、北川は魔王討伐に行かなきゃいけないけど、うちは街に出たいってことを伝えると、生活基盤が整うまでサポートするのは勿論だけど、最低でも十年間は生活費くれるって! その間に安定した収入を得られる仕事に就かなければね。国王様が言うには、うちの容姿なら高位貴族に嫁ぐことも出来るし、そしたら働く必要もないから、紹介しようか? だって――。それもありかなぁとも思うけど、うちには野望があるから、どうしても街で働きたい!

 同性カップルを身近で愛でたいんよ! それだけは譲れない。そんな理由をぶっちゃけていう訳にもいかないから、この世界のことを知りたいし街で働いてみたいんですってそれっぽい理由を言ってみたけど、国王様は気が変わったらいつでも貴族とのお見合いをセッティングするから遠慮しないようにって言った。結構押しが強いから、どっかの貴族と結婚させたいんだろうな。その方が安心だろうし。

 謁見が終わって、北川に「かっこいいじゃん」って声掛けたら「田辺さんもそのドレス似合ってるね」だって。それを横で聞いてた王子が不機嫌そうで、はいヤキモチですね!? リアルBLご馳走様ですっ! 
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