戦国三法師伝

とるもの

おはよう戦国、おはよう獄卒共よ

おはよう、今日も最高(難度)の1日だ！
君たち、何をそんなにギラギラとしているのかな？

言っておくが、その目はイケメンであろうがわずか2歳児に向ける目ではないぞ。ましてや傷だらけのおっさん共が！

ところで、なんでそんなにイケメンかって？
かの眉目秀麗たる織田家一門に連なる者なのだから当たり前ではないか。

皆には特別に我が名を特別に教えてやろうぞ、我こそは戦国の英雄にして第六天魔王が子の現織田家当主織田信忠が嫡男三法師である！

そう、まさに悲劇のプリンス岐阜中納言織田秀信とは我の事だ。

第六天魔王信長(じいちゃん)の血を引いて、将来は織田家惣領が決まっていたが、急転直下本能寺の変により(以下省略)没落を歩み僅か27歳でお亡くなりになられる人物であ～られる。

生まれてからこのかた、私の素晴らしき未来をどうすればよいのか悩みに悩み、不安な日々を過ごしているのだ！

まぁ、自分の将来を知っているというイレギュラーが創造されてるから話になるわけだけれども。

ある日、母ちゃんからスッポーンと生まれた赤子には平成日本で過ごしてきた歴史好きの俺の意識がそのままで、戦国時代に生まれたんだ赤子ながらに狂気乱舞(泣いてただけ)したもんだよ。
最初は嬉しいんだけども詳しく考えてくと悲劇の未来が待ってるわけよ、俺的にはさもっとイージーなのが良かったよ。
『某誰それの野望』のイージーモードで最速天下統一できるぐらに。

それ以外に目下最重要な悩みの種があってこの周囲を囲む地獄の獄卒並みのおっさん共もとい織田家家臣の事だ。

私に取り入らんとする者もいるが、私の家庭教師、私付きの護衛であるはずの性犯罪者ショタコン共である。

剣の修行をして、打ち倒された時の奴らの目！学問をして悩んでいる時の奴らの目！水浴びしている時の奴らの目！その他様々な時の奴らの目！

…奴らはイカれてやがる。

すでに2歳児であり、本能寺の変までわずか一年！時間がないのだ。
や、やめてくれ！そ、そこはダメなのだ！





その夜
「また傷を作って大丈夫なのですか三法師よ」と夜こう言ってくれる我が母、徳寿院が数少ない癒しである。

毎日傷を作る(作られる)俺は毎晩手当を受けながらあるお願いをしてる。
「母様、私は父上に会いに行きとうございます！」
「毎日、毎日どれだけお願いされても無理なものは無理なのですよ。三法師、旦那様はお忙しいのでございます」
「母上お願いします！」
「駄目です、我儘ばかり言っていては、早く寝なければまた明日の剣術の修行についていけませんよ」
「母上…どうか」
「三法師、母は行きますよおやすみなさい」と言い出て行ってしまった。

普段は岐阜にいるが正月なので現在京都二条城にいる父、その父である信忠を口実に信長に会いに行きたいが母が周りに許しを得てくれないために岐阜城から出る事が出来ていないのだ。

母は戦闘殺戮マシーン製造機関こと森家の者なので、強く言って、切れられかけた時は恐ろしくて仕方がなかった。それ以来強く言えずにこの有様なのだ。
それに2歳児の父親寂しさの我儘とも思われているのだろうからしょうがないとも思わないでもないが…
本能寺の変まであと1年に迫っている今どうすべきか…