【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
274 / 683
第九幕 転生歌姫の学園生活

第九幕 47 『山小屋』

しおりを挟む
 さて、急遽開かれたコンサートも好評のうちに終った。

 ちょっと一曲のつもりだったが、それでは収まらなかったよ。
 アンコールに応えていたら、結局5曲も披露してしまったよ。
 付き合わせてしまったアリシアさんには申し訳なかったけど…まあ、楽しそうだったし良しとしますか。
 もちろん私も楽しかったよ。


 と言う事で、興奮冷めやらぬ中ではあったが、私達は下山に向けて動き出すのだった。










「いや~、楽しかったけど、ちょっと時間を食っちゃった。みんなゴメンね」

「とんでもない!姫さんの歌をタダで聞けるなんざ…自慢できるってもんっす!なぁ?」

「その通りですね。学園に入って良かったですよ」

「ラッキーだよね!」

 ふむ、喜んでもらえたようで何より。


 そんな話をしながら、登りよりもやや速いペースで進んでいくが、下りの方が足腰への負担が大きいんだよね。
 あまり無理しすぎないように調整しながら行かないと。






 そうして、お昼過ぎくらいに山頂を出発した私達は順調に下って行き、まだ十分に日が高いうちに野営地へと辿り着いた。

 食料調達の時間は十分あるし、今日は山小屋を使えるのでテント設営の時間が必要無いのでかなり余裕がある。


 早速、山小屋に入って中を確認することに。


「へえ…思ったより広くてキレイだね」

 一班の人数でギリギリと聞いてたけど、これだけ広ければ十分かな。
 完全ではないけど一応仕切で二区画に別れているので、男女別に寝ることが出来そうだ。

 更には簡易的なキッチンがあるから炊事も中で出来る。
 流石に水道は無いし、火も自分で起こす必要があるけど。


「テントも楽しかったけど、やっぱりこう言う方がホッとするわね」

「そうですね、昨日は魔物の襲撃もありましたし…」

「わたしはどっちでもいいかな~」

 メリエルちゃんはともかく、女子的にはこっちの方が有り難いよね。


「お!?お嬢さん方、こっちに来てみな!」

 部屋を物色していたフリードが小屋の奥の方で何か見つけたらしい。

「なに?何かあったの?」

「ほら、この部屋…見てみな」

 どうやら奥にはもう一部屋あったらしく、フリードが扉を開けて中を見るように促す。

「もう一部屋あったんだね……って、これ、お風呂?」

 それほど広くない部屋の中、床は石造りで、一~二人が入れるくらいの大きな木桶…風呂桶が置いてある。
 排水溝らしき穴もあるので、お風呂場であるのは間違いないだろう。

「良かったじゃん、[清浄]じゃ物足りなかったんだろ?」

「そうだけど…でも、これどうやってお湯を張れば…って、魔法使えばいいのか」

 水なり氷なり出して炎系統の魔法でお湯にすれば良いのだ。
 でも…

「私、冷気系統はそこそこ使えるけど、水とか氷とかはあまり…」

 冷気と水は別系統、氷は冷気と水の複合系統だったりする。
 [氷弾]や[氷槍]くらいなら使えるけど、前者じゃ桶いっぱいにするのが大変だし、後者は風呂桶を破壊しかねない。

「わたし水は得意だよ![水塊]!」

 メリエルちゃんが水の魔法を行使すると、空気中の水分が一点に凝集し、風呂桶の上空に大きな水塊となって現れた。

 バシャッ!!

「うわっ!?」

 魔法の制御を離れた水塊が風呂桶に落下して、その衝撃で水飛沫を上げた。
 近くにいた私にちょっとかかってしまった。

「あ!?ごめんっ!大丈夫?」

「ああ、少しかかっただけだから大丈夫だよ。これでお水はいっぱいになったね。ありがとう、メリエルちゃん」

 これなら水汲みも必要ないかも、と思ったけど、魔法で出した水ってあまり飲水には適さない(マズい)…らしい。
 だが、お風呂用ならうってつけと言うわけだ。

「えへへ~…火系統はあまり制御が得意じゃないから、お湯にするのは誰かよろしく!」

「それなら私がやるよ。[火球]!」

 ぼっ!
 じゅう~!!

 私の魔法で生み出された火球を水の中に放り込むと、一気に熱せられてもうもうと水蒸気を上げる。

 それだけだとまだ温いので、何度か繰り返すと丁度よい湯加減になった。


「うん!バッチリだね!」

「「「わ~!!」」」

 女性陣から喝采が上がる。


 だが。


「…今沸かしてどうすんだ?まだ野営の準備が色々あんだろ?」

 フリードから冷静に突っ込まれる。
 
「…そだね。って言うか、そう思ったなら途中で止めてよ!!」

「いや、並々ならぬ情熱を感じたもんで…」

 その言葉に男性陣はコクコクと頷くのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...