【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
161 / 683
第七幕 転生歌姫と王都大祭

第七幕 9 『婚約(仮)』

しおりを挟む

「だが、一つ腑に落ちないのは…なんで態々シギル持ちに限定して狙うんだろうな?」

 と、イスファハン王子が疑問を投げかける。

「と言うと?」

「いや、俺みたいにシギル持ちである事を公表してない場合もあるんだ。狙いがシギルというなら、無差別に王族が狙われたっておかしくないんじゃないか?それこそ根絶やしにしてしまえばいいって考えてもおかしくないだろう。だが、現状はキッチリ当事者だけを狙ってるんだろ?」

 それは…言われてみれば確かにそうかもしれない。

「それは多分…神々の直接的な干渉を恐れてるんじゃないですか?」

 と、メリエナ王女が疑問に答える。

「三百年前にアルマ王国が滅亡したとき…グラナはエメリール様の怒りを買い天罰が下ったと言われています。魔王を失い求心力が低下したことで撤退したと言われてますが…それも理由の一つだったと」

「…それは初めて聞きました」

 確かに、自らの子孫とも言えるアルマ王家を根絶やしにされたとなれば、いくら温厚なリル姉さんだって怒ると思うけど…天罰というのが想像がつかない。

「天罰というのはどういったものなんですか?」

「…詳しくは分かっていないのですが、当時のエメリナ神殿の巫女が受けた神託によれば…『お姉ちゃんマジでヤバい!お姉ちゃんを怒らすとか…あり得ないでしょ!』とのお言葉が伝わってます」

 軽っ!?
 言動が軽いよ、リナ姉さん!

「…凄ぇ気になる」

 ですよね。
 今度リル姉さんに会ったら教えてくれるかな…?






「それでテオ、カティア様とは正式にお付き合い…王族ともなればそれは婚約と言う事になるのだけど、そう考えて良いのかな?」

 と、アルノルト様が確認する。
 いまの会話の流れだと、当然そういう話になるよね…

 ちょっとソワソワしながらテオを見ると、バッチリ目があった。
 私に優しく微笑みかけてからアルノルト殿下に向き直って彼は答える。

「将来的にはそのつもりです。カティアにも私に付き纏う種々の問題を解決してから正式に申し込むと約束してました」

 そう、はっきり言ってくれた。
 ちょっと顔がにやけてしまうのが自分でも分かった。

(…見てくださいまし、レティシアさん。あの蕩けきった顔)

(ほんとだねぇ…何だろね、この甘々な雰囲気は。リア充爆発しろ!って言うとこなのかな?)

 …聞こえてるよ。
 そっか、私はリア充なのか…えへへ。

「…コホン!だが、実際問題あの邪神教団の問題は一朝一夕で解決できるようなものでもあるまい。…どのみち各王家が協力して事に当たる必要があるんだ。家同士の結び付きという意味もあるし、この際だからもう婚約してしまっても良いのではないか?」

 と、父様が言う。

「…そうですね。もちろん父王の了承が必要ですが、その方向で調整しても良いと思います。…っと、私達が勝手に進めてもいけませんね。テオ、どうします?」

「それは…」

 元々他の人を巻き込みたくないと考えていたんだから、それは悩むところだよね。
 でも…

「テオ、私は…私達の結び付きが国同士の結束を高めることになるなら、私はそれでも良いと思う。それに、『力を貸す』って約束したしね。ま、まぁ私も狙われる立場になっちゃったんだけど…」

「…そうだった。お前を一番近くで護るのは俺の役目…そう決めたんだった。ならば、何時でも近くにいられる方がいい」

「う、うん…」

「正式にはまだ調整が必要だが……カティア、俺の婚約者になってくれるか?」

「は、はいっ!」






「ふむ、一先ずはおめでとう、ですかね。しかし、我が弟ながらなかなかやりますね」

「カティア、良かったわね。姉さんもきっと喜んでいるわ」

「父親としては少し寂しくもあるが…テオフィルスどの娘を頼んだぞ」

「カティアさん、おめでとうございます。友人として祝福いたしますわ(ようやくですわね…)」

「おめでと~、結婚式は何時にするの?」

 皆が口々に祝福してくれる。
 だけどレティ、結婚はまだ早いと思うよ…

 正式な手続きではないけど、こうして私とテオは婚約者となるのだった。









「ほっほっほ…しかし、若い方たちは羨ましいものですなぁ…」

 と、目を細めて微笑ましそうに言うのはアスティカントのグレイル評議長。
 実質的なアスティカントのトップだ。
 これまで王族の婚儀に関わる話だったので静かに話を聞いていたみたいだが、それが一旦落ち着いたので会話に加わるようだ。

 如何にも好々爺といった雰囲気のお爺ちゃんで、彼は学院の学長でもあるとのこと。
 と言うよりも、慣例として学長が評議長を兼任する事になってるらしい。
 アスティカントは学院が中心の都市国家だからそういう事になってるみたい。


「あら、学長はまだまだお元気なんじゃないですか?私が学生の頃はそれはもう元気が有り余っていたようですし」

「ほっほっほ…その話はここでは…」

 母様の言葉に冷や汗を流しながら言葉を濁す。

「アネッサも元気にしておりますよ。…ああ、そう言えば学長は確か…」

「オホンッ!あ~、その話もここではやめんかね?……しかし、そうか。アネッサは元気にしておったか」

「ええ、カティアとは姉妹のような関係ですよ」

「何と…いやはや、人の縁とは不思議なものよな」

 母様はグレイルさんの教え子だったみたいで割と気安く話をしてる。
 と言う事は姉さんも教え子だった訳で…
 …どうも会話の端々から察するに、アネッサ姉さんに苦手意識を持っているように聞こえる。

 そう言えば、学院の関係者がもう一人知り合いにいたね。

「グレイル様は、リーゼと言う人はご存知ですか?」

「おお、リーゼ嬢ちゃんか。彼女も儂の教え子の一人ですぞ。優秀だったんじゃが…どう言うわけか冒険者になりましてな…」

「ええ。彼女とはパーティーを組んで何度か依頼も受けました。優れた魔導士だと思います」

「なるほど、そう言えばカティア様も冒険者でしたな。…そうそう、今回儂がアクサレナに滞在しているのを知ったらしくてな、近日中に会う約束をしておるのですよ」

「あ、そうなんですね。彼女もアスティカントに向かう予定のはずだったので、ここで会うことができて丁度よかったですね」

 たしかまだ出発すると言う連絡は無かったので、グレイル様とお会いしてから一緒にアスティカントに向うつもりなのかも。








 その後もいろいろな話をして、かなり親交を深めることが出来た。
 あんな大変な事件があったけど…近隣国同士の結束を強めることができたのは大きな収穫であったと思う。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...