114 / 683
幕間
幕間6 『レティシア』
私の名前はレティシア=モーリス、15歳の女の子だ。
突然だが、私には前世の記憶がある。
いわゆる転生者と言うやつだ。
それも、異世界転生だ。
何言ってんだ、頭大丈夫か?
そう言われるのは分かってるけど、事実だからしょうがない。
自分が転生したと気づいたのは、5歳の時だが…
まあ、その時の話は別の機会で。
ともかく私はこの世界に転生し、それから色々あったわけだが…今は夢の実現のために頑張っている。
この世界に鉄道を開通させる。
それが今の私の夢だ。
荒唐無稽とも思えたその夢は、少しづつ協力者も増えて…あともう一歩のところまで来た。
既に基礎的な技術は確立され、国家事業としても認可を受けて…あとは初の開業路線区間であるイスパルナ~王都間の工事と、営業に向けた細かな調整を行なうのみとなっている。
彼女と出会ったのはそんな時だった。
不思議な色合いの美しい髪に菫色の瞳の女神の如き美貌の少女。
事前に父に聞いていた話では彼女は15年前に行方不明になっていた王族の娘…つまりはこの国の王女と言う事だったのだが、それよりも衝撃的なことがあった。
王族の方ということなので少しアピールしておこうかな、と思って私のこれまでの活動の集大成である魔導機関車を見せようと機関庫に案内したのだが…
「これは…まさか、『蒸気機関車』?」
魔導機関車を見た彼女が呆然とした様子でつぶやいたのだが、その言葉の中にありえない単語が混じっていた。
『蒸気機関車』だって!?
いや、私の聞き間違いか…?
鉄道車両を開発する過程で蒸気機関も検討したのだが、それは断念している。
私が知る限り、この世界には蒸気機関はまだ存在しないはず…
そう思っていると、今度ははっきりと間違いようもなく彼女は言った。
『レティシアさん、これは蒸気機関車なんですか?』
!!
聞き間違いなんかじゃない!
この世界に転生したと分かったときから、もう二度と聞くことはないと思っていた言葉、日本語だ。
つまり、彼女は私と同じ…
『!!…いえ、機関車には違いないけど、蒸気で動くものではないですよ。私達は魔導力機関車と呼んでます』
私は呆然としかけたが、かろうじて返事をする。
もう二度と話すこともないと思っていた日本語は、自分でも意外なほどスムーズに口にする事ができた。
私のその言葉で、彼女も私が転生者であることを確信したようだった。
彼女ともっと話がしたい…!
だが、その場では他の人もいたのでそれ以上の話をすることはできなかったので、後で二人きりで話ができるようにこっそり約束をした。
最初は驚きが大きく、とにかく話がしたいという気持ちしか無かったが…
改めて二人きりになって、お互いが日本からの転生者であることをハッキリと確認したとき…抑えることのできない想いが急激に湧き上がってきた。
その感情に突き動かされて思わず彼女に抱きついて泣いてしまった。
うう…恥ずかしい…
だけど、それで素直な気持ちを吐露したおかげで、私とカティアはすぐに打ち解けることができたと思う。
もう、すっかり吹っ切れたと思ってたけど、やはりそう簡単に忘れることなどできないと言うことなのだろう。
今まで家族に支えられて、この世界での生き甲斐も見つけて…ただ眠っていただけの前世の世界への思慕が呼び起こされた…そして、私と同じ転生者がいることに、これ以上ないくらいの喜びを感じだんだ。
それから、いろいろと話をした。
彼女はとても気さくで話しやすく、私とも気が合ってすぐに仲良くなることができた。
転生の経緯は少し違うものの、私と同じく前世が男だという事も気が合う要因だったのかもしれない。
その事でアドバイスを貰ったりもしたが、まあ自分自身はなるようにしかならないと達観してたりもする。
彼女は彼女で、自分が王族である事と旅芸人一座の歌姫でもあることの板挟みで悩んでいるようでもあったので、私からもアドバイスさせてもらった。
急に自分が王族であると知ってもその責務を果たそうと考えるあたり、すごい生真面目なんだな~、と思った。
結局、遅い時間まで盛り上がってしまったが、最後の彼女の一言で新たにやることが出来てしまい、慌ただしく彼女の部屋を退出した。
営業開始までに、駅弁の計画を進めねば…!
先ずはウチの料理長にメニューの相談に乗ってもらわないと…それから業者選定の手はずとかも。
いろいろ検討し始めたら結局日が昇るまで考え込んでしまった…
前に徹夜したときにリディーに怒られてしまったし、少しでも寝ておくことにした。
カティアはこれから王都に向かうらしいし、今日ここで別れてもまた会うことができる。
だけど何だか離れ難く、いろいろと興味もあったので今日一日彼女に付き合うことにした。
列車の準備はリディーに伝言してお願いすることにした。
もう私が細かく指示しなくても色々なことが回るようになってきてるし、なんの心配もないだろう。
鍛錬場では彼女たちの実力の一端を見ることができた。
美貌の歌姫で凄腕の冒険者で大きな街一つを救う程の活躍を見せた英雄で…この国のお姫様って、転生チートを地で行ってるわ。
と思ってたら、そのあとに私も十分チートでしょって言われることになったのだが。
その後はディザール様の聖剣を借りるとかで総本山へ。
改めて聞くと凄い話なんだけど、それだけの難敵を彼女たちは相手してるってことなんだね。
神殿では私も試練に挑むことに。
少しでも彼女の力になりたくて、自然に口にしてたのだが役に立てただろうか?
ちょっと魔法には自信があったのだが、私がいなくても彼女たちならきっと問題なかっただろうな、と思ったのだが…
カティアとカイトさんの印の力は凄まじく、ドラゴン相手に肉弾戦を挑めるほどのものだった。
ミーティアちゃんも剣も魔法もかなりの腕前だし、一座の他の皆さんも猛者揃いと言う事だし…
やっぱり私には冒険者は無理だな~、って結論に達したよ。
そして、出発のとき。
これで一旦お別れかと思うと少し寂しいけど、またすぐに会うことができる。
カティアも学園に誘ったのだが、ほんとに一緒に学生生活ができたら凄く楽しそうだと思う。
何とか考えてくれないかな?
そんな、未来への希望を乗せて、私の…いや、私達の列車は出発したのだった。
突然だが、私には前世の記憶がある。
いわゆる転生者と言うやつだ。
それも、異世界転生だ。
何言ってんだ、頭大丈夫か?
そう言われるのは分かってるけど、事実だからしょうがない。
自分が転生したと気づいたのは、5歳の時だが…
まあ、その時の話は別の機会で。
ともかく私はこの世界に転生し、それから色々あったわけだが…今は夢の実現のために頑張っている。
この世界に鉄道を開通させる。
それが今の私の夢だ。
荒唐無稽とも思えたその夢は、少しづつ協力者も増えて…あともう一歩のところまで来た。
既に基礎的な技術は確立され、国家事業としても認可を受けて…あとは初の開業路線区間であるイスパルナ~王都間の工事と、営業に向けた細かな調整を行なうのみとなっている。
彼女と出会ったのはそんな時だった。
不思議な色合いの美しい髪に菫色の瞳の女神の如き美貌の少女。
事前に父に聞いていた話では彼女は15年前に行方不明になっていた王族の娘…つまりはこの国の王女と言う事だったのだが、それよりも衝撃的なことがあった。
王族の方ということなので少しアピールしておこうかな、と思って私のこれまでの活動の集大成である魔導機関車を見せようと機関庫に案内したのだが…
「これは…まさか、『蒸気機関車』?」
魔導機関車を見た彼女が呆然とした様子でつぶやいたのだが、その言葉の中にありえない単語が混じっていた。
『蒸気機関車』だって!?
いや、私の聞き間違いか…?
鉄道車両を開発する過程で蒸気機関も検討したのだが、それは断念している。
私が知る限り、この世界には蒸気機関はまだ存在しないはず…
そう思っていると、今度ははっきりと間違いようもなく彼女は言った。
『レティシアさん、これは蒸気機関車なんですか?』
!!
聞き間違いなんかじゃない!
この世界に転生したと分かったときから、もう二度と聞くことはないと思っていた言葉、日本語だ。
つまり、彼女は私と同じ…
『!!…いえ、機関車には違いないけど、蒸気で動くものではないですよ。私達は魔導力機関車と呼んでます』
私は呆然としかけたが、かろうじて返事をする。
もう二度と話すこともないと思っていた日本語は、自分でも意外なほどスムーズに口にする事ができた。
私のその言葉で、彼女も私が転生者であることを確信したようだった。
彼女ともっと話がしたい…!
だが、その場では他の人もいたのでそれ以上の話をすることはできなかったので、後で二人きりで話ができるようにこっそり約束をした。
最初は驚きが大きく、とにかく話がしたいという気持ちしか無かったが…
改めて二人きりになって、お互いが日本からの転生者であることをハッキリと確認したとき…抑えることのできない想いが急激に湧き上がってきた。
その感情に突き動かされて思わず彼女に抱きついて泣いてしまった。
うう…恥ずかしい…
だけど、それで素直な気持ちを吐露したおかげで、私とカティアはすぐに打ち解けることができたと思う。
もう、すっかり吹っ切れたと思ってたけど、やはりそう簡単に忘れることなどできないと言うことなのだろう。
今まで家族に支えられて、この世界での生き甲斐も見つけて…ただ眠っていただけの前世の世界への思慕が呼び起こされた…そして、私と同じ転生者がいることに、これ以上ないくらいの喜びを感じだんだ。
それから、いろいろと話をした。
彼女はとても気さくで話しやすく、私とも気が合ってすぐに仲良くなることができた。
転生の経緯は少し違うものの、私と同じく前世が男だという事も気が合う要因だったのかもしれない。
その事でアドバイスを貰ったりもしたが、まあ自分自身はなるようにしかならないと達観してたりもする。
彼女は彼女で、自分が王族である事と旅芸人一座の歌姫でもあることの板挟みで悩んでいるようでもあったので、私からもアドバイスさせてもらった。
急に自分が王族であると知ってもその責務を果たそうと考えるあたり、すごい生真面目なんだな~、と思った。
結局、遅い時間まで盛り上がってしまったが、最後の彼女の一言で新たにやることが出来てしまい、慌ただしく彼女の部屋を退出した。
営業開始までに、駅弁の計画を進めねば…!
先ずはウチの料理長にメニューの相談に乗ってもらわないと…それから業者選定の手はずとかも。
いろいろ検討し始めたら結局日が昇るまで考え込んでしまった…
前に徹夜したときにリディーに怒られてしまったし、少しでも寝ておくことにした。
カティアはこれから王都に向かうらしいし、今日ここで別れてもまた会うことができる。
だけど何だか離れ難く、いろいろと興味もあったので今日一日彼女に付き合うことにした。
列車の準備はリディーに伝言してお願いすることにした。
もう私が細かく指示しなくても色々なことが回るようになってきてるし、なんの心配もないだろう。
鍛錬場では彼女たちの実力の一端を見ることができた。
美貌の歌姫で凄腕の冒険者で大きな街一つを救う程の活躍を見せた英雄で…この国のお姫様って、転生チートを地で行ってるわ。
と思ってたら、そのあとに私も十分チートでしょって言われることになったのだが。
その後はディザール様の聖剣を借りるとかで総本山へ。
改めて聞くと凄い話なんだけど、それだけの難敵を彼女たちは相手してるってことなんだね。
神殿では私も試練に挑むことに。
少しでも彼女の力になりたくて、自然に口にしてたのだが役に立てただろうか?
ちょっと魔法には自信があったのだが、私がいなくても彼女たちならきっと問題なかっただろうな、と思ったのだが…
カティアとカイトさんの印の力は凄まじく、ドラゴン相手に肉弾戦を挑めるほどのものだった。
ミーティアちゃんも剣も魔法もかなりの腕前だし、一座の他の皆さんも猛者揃いと言う事だし…
やっぱり私には冒険者は無理だな~、って結論に達したよ。
そして、出発のとき。
これで一旦お別れかと思うと少し寂しいけど、またすぐに会うことができる。
カティアも学園に誘ったのだが、ほんとに一緒に学生生活ができたら凄く楽しそうだと思う。
何とか考えてくれないかな?
そんな、未来への希望を乗せて、私の…いや、私達の列車は出発したのだった。
あなたにおすすめの小説
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。