51 / 683
第三幕 転生歌姫の新たなる旅立ち
第三幕 2 『幼女無双』
しおりを挟む
気分を切り替えて、依頼を遂行するために街の外に出た。
今回は北門から出て小一時間くらい歩いたところにある小さな森へとやって来た。
スオージの大森林のように鬱蒼としたものではなく、木漏れ日が心地よい、ピクニックにはうってつけの森だ。
街を出る前にお弁当を買ってきたので、ここで食べてもいいかな。
「ママ~、たくさんおはながさいてるよ」
「うん、そうだね~。そうそう、青いお花を見つけたら教えてね?」
「わかった!」
今回の依頼の品は『藍玉草』という、美しい青い花を咲かせる植物だ。
日当たりが良すぎても悪すぎても生育できないので、このようにある程度の木漏れ日が差すような森で見つけることができる。
根は胃腸の薬、葉は虫除け、未熟果は香水の原料になるらしい。
今回必要なのは根との事だが、丸ごと確保すれば良いだろう。
「あ、ママ!あったよ、あおいおはな!」
「どれどれ?うん、これだね!よく見つけたね~」
ナデナデ。
にへら~。
「えへへ」
「もう少し必要だから、この調子でもっと探そうね!」
「うん!」
その後、森の中を30分ほど歩き回って必要な分だけ採取する事が出来た。
ほとんどミーティアが見つけてくれたのだが、他の草花に混じっていても即座に判別するあたり相当目が良いのだろう。
これもスペックの高さの現れか。
「よし、必要な分だけ集まったし、ここでお昼ごはんにしようか?」
「わ~い!ごはんっ!」
ミーティアは食いしん坊だ。
隙あらば誰かしらに餌付けされてる。
誰か知らない人に連れてかれやしないかと、ママは心配だよ…
鞄からレジャーシートを取り出して準備しようとしたその時…
「!…何かいるね」
木々の向こう側に何らかの気配を感じた。
それも複数。
「まもの?」
「この辺りは魔物の生息域からは結構距離が離れてるはずなんだけど…」
だが、その情報とて完全とは限らない。
例の事件のときも大きく生息分布図が変わったのだから、今回も何らかの要因によって…と言う事もあり得る。
気配のする方を警戒していると、それはだんだんと近づいてきて…やがてそいつは姿を現した。
人型で身長は成人男性くらい。
でっぷりと肥え太った体躯は、腰蓑を身に着けただけで殆ど裸だ。
潰れた鼻、赤く濁った目、垂れた耳…その顔は豚によく似ていた。
「オークね。いち、にぃ、さん…全部で6体か」
脅威度はD。
人型で、ある程度の知能があり独自の文化を持ってたりするが、人語は解さず意思の疎通は取れない。
雌が存在せず、他種族を孕ませることで繁殖するという。
…どうやら私をその相手と見定めたらしい。
腰蓑の一部が盛り上がっているのが見えてしまった。
ゾゾゾッ!と、鳥肌が立った。
おのれ!
女の敵め!
焼豚にしてくれる!!
しかし、一匹一匹は大したことはないが、6体ともなると少し厄介だ。
私一人ならどうにでもなるけど、今回はミーティアを護りながら戦わなければならない。
魔法でまとめて殲滅しても良いけど、ソロでは詠唱時間が取りにくい。
しょうがない、囲まれないようにミーティアを護りつつ近づいてきたところを一匹ずつ仕留めるか。
そう方針を固めて私が身構えたその時…
「[ひょうそ~う]!」
少し間延びした可愛らしい声が響くと、オークの群れの中心に氷塊が出現し、鋭い槍となってオーク達を襲った!
ザシュッ!!
「「「ギャッ!!」」」
あっという間に3体を貫いて仕留める。
「へっ!?」
突然の出来事に思わず間抜けな声を漏らしてしまう。
「み、ミーティア?」
「ママをへんなめでみるまものは、やっつけるの![らいじゃ~]!」
バチバチバチッ!!!
残った3体のうち、2体に雷の蛇が這い回り、悲鳴を上げる間もなく倒してしまう。
「えいっ!」
ざんっ!
残る一体も、いつの間にか敵に接近したミーティアが振るった剣の一撃で簡単に首が飛んだ。
瞬く間の出来事だった。
えっ?
この子強すぎじゃない?
皆どんだけ教えてるの?
と言うか、魔法を教えたのは…姉さん、あんたもか!?
それに、その剣…
「み、ミーティア…その剣どうしたの…?」
「うにゅ?おじいちゃんにもらったよ?」
父さんんっ!?
幼気な女の子になんてものを渡すのっ!?
いや、そもそもどこから出したの!?
ママ、ツッコミが追いつかないよ!
「ママ!まものぜんぶやっつけたよ!」
「え、ええ…ありがとう…で、でも、あんまり危ないことはしないでね?」
い、いけない。
こんな小さなうちから命のやりとりをさせるなんて…
これは早急に情操教育が必要だわ!!
と、とにかく。
魔物の死体は早々に処理してここから離れよう…
オークに遭遇した場所から引き返して森の入り口まで戻ってきた。
取り敢えずここにレジャーシートを敷いてお昼ごはんにしよう。
しかし、あのオークたち…なんでこんなところに現れたんだろ?
また何か良くないことが起きなければいいけど…
「うわ~、おいしそうっ!」
「いっぱいあるから、たくさん食べてね」
「うんっ!いただきま~す!」
お食事の挨拶をしてミーティアは早速お弁当を食べ始める。
とっても幸せそうに食べるので、こっちも幸せな気持ちになる。
それにしても、本当に食べるのが好きだよねぇ…
夢中になって食べる姿は、まるで生の喜びを精一杯表現しているかのようだ。
本来であればこうやって普通に食事する事もできないはずだったんだものね…その反動なのかも。
あっ!?
ぼんやり見てたら私の分が無くなっちゃう!
もう、本当に食いしん坊なんだから…
「ごちそうさまでした!おなかいっぱい!」
「ふふ、よく食べたね。大きくなってね」
ナデナデ。
にぱ~。
「少し食休みしたら帰りましょうか」
「うんっ!」
あれだけたくさん食べたら、もう寝ちゃうかもしれないな。
帰りはおんぶかな?
そして、しばらく休んでいると、予想通りミーティアは寝息を立て始めた。
「やっぱり、どんなに強くてもまだまだ小さな子供だからね。…父さんたちにはよくオハナシしておかないとね?」
街に帰ったら皆説教だ、と思いながらミーティアを起こさないように抱き上げて、街へ帰るべくその場を後にした。
今回は北門から出て小一時間くらい歩いたところにある小さな森へとやって来た。
スオージの大森林のように鬱蒼としたものではなく、木漏れ日が心地よい、ピクニックにはうってつけの森だ。
街を出る前にお弁当を買ってきたので、ここで食べてもいいかな。
「ママ~、たくさんおはながさいてるよ」
「うん、そうだね~。そうそう、青いお花を見つけたら教えてね?」
「わかった!」
今回の依頼の品は『藍玉草』という、美しい青い花を咲かせる植物だ。
日当たりが良すぎても悪すぎても生育できないので、このようにある程度の木漏れ日が差すような森で見つけることができる。
根は胃腸の薬、葉は虫除け、未熟果は香水の原料になるらしい。
今回必要なのは根との事だが、丸ごと確保すれば良いだろう。
「あ、ママ!あったよ、あおいおはな!」
「どれどれ?うん、これだね!よく見つけたね~」
ナデナデ。
にへら~。
「えへへ」
「もう少し必要だから、この調子でもっと探そうね!」
「うん!」
その後、森の中を30分ほど歩き回って必要な分だけ採取する事が出来た。
ほとんどミーティアが見つけてくれたのだが、他の草花に混じっていても即座に判別するあたり相当目が良いのだろう。
これもスペックの高さの現れか。
「よし、必要な分だけ集まったし、ここでお昼ごはんにしようか?」
「わ~い!ごはんっ!」
ミーティアは食いしん坊だ。
隙あらば誰かしらに餌付けされてる。
誰か知らない人に連れてかれやしないかと、ママは心配だよ…
鞄からレジャーシートを取り出して準備しようとしたその時…
「!…何かいるね」
木々の向こう側に何らかの気配を感じた。
それも複数。
「まもの?」
「この辺りは魔物の生息域からは結構距離が離れてるはずなんだけど…」
だが、その情報とて完全とは限らない。
例の事件のときも大きく生息分布図が変わったのだから、今回も何らかの要因によって…と言う事もあり得る。
気配のする方を警戒していると、それはだんだんと近づいてきて…やがてそいつは姿を現した。
人型で身長は成人男性くらい。
でっぷりと肥え太った体躯は、腰蓑を身に着けただけで殆ど裸だ。
潰れた鼻、赤く濁った目、垂れた耳…その顔は豚によく似ていた。
「オークね。いち、にぃ、さん…全部で6体か」
脅威度はD。
人型で、ある程度の知能があり独自の文化を持ってたりするが、人語は解さず意思の疎通は取れない。
雌が存在せず、他種族を孕ませることで繁殖するという。
…どうやら私をその相手と見定めたらしい。
腰蓑の一部が盛り上がっているのが見えてしまった。
ゾゾゾッ!と、鳥肌が立った。
おのれ!
女の敵め!
焼豚にしてくれる!!
しかし、一匹一匹は大したことはないが、6体ともなると少し厄介だ。
私一人ならどうにでもなるけど、今回はミーティアを護りながら戦わなければならない。
魔法でまとめて殲滅しても良いけど、ソロでは詠唱時間が取りにくい。
しょうがない、囲まれないようにミーティアを護りつつ近づいてきたところを一匹ずつ仕留めるか。
そう方針を固めて私が身構えたその時…
「[ひょうそ~う]!」
少し間延びした可愛らしい声が響くと、オークの群れの中心に氷塊が出現し、鋭い槍となってオーク達を襲った!
ザシュッ!!
「「「ギャッ!!」」」
あっという間に3体を貫いて仕留める。
「へっ!?」
突然の出来事に思わず間抜けな声を漏らしてしまう。
「み、ミーティア?」
「ママをへんなめでみるまものは、やっつけるの![らいじゃ~]!」
バチバチバチッ!!!
残った3体のうち、2体に雷の蛇が這い回り、悲鳴を上げる間もなく倒してしまう。
「えいっ!」
ざんっ!
残る一体も、いつの間にか敵に接近したミーティアが振るった剣の一撃で簡単に首が飛んだ。
瞬く間の出来事だった。
えっ?
この子強すぎじゃない?
皆どんだけ教えてるの?
と言うか、魔法を教えたのは…姉さん、あんたもか!?
それに、その剣…
「み、ミーティア…その剣どうしたの…?」
「うにゅ?おじいちゃんにもらったよ?」
父さんんっ!?
幼気な女の子になんてものを渡すのっ!?
いや、そもそもどこから出したの!?
ママ、ツッコミが追いつかないよ!
「ママ!まものぜんぶやっつけたよ!」
「え、ええ…ありがとう…で、でも、あんまり危ないことはしないでね?」
い、いけない。
こんな小さなうちから命のやりとりをさせるなんて…
これは早急に情操教育が必要だわ!!
と、とにかく。
魔物の死体は早々に処理してここから離れよう…
オークに遭遇した場所から引き返して森の入り口まで戻ってきた。
取り敢えずここにレジャーシートを敷いてお昼ごはんにしよう。
しかし、あのオークたち…なんでこんなところに現れたんだろ?
また何か良くないことが起きなければいいけど…
「うわ~、おいしそうっ!」
「いっぱいあるから、たくさん食べてね」
「うんっ!いただきま~す!」
お食事の挨拶をしてミーティアは早速お弁当を食べ始める。
とっても幸せそうに食べるので、こっちも幸せな気持ちになる。
それにしても、本当に食べるのが好きだよねぇ…
夢中になって食べる姿は、まるで生の喜びを精一杯表現しているかのようだ。
本来であればこうやって普通に食事する事もできないはずだったんだものね…その反動なのかも。
あっ!?
ぼんやり見てたら私の分が無くなっちゃう!
もう、本当に食いしん坊なんだから…
「ごちそうさまでした!おなかいっぱい!」
「ふふ、よく食べたね。大きくなってね」
ナデナデ。
にぱ~。
「少し食休みしたら帰りましょうか」
「うんっ!」
あれだけたくさん食べたら、もう寝ちゃうかもしれないな。
帰りはおんぶかな?
そして、しばらく休んでいると、予想通りミーティアは寝息を立て始めた。
「やっぱり、どんなに強くてもまだまだ小さな子供だからね。…父さんたちにはよくオハナシしておかないとね?」
街に帰ったら皆説教だ、と思いながらミーティアを起こさないように抱き上げて、街へ帰るべくその場を後にした。
12
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる