2 / 4
とるもの
調略の時間1
しおりを挟む
岐阜城内のとある一室
「その様な事それがしには…」
「そこを何とか頼む、私をとき放ってくれ!」
「それがしではとてもではございませんが…」
「私を縛る物を解いてくれぬか、何でもする!お主でなければならぬのだ…」
「それがしは、その縄を解けませぬ、それがし自身のために、それがしの体の熱をさまさぬために」
断じていかがわしい事をしているわけではない、知らない人も多いだろうが織田信長は意外と親族に優しいのだ、弟が死ねば怒るし。
信長が殺した弟の息子をそれなりに大切にしたりと。
さらに天下を継ぐ息子には甘く、信忠には最初から武将として扱い雑用などはさせなかったのだから。
だからこそ会いに行かなければならない。
私は行かぬばならぬ安土に。
天下泰平(我が平穏)のために。
ジイジは孫にはさらに甘いはずなのだ!
だが、そのために母に『お出かけ』がしたいと言っても許してくれず、本能寺の変まであと1年半、方法を考えなければならない。
そこで、いくつか考えたのがこれ。
一つ目、家臣を接待して籠絡する。
二つ目、家臣を調略して味方につける。
三つ目、強行突破。
四つ目、平社員(足軽)を勝手に動員する。
五つ目、謀反を起こす。
一つ目は、2歳児が一人で接待の準備など不可能。
二つ目は、一番現実的。
三つ目は、既に失敗している。
四つ目は、従う者がいるのかわからないので保留。
五つ目は、自分でも理解不能、すなわち論外。
三つ目の既に失敗というのは、母の怖さと私の命を天秤にかけ辛うじて私の命の方が重かったので家臣を引き連れ京都に行こうとしたのだ。
が、母の侍女(メイド兼戦闘員)に捕まり失敗した。
その次の日は京都行きの物資に混ざって行こうとしたら運び人が母に密告したのだ。
現在は部屋に監禁の上、柱に縄で縛られている。
残念ながら、これでは何もできない…
あまりにおかしい!おかしい!おかしすぎる!お菓子は欲しいが。
これは未来(平成)幼児虐待に当たるはずなのだ
しかも私は織田の御曹司なのにだ!
しかもしかも縄が荒縄なのでチクチクと刺さって痛い…
それでも二つ目の調略の機会が来たのだ!
そう、目の前の彼だ。
何を隠そう、今部屋には岐阜城留守居役斎藤 利堯(さいとう としたか)君がいるのです。
私の監禁場所の見回りに来ているのだ、そこで彼を調略をいたします。
ちなみに彼はかの有名な斎藤道三こと美濃のマムシの息子さんである。
「その様な事(安土に行かせること)それがしには…」
「そこを何とか頼む、私を時放ってくれ!(岐阜城から出してくれ)」
「それがしではとてもではございませんが…」
「私を縛る物(禁令と物理的に)を解いてくれぬか、何でもする!お主でなければならぬのだ…」
「それがしは、その縄を(と禁令)解けませぬ、それがし自身のために、それがしの体の熱をさまさぬために(物理的に)」
「母上がそんなに恐ろしいのか!」
「恐ろしゅうございますとも。薙刀を持った徳寿院様は……若様も昨日の騒動を起こしたばかりではございませぬか」
「それでも男か!」
「若様も鳥肌が立っているではありませぬか」
2回目の強行突破に失敗し母の前に連れてかれた後、家臣の集まった(集められた)部屋に連れて行かれ、その中で薙刀を首に突きつけられ岐阜城の御殿からの外出禁止令が出されたのだ。
「三法師が御殿外へ出る事を禁ずる、そしてその手助けをする者、見逃す者も同罪である、妾に首切られたくなくば厳守せよ」と家臣の目の前で薙刀を持つ母に。
その時にもちろんながら斎藤利堯も同じ場所にいたのだ。
さすがは戦闘狂一族の血を引く者である。
が!が!が!こんな所でつまづいていられないのだ我が人生のために
「利堯、頼むこの通りだ」と懇願するも「若、これにてごめん」と服の裾を掴もうとした足の指が空をきりふすまを閉じる音がピシッとなった…
「その様な事それがしには…」
「そこを何とか頼む、私をとき放ってくれ!」
「それがしではとてもではございませんが…」
「私を縛る物を解いてくれぬか、何でもする!お主でなければならぬのだ…」
「それがしは、その縄を解けませぬ、それがし自身のために、それがしの体の熱をさまさぬために」
断じていかがわしい事をしているわけではない、知らない人も多いだろうが織田信長は意外と親族に優しいのだ、弟が死ねば怒るし。
信長が殺した弟の息子をそれなりに大切にしたりと。
さらに天下を継ぐ息子には甘く、信忠には最初から武将として扱い雑用などはさせなかったのだから。
だからこそ会いに行かなければならない。
私は行かぬばならぬ安土に。
天下泰平(我が平穏)のために。
ジイジは孫にはさらに甘いはずなのだ!
だが、そのために母に『お出かけ』がしたいと言っても許してくれず、本能寺の変まであと1年半、方法を考えなければならない。
そこで、いくつか考えたのがこれ。
一つ目、家臣を接待して籠絡する。
二つ目、家臣を調略して味方につける。
三つ目、強行突破。
四つ目、平社員(足軽)を勝手に動員する。
五つ目、謀反を起こす。
一つ目は、2歳児が一人で接待の準備など不可能。
二つ目は、一番現実的。
三つ目は、既に失敗している。
四つ目は、従う者がいるのかわからないので保留。
五つ目は、自分でも理解不能、すなわち論外。
三つ目の既に失敗というのは、母の怖さと私の命を天秤にかけ辛うじて私の命の方が重かったので家臣を引き連れ京都に行こうとしたのだ。
が、母の侍女(メイド兼戦闘員)に捕まり失敗した。
その次の日は京都行きの物資に混ざって行こうとしたら運び人が母に密告したのだ。
現在は部屋に監禁の上、柱に縄で縛られている。
残念ながら、これでは何もできない…
あまりにおかしい!おかしい!おかしすぎる!お菓子は欲しいが。
これは未来(平成)幼児虐待に当たるはずなのだ
しかも私は織田の御曹司なのにだ!
しかもしかも縄が荒縄なのでチクチクと刺さって痛い…
それでも二つ目の調略の機会が来たのだ!
そう、目の前の彼だ。
何を隠そう、今部屋には岐阜城留守居役斎藤 利堯(さいとう としたか)君がいるのです。
私の監禁場所の見回りに来ているのだ、そこで彼を調略をいたします。
ちなみに彼はかの有名な斎藤道三こと美濃のマムシの息子さんである。
「その様な事(安土に行かせること)それがしには…」
「そこを何とか頼む、私を時放ってくれ!(岐阜城から出してくれ)」
「それがしではとてもではございませんが…」
「私を縛る物(禁令と物理的に)を解いてくれぬか、何でもする!お主でなければならぬのだ…」
「それがしは、その縄を(と禁令)解けませぬ、それがし自身のために、それがしの体の熱をさまさぬために(物理的に)」
「母上がそんなに恐ろしいのか!」
「恐ろしゅうございますとも。薙刀を持った徳寿院様は……若様も昨日の騒動を起こしたばかりではございませぬか」
「それでも男か!」
「若様も鳥肌が立っているではありませぬか」
2回目の強行突破に失敗し母の前に連れてかれた後、家臣の集まった(集められた)部屋に連れて行かれ、その中で薙刀を首に突きつけられ岐阜城の御殿からの外出禁止令が出されたのだ。
「三法師が御殿外へ出る事を禁ずる、そしてその手助けをする者、見逃す者も同罪である、妾に首切られたくなくば厳守せよ」と家臣の目の前で薙刀を持つ母に。
その時にもちろんながら斎藤利堯も同じ場所にいたのだ。
さすがは戦闘狂一族の血を引く者である。
が!が!が!こんな所でつまづいていられないのだ我が人生のために
「利堯、頼むこの通りだ」と懇願するも「若、これにてごめん」と服の裾を掴もうとした足の指が空をきりふすまを閉じる音がピシッとなった…
10
あなたにおすすめの小説
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
if 大坂夏の陣 〜勝ってはならぬ闘い〜
かまぼこのもと
歴史・時代
1615年5月。
徳川家康の天下統一は最終局面に入っていた。
堅固な大坂城を無力化させ、内部崩壊を煽り、ほぼ勝利を手中に入れる……
豊臣家に味方する者はいない。
西国無双と呼ばれた立花宗茂も徳川家康の配下となった。
しかし、ほんの少しの違いにより戦局は全く違うものとなっていくのであった。
全5話……と思ってましたが、終わりそうにないので10話ほどになりそうなので、マルチバース豊臣家と別に連載することにしました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末
松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰
第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。
本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。
2025年11月28書籍刊行。
なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
米国戦艦大和 太平洋の天使となれ
みにみ
歴史・時代
1945年4月 天一号作戦は作戦の成功見込みが零に等しいとして中止
大和はそのまま柱島沖に係留され8月の終戦を迎える
米国は大和を研究対象として本土に移動
そこで大和の性能に感心するもスクラップ処分することとなる
しかし、朝鮮戦争が勃発
大和は合衆国海軍戦艦大和として運用されることとなる
マルチバース豊臣家の人々
かまぼこのもと
歴史・時代
1600年9月
後に天下人となる予定だった徳川家康は焦っていた。
ーーこんなはずちゃうやろ?
それもそのはず、ある人物が生きていたことで時代は大きく変わるのであった。
果たして、この世界でも家康の天下となるのか!?
そして、豊臣家は生き残ることができるのか!?
小日本帝国
ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。
大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく…
戦線拡大が甚だしいですが、何卒!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる