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第十幕 転生歌姫と忍び寄る戦火
第十幕 42 『灼熱』
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東の空に朝日が昇る。
まだ魔物の軍勢は姿を見せていないが、不穏な気配が重圧となって押し寄せるのを感じる。
遠くから唸り声のような、大地が鳴動するかのような低い音も轟き始める。
この先は急峻な山地に刻まれた峡谷。
細やかな獣道程度しかない、とても大軍が通るようなところではないが、そんな事は関係なしに人外の者たちはやって来る。
そしてついに、軍団の先陣が姿を現した!
「来た…!」
「…全軍に告ぐ。これより迎撃戦を開始する。各員戦闘準備に入れ」
特に大きくはないが、良く通るハンネス様の声は拡声の魔法によって増幅され、全軍に指示が伝わる。
「十分に引き付けろ。谷口平野にある程度敵が散開してから、合図で広域魔法を撃つぞ」
広域殲滅魔法は一人一発が限度だ。
今回は姉さんを含めて4人の術者がいるが、これを無駄なく効率的に使うためにはある程度敵が拡がっている必要がある。
混戦になれば広域魔法は使い所がなくなってしまうので、初撃でどれだけ纏めてダメージを与えられるかが重要だ。
押し寄せる魔物たちは峡谷を出ると扇形の平地に広がって行く。
そして、彼我の距離がおよそ1キロ程となったところで、ハンネス様が号令をかける。
「もう良いだろう。詠唱を始めよ!」
合図とともに最前に配置された術者が詠唱を開始すると、膨大な魔力の高まりを感じた。
そして、魔法が発動する…!!
轟音とともに雨霰と降り注ぐ雷槌が。
大きなうねりとなって敵陣を蹂躙する炎の龍が。
真空と高圧によって、触れるものを尽く引き裂く竜巻が。
極低温の冷気と氷の刃が吹き荒れる冬の嵐が。
まさに天変地異の如き恐るべき破壊の力が、魔物の軍勢を蹂躙する。
凄まじい破壊音と魔物たちの悲鳴が戦場に響き渡る。
そして、一通り魔法攻撃が終わったあとには……為す術もなく直撃を受けた魔物たちが、死屍累々と積み上がるのであった。
だが、これで終わりではない。
開戦初撃の最後を締めくくる無慈悲な一撃がまだ残されているのだ。
ーーーー 最前にて ーーーー
広域殲滅魔法による先制攻撃が功を奏して、数多くの魔物を撃滅するに至ったが…そのような光景を見せられても、渓谷からは押し寄せる魔物たちの勢いは衰えない。
軍団の魔物たちは、大将格の魔物に精神状態も支配され、自らの意思で侵攻を止めることはない。
峡谷から平野部になだれ込むその様子は、あたかも海嘯を逆回しにしたかのようだ。
そんな中、先制攻撃の最後を締めくくりダメ押しするべく、ミーティアが一歩前に踏み出した。
「ミーティアちゃん、最後のトドメ~、お願いね~」
「うん!ゼアルおじちゃん!」
『おじちゃんは止めろと言っただろう…』
そう文句を言いながらも、ミーティアの呼び掛けに応じて人間形態のゼアルが現れる。
しかし、たちまちのうちにその姿を変じて行き……現れたのは巨大な体躯を持つ赤竜。
普段の半透明の状態ではなく、まるで実体が存在するかのように圧倒的な存在感を放っていた。
ゼアルは悠々と飛び立ち、魔軍を眼前に見下ろしてブレスを放つ体勢となる。
全身に薄っすらと燐光を帯び始め、その光は大きく開かれた顎に集約されて……小さな太陽のごとく鮮烈な紅い光を放つ球体となる。
そして、ゼアルの咆哮と共に一条の光線が魔物の群れに放たれた!!
極太のレーザー光が、先ずは峡谷に犇めく魔物たちを貫く。
次いで、首を巡らせて平野部に進行していた群れを無造作に薙ぎ払う。
灼熱の光に触れた魔物は一瞬で燃え尽き蒸発する。
光線が通り過ぎたあとには、プラズマ化した空気が青白い電光を放つ
前段の広域殲滅魔法が可愛く見えるくらい、圧倒的な破壊力であった。
ーーーーーーーー
ひえ~……何という威力のブレスだろうか。
以前、ディザール神殿の試練で戦ったときとはまるで比べ物にならないよ。
大分手加減してくれてたみたいだね……
あれで本来の力じゃないと言うのだから恐ろしい。
「……凄まじい威力だな」
「そ、そうですね。私もここまで威力があるとは思いませんでした」
「ゼアル殿が味方になってくれて良かった。これで大分削れたとは思うが、まだまだ魔物は残っている。ここからが正念場だな」
「はい」
ハンネス様の言う通り、あれ程の攻撃を持ってしても魔物はまだ数多く残っている。
戦いはまだ始まったばかりだ。
まだ魔物の軍勢は姿を見せていないが、不穏な気配が重圧となって押し寄せるのを感じる。
遠くから唸り声のような、大地が鳴動するかのような低い音も轟き始める。
この先は急峻な山地に刻まれた峡谷。
細やかな獣道程度しかない、とても大軍が通るようなところではないが、そんな事は関係なしに人外の者たちはやって来る。
そしてついに、軍団の先陣が姿を現した!
「来た…!」
「…全軍に告ぐ。これより迎撃戦を開始する。各員戦闘準備に入れ」
特に大きくはないが、良く通るハンネス様の声は拡声の魔法によって増幅され、全軍に指示が伝わる。
「十分に引き付けろ。谷口平野にある程度敵が散開してから、合図で広域魔法を撃つぞ」
広域殲滅魔法は一人一発が限度だ。
今回は姉さんを含めて4人の術者がいるが、これを無駄なく効率的に使うためにはある程度敵が拡がっている必要がある。
混戦になれば広域魔法は使い所がなくなってしまうので、初撃でどれだけ纏めてダメージを与えられるかが重要だ。
押し寄せる魔物たちは峡谷を出ると扇形の平地に広がって行く。
そして、彼我の距離がおよそ1キロ程となったところで、ハンネス様が号令をかける。
「もう良いだろう。詠唱を始めよ!」
合図とともに最前に配置された術者が詠唱を開始すると、膨大な魔力の高まりを感じた。
そして、魔法が発動する…!!
轟音とともに雨霰と降り注ぐ雷槌が。
大きなうねりとなって敵陣を蹂躙する炎の龍が。
真空と高圧によって、触れるものを尽く引き裂く竜巻が。
極低温の冷気と氷の刃が吹き荒れる冬の嵐が。
まさに天変地異の如き恐るべき破壊の力が、魔物の軍勢を蹂躙する。
凄まじい破壊音と魔物たちの悲鳴が戦場に響き渡る。
そして、一通り魔法攻撃が終わったあとには……為す術もなく直撃を受けた魔物たちが、死屍累々と積み上がるのであった。
だが、これで終わりではない。
開戦初撃の最後を締めくくる無慈悲な一撃がまだ残されているのだ。
ーーーー 最前にて ーーーー
広域殲滅魔法による先制攻撃が功を奏して、数多くの魔物を撃滅するに至ったが…そのような光景を見せられても、渓谷からは押し寄せる魔物たちの勢いは衰えない。
軍団の魔物たちは、大将格の魔物に精神状態も支配され、自らの意思で侵攻を止めることはない。
峡谷から平野部になだれ込むその様子は、あたかも海嘯を逆回しにしたかのようだ。
そんな中、先制攻撃の最後を締めくくりダメ押しするべく、ミーティアが一歩前に踏み出した。
「ミーティアちゃん、最後のトドメ~、お願いね~」
「うん!ゼアルおじちゃん!」
『おじちゃんは止めろと言っただろう…』
そう文句を言いながらも、ミーティアの呼び掛けに応じて人間形態のゼアルが現れる。
しかし、たちまちのうちにその姿を変じて行き……現れたのは巨大な体躯を持つ赤竜。
普段の半透明の状態ではなく、まるで実体が存在するかのように圧倒的な存在感を放っていた。
ゼアルは悠々と飛び立ち、魔軍を眼前に見下ろしてブレスを放つ体勢となる。
全身に薄っすらと燐光を帯び始め、その光は大きく開かれた顎に集約されて……小さな太陽のごとく鮮烈な紅い光を放つ球体となる。
そして、ゼアルの咆哮と共に一条の光線が魔物の群れに放たれた!!
極太のレーザー光が、先ずは峡谷に犇めく魔物たちを貫く。
次いで、首を巡らせて平野部に進行していた群れを無造作に薙ぎ払う。
灼熱の光に触れた魔物は一瞬で燃え尽き蒸発する。
光線が通り過ぎたあとには、プラズマ化した空気が青白い電光を放つ
前段の広域殲滅魔法が可愛く見えるくらい、圧倒的な破壊力であった。
ーーーーーーーー
ひえ~……何という威力のブレスだろうか。
以前、ディザール神殿の試練で戦ったときとはまるで比べ物にならないよ。
大分手加減してくれてたみたいだね……
あれで本来の力じゃないと言うのだから恐ろしい。
「……凄まじい威力だな」
「そ、そうですね。私もここまで威力があるとは思いませんでした」
「ゼアル殿が味方になってくれて良かった。これで大分削れたとは思うが、まだまだ魔物は残っている。ここからが正念場だな」
「はい」
ハンネス様の言う通り、あれ程の攻撃を持ってしても魔物はまだ数多く残っている。
戦いはまだ始まったばかりだ。
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