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第十幕 転生歌姫と忍び寄る戦火
第十幕 30 『婚約パーティー2』
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イスファハン王子の次は父さんとミーティアがやって来た。
「よう、おめでとさん」
「おめでとうなの~」
「あ、父さん!やたっ、これで少しは食べれる!」
気兼ねなく料理に手が伸ばせる。
「お前な……まあ、いい。しかし、お前たちもやっとこさ婚約か。もうそのまま結婚しちまえばいいのによ」
「いろいろあるんだよ。調整とか手続きとか。それに、私まだ学生だし……もぐもぐ」
「ママ~、私も!」
学生結婚とかって結構あるみたいだけど。
私としては、結婚は一応卒業してからだと思ってる。
「まぁ、お前らのペースで進めりゃ良いんだけどよ。カイト……じゃねえ、テオはイスパルに婿入りなんだろ?」
「ええ。そうなります。引き続きよろしくお願いします」
「劇団か?」
「はい。カティアが歌姫続けるなら、俺も…と。将来的に公務などでどれだけ活動出来るかは分かりませんけど…」
「そっちも、お前たちのペースでやってくれりゃいいさ。最近は入団希望者も増えてきたし、割と余裕も出てきた」
「そだね……あ、これおいし~。ミーティア食べる?「うん!」……そうだ、アリシアさんはどんな感じ?」
「(こいつホントに遠慮がねぇな…)ああ、何度か来てもらっているが…ありゃあ凄えよな。もう後はいつデビューさせようかって話だな」
「やっぱり私の目に狂いはなかったね。いまいち本人が自信持てないみたいだけど。…外堀から埋めていきましょう!…あ、父さん、これ美味しいよ「ちょうだい!」はいはい、食べすぎないでね」
「……程々にしとけよ。注目はされてんだからよ。それよりもだ、テオ」
「はい?」
「今日は、大丈夫なのか?」
何が…とは言わないが、言わんとしてる事は分かった。
以前も私のお披露目パーティーの時もあったからねぇ…
「可能性はあると思います。ですから、警備は通常よりもかなり強化はしていますね」
うん。
衣装はパーティーに合わせた正装だけど、騎士らしき人がそこかしこに配置されてるよね。
「あの、黒角だか黒牙だったか…本拠はまだ分からねぇんだろ?」
「黒爪ですね。捜査は力を入れてやってるんですが、中々…」
「そうか。ま、返り討ちにすりゃいいだけの話だ。お前は武器も持ってねぇんだから大人しく護られてるんだな」
「いやいや、大丈夫だよ。ほら、コレ」
そう言って私は父さんに手を見せる。
その指には光り輝くものが。
「あん?指輪?…婚約指輪か。何だ、惚気か?」
そう、私の指に嵌められているのは大粒の宝石が光り輝く婚約指輪。
宝石は何と魔素結晶だ。
ウパルパ様に貰ったものとは比べることはできないけど、これでもかなり大きな部類に入るからその価値は計り知れない。
テオが迎えに来てくれたときに贈ってくれたものだ。
私の手をとって、そっと嵌めてくれて…真剣な顔で……
きゃあ~!!
思い出しただけで照れるよ!!
……と、そうじゃなくて。
実はコレ、唯の指輪ではなく魔道具なのだ。
その効果は…
「これ、実は収納倉庫の魔道具なんだよ。ルシェーラが持ってたやつと同じだね。で、バッチリ武器一式入ってます」
常在戦場の心得!
「お姫様になってもお転婆なのは変わらんか。自分の身を自分で護れるには越したことはねぇがな」
「無論、俺もカティアを護りますよ」
ま、何事も起きないのが一番ではあるけどね。
そうして父さんと話していると、今度はティダ兄と姉さん、リィナもこちらにやって来た。
そして、イースレイさんや家族の方々も。
「カティア、テオ、おめでとう」
「二人とも~おめでとう~」
「お姉ちゃん、テオお兄さん、おめでとう」
「ありがとう、みんな。それで、そちらは……」
「ええ、紹介するわね~。兄のイースレイは知ってるわよね~?」
「うん。でも、直接お話したことはありませんでしたね。よろしくお願いします」
「イースレイ=ブラバントと申します。お二人には妹がいつもお世話になっております」
「こちらこそ、アネッサさんにはいつもお世話になっております。それにしても…アネッサさんがブラバント家の出身とは驚きましたよ」
レーヴェラントの有力貴族ブラバント家は、何と公爵家だったりする。
初めて聞いたときは私も驚いた。
…見た目や雰囲気は良いとこのお嬢様っぽいんだけど、どうも黒アネッサを知ってる身としてはね~。
「もう私は~『ブラバント家の者』とは言えないし~、名乗るつもりも無いけどね~」
「あれ?仲直り出来たんじゃないの?」
「和解はしたわよ~。でも~、私はティダに嫁いだのだし~、今更生き方は変えられないわ~。…たまに帰省するくらいはすると思うけど~」
そっか。
これまで通りだけど、ちゃんと仲直り出来たみたいだし良かったよ。
「というわけで~、紹介するわね~。こっちが~私の父さん~」
「…テオフィルス様お久しぶりでございます。カティア様は、はじめまして。この度はまことにおめでとうございます。私はブラバント公爵家前当主のクラウス=ブラバントと申します。娘がいつもお世話になっております」
この人がアネッサ姉さんのお父さんか…
話に聞いていたイメージだと、もっと偏屈な頑固者って感じだったんだけど、実際には穏やかな顔つきの優しそうな方だった。
「はじめまして、カティア=イスパルと申します。アネッサさんは私にとっては実の姉のように大事な人です。仲直りが出来て本当に良かったです」
「…娘を気にかけて下さり、本当に有り難うございます」
「で~、こっちが私の上の兄さんね~」
「お二人共、本日はおめでとうございます。私はブラバント公爵家の現当主で、アネッサの兄であるエリアス=ブラバントです。よろしくお願いします」
お兄さんはクラウスさんに似た面影の方で、にこやかに挨拶をしてきてくれた。
こうして私は姉さんの家族と初めての顔合わせを果たし、終始穏やかに言葉を交わすのであった。
「よう、おめでとさん」
「おめでとうなの~」
「あ、父さん!やたっ、これで少しは食べれる!」
気兼ねなく料理に手が伸ばせる。
「お前な……まあ、いい。しかし、お前たちもやっとこさ婚約か。もうそのまま結婚しちまえばいいのによ」
「いろいろあるんだよ。調整とか手続きとか。それに、私まだ学生だし……もぐもぐ」
「ママ~、私も!」
学生結婚とかって結構あるみたいだけど。
私としては、結婚は一応卒業してからだと思ってる。
「まぁ、お前らのペースで進めりゃ良いんだけどよ。カイト……じゃねえ、テオはイスパルに婿入りなんだろ?」
「ええ。そうなります。引き続きよろしくお願いします」
「劇団か?」
「はい。カティアが歌姫続けるなら、俺も…と。将来的に公務などでどれだけ活動出来るかは分かりませんけど…」
「そっちも、お前たちのペースでやってくれりゃいいさ。最近は入団希望者も増えてきたし、割と余裕も出てきた」
「そだね……あ、これおいし~。ミーティア食べる?「うん!」……そうだ、アリシアさんはどんな感じ?」
「(こいつホントに遠慮がねぇな…)ああ、何度か来てもらっているが…ありゃあ凄えよな。もう後はいつデビューさせようかって話だな」
「やっぱり私の目に狂いはなかったね。いまいち本人が自信持てないみたいだけど。…外堀から埋めていきましょう!…あ、父さん、これ美味しいよ「ちょうだい!」はいはい、食べすぎないでね」
「……程々にしとけよ。注目はされてんだからよ。それよりもだ、テオ」
「はい?」
「今日は、大丈夫なのか?」
何が…とは言わないが、言わんとしてる事は分かった。
以前も私のお披露目パーティーの時もあったからねぇ…
「可能性はあると思います。ですから、警備は通常よりもかなり強化はしていますね」
うん。
衣装はパーティーに合わせた正装だけど、騎士らしき人がそこかしこに配置されてるよね。
「あの、黒角だか黒牙だったか…本拠はまだ分からねぇんだろ?」
「黒爪ですね。捜査は力を入れてやってるんですが、中々…」
「そうか。ま、返り討ちにすりゃいいだけの話だ。お前は武器も持ってねぇんだから大人しく護られてるんだな」
「いやいや、大丈夫だよ。ほら、コレ」
そう言って私は父さんに手を見せる。
その指には光り輝くものが。
「あん?指輪?…婚約指輪か。何だ、惚気か?」
そう、私の指に嵌められているのは大粒の宝石が光り輝く婚約指輪。
宝石は何と魔素結晶だ。
ウパルパ様に貰ったものとは比べることはできないけど、これでもかなり大きな部類に入るからその価値は計り知れない。
テオが迎えに来てくれたときに贈ってくれたものだ。
私の手をとって、そっと嵌めてくれて…真剣な顔で……
きゃあ~!!
思い出しただけで照れるよ!!
……と、そうじゃなくて。
実はコレ、唯の指輪ではなく魔道具なのだ。
その効果は…
「これ、実は収納倉庫の魔道具なんだよ。ルシェーラが持ってたやつと同じだね。で、バッチリ武器一式入ってます」
常在戦場の心得!
「お姫様になってもお転婆なのは変わらんか。自分の身を自分で護れるには越したことはねぇがな」
「無論、俺もカティアを護りますよ」
ま、何事も起きないのが一番ではあるけどね。
そうして父さんと話していると、今度はティダ兄と姉さん、リィナもこちらにやって来た。
そして、イースレイさんや家族の方々も。
「カティア、テオ、おめでとう」
「二人とも~おめでとう~」
「お姉ちゃん、テオお兄さん、おめでとう」
「ありがとう、みんな。それで、そちらは……」
「ええ、紹介するわね~。兄のイースレイは知ってるわよね~?」
「うん。でも、直接お話したことはありませんでしたね。よろしくお願いします」
「イースレイ=ブラバントと申します。お二人には妹がいつもお世話になっております」
「こちらこそ、アネッサさんにはいつもお世話になっております。それにしても…アネッサさんがブラバント家の出身とは驚きましたよ」
レーヴェラントの有力貴族ブラバント家は、何と公爵家だったりする。
初めて聞いたときは私も驚いた。
…見た目や雰囲気は良いとこのお嬢様っぽいんだけど、どうも黒アネッサを知ってる身としてはね~。
「もう私は~『ブラバント家の者』とは言えないし~、名乗るつもりも無いけどね~」
「あれ?仲直り出来たんじゃないの?」
「和解はしたわよ~。でも~、私はティダに嫁いだのだし~、今更生き方は変えられないわ~。…たまに帰省するくらいはすると思うけど~」
そっか。
これまで通りだけど、ちゃんと仲直り出来たみたいだし良かったよ。
「というわけで~、紹介するわね~。こっちが~私の父さん~」
「…テオフィルス様お久しぶりでございます。カティア様は、はじめまして。この度はまことにおめでとうございます。私はブラバント公爵家前当主のクラウス=ブラバントと申します。娘がいつもお世話になっております」
この人がアネッサ姉さんのお父さんか…
話に聞いていたイメージだと、もっと偏屈な頑固者って感じだったんだけど、実際には穏やかな顔つきの優しそうな方だった。
「はじめまして、カティア=イスパルと申します。アネッサさんは私にとっては実の姉のように大事な人です。仲直りが出来て本当に良かったです」
「…娘を気にかけて下さり、本当に有り難うございます」
「で~、こっちが私の上の兄さんね~」
「お二人共、本日はおめでとうございます。私はブラバント公爵家の現当主で、アネッサの兄であるエリアス=ブラバントです。よろしくお願いします」
お兄さんはクラウスさんに似た面影の方で、にこやかに挨拶をしてきてくれた。
こうして私は姉さんの家族と初めての顔合わせを果たし、終始穏やかに言葉を交わすのであった。
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