【短編if】聖女はそっちなんだから俺に構うな!

ネオン

文字の大きさ
3 / 9

【省吾が聖人で田辺さんがおまけだったらIF】②

しおりを挟む
「あの――」

 うちに発言権なんてないとは思うけど、気になるから声を上げる。

「お嬢さん、どうかなさいましたかな?」

 すぐに返事をしてくれたのは神殿長だった。王子様は北川のことを見詰めたままうちのことは無視! 露骨すぎて逆にウケるww 

「話を聞いた限り、北川が聖人で間違いないんですよね?」

「はい。ショウゴ様が聖人様ですね」

「ですよね! それでですね、うちってば巻き込まれただけのただの一般人な訳じゃないですか?」

 うちがそう言うと北川は置いてかないでって感じでうちを見てきた。でも生BLは捨てがたいけど、このままここにいるのはどうかと思うし、ここで怯んじゃったらせっかく声を上げた意味がなくなっちゃうから、ごめんって思いつつ無視して続ける。

「この話し合いって、一般人のうちが聞いたら不味いと思うんですよね――。場違いっていうか――」

「北川は気の毒だとは思うけど、うちは聖人でも何でもなくてただの一般人ですし~、ここで魔王討伐の話とか、瘴気の話とか聞いていても役に立てる訳でもないじゃないですか? それにうちらって、元の世界にはもう戻れないって言うし、北川は聖人だし忙しくなりそうだけど、うちは一般人としてここで生きて行かなきゃならないってことじゃん? だから取り合えず住むところと仕事を探さなきゃって思ってて――」

 うちがそう言いかけると、北川の腕を掴んだままの王子様がやっとうちの方を見てくれた。早く北川と二人っきりになりたいんだろうね? さっきまで無視してた癖に、うちがこの部屋を出たいって匂わせたら、速攻で喰いついてきた! そんな怖い顔しなくても、うちは北川には興味ないんで、睨まんで欲しいww

「タナベ殿、あなたはわたし共の聖女召喚に巻き込まれた、言わば被害者です。あなたの最低限の生活は、国が責任を持ってサポートさせて頂きますのでご心配には及びません」

 王子様が言うには、黒髪黒目ってこの世界にはいなくって、目立っちゃうから魔法で茶色に変えてから街に住むようになるらしい。うちは元々そこまで真っ黒じゃないけど、それでも変えた方が良いんだって。召喚の影響でか、言葉は理解できるし字も読み書きできるみたいだから、この世界の常識とかをお城で教えてもらって自立出来る知識を蓄えてから、何の仕事をしたいかとか決めて、住むところとかも手配してくれるって。

 確かにこの世界のこと何にも知らないのにいきなり街に出て、生活出来るかって聞かれたら分かんないとしか言えないし、少しの間お城でお世話になることにした。

 北川は本当は神殿で暮らさないとなんだけど、王子様がごねちゃってお城に住んで神殿に通うことになってたww 王子様もうぞっこんじゃん! 

「北川、聖人? 大変そうだけど頑張ってね! 魔王討伐とか、めったに経験出来ないんだし、終わったら話きかせてね」

 完全に他人事なうちは北川にそう声を掛けるけど、北川は何かブツブツ言ってる。えっ? 何?

「……ふつうはさ、こういう場合、美少女の田辺さんが聖女だろ……。なんで地味な男の俺が聖人なんだよ……。しかも王子は俺の腕ずっと離さないし……。ヒロインそこにいんじゃん! 田辺さんも田辺さんで、完全に他人事だし、本当に意味が分かんねえ。何でこうなった!? そもそも、魔法陣で引っ張られてたのって田辺さんだったじゃん……。何で助けようとして巻き込まれた俺の方が聖人なんだよ……」

 うわぁ……。めっちゃ病んでるぅ~! 気持ちは分かるよ!? でも、ごめんだけどうちにはどうすることも出来ないし、スルーするしかないっしょ。ごめん北川! 頑張ってね、バイバイ!

 王子様が手配してくれた侍従さんに案内されて、うちはお城のゲストルームに間借りすることになった。身一つで来ちゃったから、必要な下着とか衣類とかも用意してくれてまさに至れり尽くせり。

 疲れたしお風呂に入ろうとしたら、この部屋担当のメイドさんが体を洗ってくれるとか言って一緒に入ろうとするから、それは丁寧にお断りしたよ――。お姉ちゃんいるし、女同士で一緒に入るのは抵抗ないけど、洗われるとかは恥ずかしいから無理。それに使い方だけ教えてもらったら自分で出来るし! 今はここにいるけど、うちはいずれはお城を出る身だし贅沢を覚えたら良くないしね。庶民の感覚を忘れるのはダメだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

悪役キャラに転生したので破滅ルートを死ぬ気で回避しようと思っていたのに、何故か勇者に攻略されそうです

菫城 珪
BL
サッカーの練習試合中、雷に打たれて目が覚めたら人気ゲームに出て来る破滅確約悪役ノアの子供時代になっていた…! 苦労して生きてきた勇者に散々嫌がらせをし、魔王軍の手先となって家族を手に掛け、最後は醜い怪物に変えられ退治されるという最悪の未来だけは絶対回避したい。 付き纏う不安と闘い、いずれ魔王と対峙する為に研鑽に励みつつも同級生である勇者アーサーとは距離を置いてをなるべく避ける日々……だった筈なのになんかどんどん距離が近くなってきてない!? そんな感じのいずれ勇者となる少年と悪役になる筈だった少年によるBLです。 のんびり連載していきますのでよろしくお願いします! ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムエブリスタ各サイトに掲載中です。

塩対応だった旦那様の溺愛

詩河とんぼ
BL
 貧乏伯爵家の子息・ノアは家を救うことを条件に、援助をしてくれるレオンハート公爵家の当主・スターチスに嫁ぐこととなる。  塩対応で愛人がいるという噂のスターチスやノアを嫌う義母の前夫人を見て、ほとんどの使用人たちはノアに嫌がらせをしていた。  ある時、スターチスが階段から誰かに押されて落ち、スターチスは記憶を失ってしまう。するとーー  作品を書き直したものを投稿しました。

BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた

BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。 断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。 ーーそれなのに。 婚約者に婚約は破棄され、 気づけば断罪寸前の立場に。 しかも理由もわからないまま、 何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。 ※最終的にハッピーエンド ※愛され悪役令息

拗らせ問題児は癒しの君を独占したい

結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。 一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。 補習課題のペアとして出会った二人。 セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。 身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。 期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。 これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。

処理中です...