342 / 683
幕間
幕間20 『戦利品』
しおりを挟む「僕達は助けていただいたので…戦利品は皆さんで分けてください」
「よろしいのですか?低層階とは言え魔物部屋でしたから…レアなものが期待できるかもしれませんわよ?」
助けた少年たちのリーダー(やはり学園生、それもルシェーラ達と同学年だった)…アランの言葉に、本当にいいのか?と確認するルシェーラ。
彼女の言う通り、まるで試練のご褒美であるとばかりに、このようなケースではレアドロップの可能性が高くなる。
カティアやレティシアだったら、ますますゲームじみてるな…と思ったことだろう。
ルシェーラの念押しにも意思は変わらないようで、頭を振ってアランは言う。
「いえ、命が助かっただけでも儲けものですよ。あなた達が来なければ今頃…」
彼のパーティーメンバーも同意するように頷く。
悔しそうな様子だが、それは自分たちの不甲斐なさを嘆いてのことだろう。
同級生に助けられた上、おこぼれに預かるなど…プライドが許さない、という事なのかもしれない。
それを察したルシェーラは、もうそれ以上は言わないことにした。
「…分かりました。では、私達とフリードさんのパーティーで分配いたしますわ」
「よっしゃ!ほら、これ見ろよ!多分ミスリルだぜ!」
一応はルシェーラ達のやり取りを待っていたフリードだったが、話が終わったのを見ると早速、既に目星をつけていたミスリル製と思しきレイピアを手に取って確かめる。
「ちょっと!ちゃんと話し合ってからだよ!」
「分かってるって。でも、自分の使えそうな武器だったら気になるだろ?」
「それはそうだけど……あ、あそこに落ちてるのは、もしかして…」
「はいはい、とにかく…先ずは手分けして集めてから相談しましょう」
フリードとシフィルのやり取りを制して、ステラが収拾を図る。
そうして、部屋のあちこちに散乱しているアイテムを皆で手分けして集めていくのだった。
「ふぅ…これで全部かな?」
「ふわぁ~……凄いねぇ」
「ガラクタも多いけど、予想外の収入になるんじゃない?」
「まぁ、この人数で分配するからそこまでじゃねえけど…それでも十分な収入かもな」
集めた戦利品の数々は、魔物の数に見合うほどのもので、全て換金すればかなりの収入が見込めそうであった。
「どうしましょうか?一旦持ち帰って、ギルドで鑑定した後に価値に応じて平等に分配するのが良いと思うのだけど…」
ステラがそのように提案する。
「ああ、それで良いんじゃないかな。欲しいものがあれば金額換算で平等になればある程度は融通をきかせるとして…」
ユーグが同意すると、他の面々もそれに頷く。
「…だが、これはどうする?」
ガエルが指し示したのは、見るからに曰く有りげな収納箱…要するに宝箱である。
「今回の目玉…って感じ?」
「とにかく、開けてみないことには何とも言えないわね」
「あ、開けるのはちょっと待って。罠がないか調べてみるから」
そう言ってレイラは箱を仔細に調査し始める。
先ずは外観から怪しいところがないかを見て、軽く叩いて音を聞いたり、僅かに揺すってみたり……
「ん~…どうやら罠の類は無いみたいだけど…私じゃ魔法トラップまでは分からないのよね……メリエルちゃんは[看破]は使えない?」
[看破]は対象にかけられた魔法術式を見破る魔法だ。
このメンバーの中では一番の魔法の使い手であるメリエルに聞くが、彼女は申し訳無さそうに首を横に振る。
「あ、僕は使えますよ。…『その内に秘めたるものを明らかにせよ』」
ユーグが[看破]の魔法を行使すると、彼の手から放たれた淡い光が箱を包み込む。
「……特に何らかの魔法がかけられてる様子は無いですね」
「よし、それじゃあ開けるわよ…」
ユーグの魔法の結果を聞いて、レイラは箱の留め金を解除し、意を決して蓋に手をかけて…念の為警戒しながらゆっくりと開けていく。
皆が固唾をのんで見守る中、開かれた箱の中に入っていたのは……
「……本?」
「…みたいですわね」
「ダンジョンの戦利品で本というのは聞いたことがないわね…」
そう言ってレイラは本を手に取る。
装丁は皮らしき表紙に縁取りが金属で補強され、多少薄汚れているがかなり豪華なものだ。
古めかしい感じはするが保存状態は良く、ページを捲るにも支障はなさそうで、レイラはパラパラと中身を確認する。
「……見たことのない文字ね。何が書いてあるのかサッパリだわ」
その本に書かれている文字は、この大陸で一般的に使われている言語でも神代語でもなさそうで…その場にいた誰も知るものではなかった。
「神代語なら、私読めるんだけどな~」
学園入試を、ほぼ神学と魔法だけで乗り切ったと言っても過言ではないメリエルが残念そうに言う。
「何でしょうかしらねこれ?……こう言うのはカティアさんに見せると良いかもしれませんわ。あの方、色々なことを御存知ですし、もしかしたら読めたりするかも……先ずはギルドで鑑定してから、と思いますけど」
これまでもカティアの博識ぶり(?)を目の当たりにしてきたルシェーラがそう言う。
そして後日、そのルシェーラの判断は正しかったことが判明するのだった。
11
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる