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ある事故の報告書(簡略版、一部抜粋)
しおりを挟むラースン村での火災事故について
マーディル暦2031年、06、05
正午過ぎ、青天にて発生。
場所は村最南端に位置する唯一の宿。その一角の物置小屋からの出火。
物置小屋自体の被害は軽度であったものの、内部の焼損は酷く、保管していた用具や物品は全焼。
発見者は宿の主人であるイレーヌ・カイマン。発見直前まで調理場で調理をしていたらしく、料理番で内縁の男性を探していた際に火災を発見。
直ぐに彼女は近隣住民へ救助を要請し、数人がかりで消火活動に当たった。
消火活動の甲斐あって火の手は間もなくして鎮火。周辺の木枝に一部燃え移ったものの、それ以上延焼することはなかった。
消火後、焼け跡からは判別不能の焼死体を発見。
イレーヌ・カイマンの話では死体は宿の料理番で内縁の男性で間違いないとのこと。
元々は古くなった樽の保管場所としていた物置小屋だが、彼女の証言では男性が常日頃から利用していたらしく、今回もそこで隠れて喫煙と飲酒をしていたと思われる。
一部の特徴が一致し、よって焼死体はその男性であると断定。
火災原因は煙草の不始末によるものと断定。
事件性は低いとし、この件は火災事故として軍が処理。
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