【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
369 / 683
第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 25 『イレギュラー』

しおりを挟む
 第5階層の探索を開始してから暫く、何度か魔物を撃退しながら進んでいくと、巨大な石扉の前にやって来た。


「ここが第5層のボス部屋?」

「ええ、そうですわ」

 私の問にルシェーラが答える。
 ルシェーラ達は第10層まで到達したとの事なので、これまでも探索ルートについてはアドバイスしてもらっている。


「ルシェーラの時は何が出てきたの?」

 深層部では固定ボスになるのだが、この階層くらいだとC~Bランクの魔物がランダムで出現するらしい。

「私達の時にはリザードマン・ナイトでしたわ」

 人型の魔物の中では中堅どころのリザードマン。
 その上位種であるリザードマン・ナイトはBランク相当なので、出現する可能性のある魔物の中では強力な方だろう。

 まぁ、ルシェーラ達のパーティーの実力なら、全く問題なかっただろうけど。



「このパーティーもBランク程度なら相手にはならないだろうし……準備が良ければ、早速行きましょうか?」

 一応確認を取ってから…特に否定意見もないので、私は石扉に手をかけた。

 すると、見た目は重々しい巨大な扉は、想像していたよりは力も必要とせずに、音もなくゆっくりと部屋の内側に向かって開かれていく。


 さぁ、今回は何が出てくるのか?



 完全に扉が開き切り、私達は部屋の中に入っていく。
 そこは、第3層の魔物部屋モンスター・ハウスが現れたという空間に匹敵するくらいの広大な部屋だった。

 そして、その部屋の中央に居たのは……!


「あれは、まさか……ヒュドラー!?」

 10メートルは軽く超える太く長大な胴体を持つ大蛇……だが、その頭部は五つに枝分かれして、それぞれの頭がこちらを睥睨している。

「いや、ヒュドラーにしては小型だ。首の数も少ない。デミ・ヒュドラーだな」

 確かに、カイトの言う通りだ。
 ヒュドラーはSランク。
 その強さと巨大さは、ドラゴンにも匹敵すると言われているが…あれはそこまでの大きさは無い。
 首の数もヒュドラーであれば九つであるし、アレから感じるプレッシャーも単体Sランクと言う程には強力なものでは無かった。

 だが…

「それでもAランク相当ッスよ!!」

 そうだ。
 強力な魔物であることには違いない。
 決して油断できる相手ではないのだ。
 少なくともこんな階層で現れるはずの無い魔物だ。

「やっぱり、カティア様が…」

 どういう意味なの!?ケイトリン!?

 しかし…例の本を持っている事で、隠し部屋の番人みたいなモノが目覚めたのかもしれない。


「とにかく!もう相手は臨戦態勢だよ!こっちも迎え撃つよ!」

「「「応!!」」」

 思いもよらないイレギュラーに、しかし皆は直ぐに切り替えて戦闘態勢を整える。

 例えAランクが相手でも、このメンバーなら遅れを取ることは無いからね!


 だけど、小型とは言え十分に巨大なその体躯から繰り出される攻撃は強力だし、特殊能力もヒュドラーと同じだ。


「リーゼさん!何かブレス対策出来ますか!?」

「はい!少し時間を下さい!」

 ヤツの能力の一つは、各々の頭から放たれる毒霧のブレス。
 即死するほどではないが、まともに吸い込めば数分で死に至るくらいには強力なものだ。
 そのためブレス対策は必須と言ってよいだろう。

 前衛のカイトとルシェーラが注意を引き付けるが、足を止めずにブレスの的を絞らせないように立ち回る。

 ロウエンさんは弓でそれぞれの頭を狙って牽制。

 ミーティアは炎槍や雷槍などの中級魔法で手数と威力のバランスを考えながら後方支援に当たる。

 私もリヴェラを本来の聖杖の形態に戻して、ミーティアと共に魔法攻撃を行う。

 そして、ケイトリンは私達後衛陣の護衛をしながら…どうやら幻惑の魔法で目くらましをかけているようだ。
 それでかなり前衛の負担を減らせているみたい。



 それぞれが役割を果たしながら、リーゼさんの詠唱が完成する時間を稼ぐ。

 しかし、それよりも前にヒュドラーの首のうち二つが鎌首をもたげて、ブレスの態勢に入った!!

「ブレス来るよ!!回避!!」

 私の警告の叫びの直後、二つの頭は大きな口を開けて、毒々しい紫色の霧状のブレスを放った!!

 フォーーーーッッ!!!!


 見るからにヤバげな色の毒霧が前衛の二人に襲いかかる……と思われたその時、リーゼさんの魔法が完成する!


「[浄風結界]!!」

 魔法の発動と共に、部屋全体を涼やかな風が駆け巡る!

 これは…以前私がラミアクイーンとの戦いで使った[清風]よりも、遥かに強力な浄化解毒作用のある風を持続的に吹かせる結界魔法だ。

 流石はリーゼさんだ。
 結界魔法のスペシャリストと言っても過言ではないだろう。
 これで毒霧のブレスは無効化できる。


 戦いはここからが本番だよ!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...