【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
156 / 683
第七幕 転生歌姫と王都大祭

第七幕 4 『アダレットの姫君』

しおりを挟む

ーーーー レティシア ーーーー

 お~お~、見せつけてくれちゃってまぁ…

 最初は誰だか分からなかったけど、あれはカイトさんだね。
 髪の毛は魔法薬でも使ってるのかな?

 カティアがあんな恋する乙女の表情で見つめてるもんだから変だと思ってよく見たら…そういうことか、と。

 踊り始めた時は少し表情も固くてぎこちなかったんだけど、今はすっかり二人だけの世界って雰囲気を出している。

 そんな二人は、もちろん注目の的だ。
 あんな雰囲気を出されたら他の男どもは尻込みしそうなものだけど、果たして…?
 逆に「俺も!」ってなったりして。


 しかし、美男美少女の組み合わせはホントに絵になるねぇ…

 ルシェーラちゃんも兄さんと踊ってるんだけど、こっちも中々のものだよ。
 あの子、大人っぽいから兄さんとは結構年が離れてるはずなのに全然違和感ないんだよね~。

 そして、父さんと母さんも私を残して行ってしまった。
 二人とも結構いい歳なんだけど、まだまだ若々しくてイチャラブぶりを見せつけてる。
 娘としては両親の仲がいいのは喜ぶべきことなんだけど、あんまり甘々なのを見るのはちょっと複雑。


 そんなリア充達のアツアツぶりに比べ私はと言えば……誘ってくれる人は未だ無し、と。
 確かに以前やらかしてしまったとは思うんだけど、それでビビってなんて…全く情けない。

 あ~あ、せめてリディーでもいてくれたら相手してくれるのになぁ…



 そんなふうに一人寂しく壁の花になっていると…

「どうした、レティシア。踊らねぇのか?」

「あ、アーダッドおじさん…いえ、踊りたくても誘われないんですよ」

「あ~、アレか……まったく、武神の国の男が情ねぇもんだな」

「ホントですよ。もっと言ってやってくださいよ。…それより、そう言うおじさんこそどうなんです?」

「俺ぁ柄じゃねぇからなぁ…リファーナもいねえし。まぁ、挨拶周りして、あとは美味ぇもんでも食ってるわ」

 ルシェーラちゃんのエスコートも兄さんに取られちゃったからね。
 でも、この人も山賊みたいな見た目して(失礼)奥さんラブだよねぇ…



 それにしても…傍から見たら私達の取り合わせは奇異に見えないかね。
 可憐な美少女(私!)と熊みたいに厳つい大男……うん、犯罪の匂いがするね!

「…おじさん、私と踊ります?」

「いや、勘弁してくれ…」

 だよね~。



ーーーーーーーー






「カイ…じゃなかった、テオフィルス様はダンスが上手だね」

「テオでいいぞ。…久しぶりで心配だったんだが、何とかな」

「ふ~ん…もう何人もの女の人と踊ってるんだよね」

「それはまぁ…そんな目で見ないでくれ」

「ふふ、冗談だよ」

 ホントはちょっとヤキモチだけど。

「でも、私もこれから誘われちゃうかな?」

「それはそうだろうな。仕方のないことだ」

「…妬ける?」

「…まあな。だが、初めてのダンスの相手ができたので、それは何とか我慢するさ」

「えへへ~。…そうだ、後でレティも誘ってやってくれない?何だかあの子、やさぐれオーラを出してるのよね…」

「なんで彼女は誘われないんだ?引く手数多だと思うのだが…」

「なんか、前にやらかしたってリュシアンさんが言ってたけど…詳しくは教えてくれなかった」

「…気にはなるが、承知した」





 そして、一曲終わってテオとのダンスが終わる。
 名残は惜しいが…今日は私が主役だから、彼とだけ踊り続けるわけにも行かない。

 でも、とっても楽しかったな。
 相手がテオだったからと言うのもあるけど、ダンス自体が楽しいと思った。
 練習の時はとにかく必死だったから、そんなこと思ってる余裕なんて無かったけど。




 
 誘われるとしてもあまり連続にはならないように配慮するのがマナーらしいので、取り敢えず元の場所に戻ることにする。


「カティア、ダンス上手だったわよ。それに、凄くお似合いだったわ」

「あ、ありがとう、母様」

 もう、アルノルト様ご夫妻は他のところに行ったようだ。
 武神祭まで滞在するみたいなので、またお話する機会もあるかもしれない。


 私が戻ってからそれほど間をおかず、新たなお客様が私達のもとやって来た。

「こ、国王陛下、王妃殿下この度は御息女のお披露目の場にお招きいただきまして、ま、真にありがとうございます。カティア様におかれましてはお初にお目にかかります。わ、私はアダレットの王女、ステラと申します。以後、お見知りおきのほどよろしくお願いいたします」

 この方がアダレットの王女ステラ様か…
 何だか凄く緊張しているけど、大丈夫かな?
 とにかく、こちらも挨拶を返す。

 歳は私とそう変わらないくらいかな?
 まぁ、見た目で判断すると結構違ってたりすることも多いのだけど。
 ルシェーラとか、姉さんとか…

 緩やかに波打つ美しい白銀の髪は肩口まであり、大きな瞳の色は空色。
 凄い美少女なんだけど…今はとても不安げな表情をしていて、気が弱そうで…小動物みたいな感じがする。
 何かこう…庇護欲をそそると言うか、守ってあげたいというか。


「よく来てくれたな、ステラ王女」

「もう王都での暮らしには慣れたかしら?」

「は、はい…皆様、とても良くしてくださいます…我々アダレットの者が皆様にお手数をおかけするのは、とても申し訳ないのですが…」

「…まだそんな事を言っておるのか。気にするなと申してるのだがな…」

「そうですよ。大戦の時の話はアダレット王家に責は無いと…そうあなたのお父様にも伝えているのですよ」

「で、ですが…我が王家が不甲斐ないばかりにご迷惑をお掛けしたのは事実です」

「だからと言ってな…まぁ、我々としては交流の一環と考えているのだが…」

 つまり、彼女は人質ということらしい。
 先の大戦でアダレットはクーデターによって一時期王権が失墜したことがあり、その結果私の母が行方不明…亡くなったと言う経緯がある。
 だから、その時の償いと言うか…信頼を取り戻すためという事で、常にアダレットの王族の者を人質としてイスパルに滞在させているのだ。
 そして、彼女は最近になってやって来て…以前の人質と入れ代わりで、しばらく王都で暮らすことになっているとのこと。


「そうだ、そなたも学園に通うのだろう?カティアもな…試験はこれからではあるが、おそらく通うことになる。どうか学友として仲良くしてやって欲しい」

「ステラ様、よろしくお願いしますね。まあ、合格すればですが」

「は、はいっ!…あの、カティア様は、そ、その…お母様のことは…」

「え?あ、ああ…私は気にはしてはいませんよ。もちろん、悲しい出来事だったとは思いますが、お父様たちと同じでアダレット王家のせいだとは思っておりません。全てはグラナの野心が招いたことです。ですから、そんなに自分を卑下なさらないで下さい。きっと母も望んではおりません」

「は、はい…」

「だから、私達はお友達になりましょう?信頼はこれからまた積み重ねていけば良いのですから」

「は、はい…!」

 ようやく笑ってくれたね。

 …しかし、すごい破壊力だよ、彼女の笑顔は。
 そんな表情を見せられたら…きっと、男どもが放っておかないと思うよ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...