213 / 683
第八幕 転生歌姫と母娘の絆
第八幕 8 『急転』
しおりを挟む
三日間に渡って行われた入学試験もすべて終了した。
…何故か最後は試験官をさせられたが。
ともかく、出来は上々だと思う。
合格は問題ないだろうと自信をもって言える。
さて帰ろうか、と校門までやってきたが…
何だか騒がしいような?
「あ!!カティア様っ!!」
と、ケイトリンが慌てた様子で声をかけてきた。
彼女がこんなに慌てているのは珍しい…一体何があったんだ?
何だかイヤな予感がする…
「どうしたの?そんなに慌てて…」
「大変ですっ!!ミーティアちゃんが…!」
「!?ミーティアがどうしたのっ!!?」
ミーティアの身に何かあったの!?
「それが…行方が分からないとの連絡が…!」
「行方がわからない…?どういう事!?今日は王城だよねっ!?」
朝に見送りしてくれて…そのまま王城で過ごして…私の帰りを待っていたはずだ!
「はい、今日はカティア様のお部屋で過ごされて、特に外に出る予定もありませんでした」
オズマが私の言葉を肯定する。
どういう事かと思わず詰め寄りそうになるのをぐっと堪える。
落ち着け!
彼らは報告を持ってきてくれただけだ。
ここで感情に任せて喚き散らしたところで、何も解決なんかしない!
落ち着いて話を聞くんだ。
それから情報を整理するのが先決だ。
「ふ~っ……ごめん。詳しい話を聞かせて…」
「はい。ですが、我々もここでカティア様をお待ちしてましたので、詳しい話はこちらの者に…すまないが、先程の話をカティア様にも」
「はっ!」
と、今更に気付いたが、ここまで連絡をしに来てくれたらしき騎士がいたみたい。
ここに居てもしょうがないので、詳しい話は王城に戻る道すがら聞くことにした。
「先程オズマ殿が言った通り、本日ミーティア様は特に外出されることもなくお部屋で過ごしていたはずでした。ですが、側付きのメイドが昼食の用意をしようと部屋を出て…戻ったときにはミーティア様は部屋に居られなかったとの事で…」
「…部屋の出入りは?」
「はい。部屋の入口には、護衛の騎士が常に立っておりましたが…その側付きのメイド以外に部屋に出入りした者はおりません」
「…それじゃあ、突然誰の目にも触れずに消えたってこと?」
「…はい。部屋の中は何者かが侵入した痕跡も無く、本当に忽然と。ですが…」
「何かあるの?」
「魔力感知の魔道具に痕跡があったと聞いております。私はいち早くカティア様にお報せしようと直ぐに王城を出てきたのですが、城に戻れば何か進展があるかもしれません」
城内では場所によっては生活を補助する程度の魔法であれば許されてるが、基本的には魔法は使用禁止だ。
そのため、魔法が行使されたことを感知する魔道具が要所要所に設置され、記録されている。
「分かったわ。急いで報せてくれてありがとう」
「いえ…我々も全力で捜査に当たりますので、どうかお気を確かに」
「その通りです。私もあらゆる情報網を駆使して、ミーティアちゃんを探し出します!」
「うん…ありがとう。…暗部の人も掴めてないんだよね」
彼らが何か掴んでるのなら、こんな話にはなってないだろうが…それでも聞かずにはいられない。
「残念ながら…」
「そうだよね…あ!そうだ!エーデルワイスの方には…」
私がそう言いかけた時…
「カティア!」
「あ、カイト!…その様子だと、聞いたんだね?」
何時もは冷静なカイトが常になく焦っている様子にそれを察する。
「ああ…話を聞いて直ぐに、団員総出で街中の探索に向かってる」
「もしかしたらそっちに居るかもしれないと思ったけど、それも無しか…私は城に戻って詳しい状況を聞いてくるから、カイトは皆と一緒に街の捜索をお願い!」
「分かった!…だが、何の手掛かりもなしに闇雲に探しても望みが薄い。城で何か情報が得られたら教えてくれ。一時間後に一旦邸に集まることになってる」
「うん、分かった!お願いね!」
そう言ってカイトとは別れたが、彼の言う通り手掛かりの無い状況での捜索にはあまり期待できないだろう。
それでも、じっとしているなんてあり得ない。
私だけじゃない…皆にとっても大切な『娘』なんだから…!
急ぎ王城に戻って来ると、捜査本部が設置されてると言う会議室へ足早に向かう。
「来たか、カティアよ」
「父様…!リュシアンさん!ミーティアは…」
会議室に入って挨拶する間も惜しいとばかりに、開口一番に確認する。
「まだ見つかっておらぬ。城内はほぼ探し尽くしたが…とにかく手すきの者総出で城外にも範囲を広げて捜索中だ」
「そうですか……魔法が使われた痕跡があると聞きましたが」
その問にはリュシアンさんが答えてくれる。
「はい。急ぎ解析させたところによれば…カティア様の部屋の中で特級クラスに匹敵する魔法の使用があったとの事です」
「特級クラス?…部屋の中には侵入者の痕跡は無かったということだから、少なくとも攻撃魔法ではないはず」
「残された魔力のパターンからは、既知の魔法では無いらしいです。そうすると考えられるのは…」
「既知の魔法では無い。忽然と姿を消した状況…まさか、転移魔法?」
それならこの状況は説明がつく。
「俺達もその結論に達した。確か、ミーティアは転移魔法を使った事があったな?」
「はい、リッフェル領の事件の時に、私を助けるために…でも、仮にそうだとしても一体なぜ…?」
あの娘が転移魔法を使うような状況?
…いや、そもそもリッフェル領の事件で転移魔法を使った事は、あの娘自身は覚えていなかったはず。
そこで、ケイトリンが話に加わった。
「もし、仮に転移魔法が使われたのなら…転移先には似たような魔力パターンの痕跡が残されてはいないでしょうか?」
「…可能性はありますね。急ぎ宮廷魔導士に確認させます」
とリュシアンさんが部下に指示を出す。
「仮に何らかの痕跡が残っていたとしても…いずれは時間経過でそれも検知出来なくなりますので、急がないとですね…」
特級クラスの魔法ならある程度痕跡が残っているかもしれないけど、リュシアンさんの言う通りだ。
時間経過だけじゃなく、別の魔法を使用されたりしても検知が困難になるかもしれない。
「魔力の痕跡なら[探知]でも分かるはず……私も捜索に行きます!オズマ、カティア様の護衛は頼んだよ!」
「ケイトリン、お願い!」
とにかく今は、どんな些細な情報でも欲しいところだ…
ミーティア…どうか無事でいて!
…何故か最後は試験官をさせられたが。
ともかく、出来は上々だと思う。
合格は問題ないだろうと自信をもって言える。
さて帰ろうか、と校門までやってきたが…
何だか騒がしいような?
「あ!!カティア様っ!!」
と、ケイトリンが慌てた様子で声をかけてきた。
彼女がこんなに慌てているのは珍しい…一体何があったんだ?
何だかイヤな予感がする…
「どうしたの?そんなに慌てて…」
「大変ですっ!!ミーティアちゃんが…!」
「!?ミーティアがどうしたのっ!!?」
ミーティアの身に何かあったの!?
「それが…行方が分からないとの連絡が…!」
「行方がわからない…?どういう事!?今日は王城だよねっ!?」
朝に見送りしてくれて…そのまま王城で過ごして…私の帰りを待っていたはずだ!
「はい、今日はカティア様のお部屋で過ごされて、特に外に出る予定もありませんでした」
オズマが私の言葉を肯定する。
どういう事かと思わず詰め寄りそうになるのをぐっと堪える。
落ち着け!
彼らは報告を持ってきてくれただけだ。
ここで感情に任せて喚き散らしたところで、何も解決なんかしない!
落ち着いて話を聞くんだ。
それから情報を整理するのが先決だ。
「ふ~っ……ごめん。詳しい話を聞かせて…」
「はい。ですが、我々もここでカティア様をお待ちしてましたので、詳しい話はこちらの者に…すまないが、先程の話をカティア様にも」
「はっ!」
と、今更に気付いたが、ここまで連絡をしに来てくれたらしき騎士がいたみたい。
ここに居てもしょうがないので、詳しい話は王城に戻る道すがら聞くことにした。
「先程オズマ殿が言った通り、本日ミーティア様は特に外出されることもなくお部屋で過ごしていたはずでした。ですが、側付きのメイドが昼食の用意をしようと部屋を出て…戻ったときにはミーティア様は部屋に居られなかったとの事で…」
「…部屋の出入りは?」
「はい。部屋の入口には、護衛の騎士が常に立っておりましたが…その側付きのメイド以外に部屋に出入りした者はおりません」
「…それじゃあ、突然誰の目にも触れずに消えたってこと?」
「…はい。部屋の中は何者かが侵入した痕跡も無く、本当に忽然と。ですが…」
「何かあるの?」
「魔力感知の魔道具に痕跡があったと聞いております。私はいち早くカティア様にお報せしようと直ぐに王城を出てきたのですが、城に戻れば何か進展があるかもしれません」
城内では場所によっては生活を補助する程度の魔法であれば許されてるが、基本的には魔法は使用禁止だ。
そのため、魔法が行使されたことを感知する魔道具が要所要所に設置され、記録されている。
「分かったわ。急いで報せてくれてありがとう」
「いえ…我々も全力で捜査に当たりますので、どうかお気を確かに」
「その通りです。私もあらゆる情報網を駆使して、ミーティアちゃんを探し出します!」
「うん…ありがとう。…暗部の人も掴めてないんだよね」
彼らが何か掴んでるのなら、こんな話にはなってないだろうが…それでも聞かずにはいられない。
「残念ながら…」
「そうだよね…あ!そうだ!エーデルワイスの方には…」
私がそう言いかけた時…
「カティア!」
「あ、カイト!…その様子だと、聞いたんだね?」
何時もは冷静なカイトが常になく焦っている様子にそれを察する。
「ああ…話を聞いて直ぐに、団員総出で街中の探索に向かってる」
「もしかしたらそっちに居るかもしれないと思ったけど、それも無しか…私は城に戻って詳しい状況を聞いてくるから、カイトは皆と一緒に街の捜索をお願い!」
「分かった!…だが、何の手掛かりもなしに闇雲に探しても望みが薄い。城で何か情報が得られたら教えてくれ。一時間後に一旦邸に集まることになってる」
「うん、分かった!お願いね!」
そう言ってカイトとは別れたが、彼の言う通り手掛かりの無い状況での捜索にはあまり期待できないだろう。
それでも、じっとしているなんてあり得ない。
私だけじゃない…皆にとっても大切な『娘』なんだから…!
急ぎ王城に戻って来ると、捜査本部が設置されてると言う会議室へ足早に向かう。
「来たか、カティアよ」
「父様…!リュシアンさん!ミーティアは…」
会議室に入って挨拶する間も惜しいとばかりに、開口一番に確認する。
「まだ見つかっておらぬ。城内はほぼ探し尽くしたが…とにかく手すきの者総出で城外にも範囲を広げて捜索中だ」
「そうですか……魔法が使われた痕跡があると聞きましたが」
その問にはリュシアンさんが答えてくれる。
「はい。急ぎ解析させたところによれば…カティア様の部屋の中で特級クラスに匹敵する魔法の使用があったとの事です」
「特級クラス?…部屋の中には侵入者の痕跡は無かったということだから、少なくとも攻撃魔法ではないはず」
「残された魔力のパターンからは、既知の魔法では無いらしいです。そうすると考えられるのは…」
「既知の魔法では無い。忽然と姿を消した状況…まさか、転移魔法?」
それならこの状況は説明がつく。
「俺達もその結論に達した。確か、ミーティアは転移魔法を使った事があったな?」
「はい、リッフェル領の事件の時に、私を助けるために…でも、仮にそうだとしても一体なぜ…?」
あの娘が転移魔法を使うような状況?
…いや、そもそもリッフェル領の事件で転移魔法を使った事は、あの娘自身は覚えていなかったはず。
そこで、ケイトリンが話に加わった。
「もし、仮に転移魔法が使われたのなら…転移先には似たような魔力パターンの痕跡が残されてはいないでしょうか?」
「…可能性はありますね。急ぎ宮廷魔導士に確認させます」
とリュシアンさんが部下に指示を出す。
「仮に何らかの痕跡が残っていたとしても…いずれは時間経過でそれも検知出来なくなりますので、急がないとですね…」
特級クラスの魔法ならある程度痕跡が残っているかもしれないけど、リュシアンさんの言う通りだ。
時間経過だけじゃなく、別の魔法を使用されたりしても検知が困難になるかもしれない。
「魔力の痕跡なら[探知]でも分かるはず……私も捜索に行きます!オズマ、カティア様の護衛は頼んだよ!」
「ケイトリン、お願い!」
とにかく今は、どんな些細な情報でも欲しいところだ…
ミーティア…どうか無事でいて!
11
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる