【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
375 / 683
第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 31 『ディープ・ダンジョン』

しおりを挟む
「なっ!?」

「転移した!?」

 迷宮妖精のミロンから話を聞こうとした時、これまで居た石造りの部屋から全く異る景色に一変したのだった。


「これは……森の中か?」

「空が……見えますわ。ダンジョンの中に居たはずなのに……」

 あまりの出来事に、皆呆然となる。

 これまで探索してきた人工的な通路や部屋とは全く異る風景。
 鬱蒼と生い茂る木々に囲まれた、森の中のようだった。

 そして、空を見上げればそこに天井はなく、木々の間から青い空が見えるのだった。


「ちょ、ちょっと…どういう事!?ミロン、説明して!!」

「これはウッカリしてました……どうやら転移装置ポータルが作動してしまったようです」

転移装置ポータル?じゃあ、ここはまだダンジョンの中だと言うの?だけど、どう見てもここは……」

 転移装置ポータルはダンジョン内の移動に用いられるものだ。
 王都ダンジョンでは、入口付近、及び5階層毎に設置されている。
 一度作動させれば後は自由に転移装置ポータル間で移動が出来るようになるので、ダンジョン攻略には欠かせないものなのだ。


「ここは、第76階層です。第50階層以降は殆ど異界なので……こんな風景ですけど、間違い無くダンジョンの中ですよ」

「第76階層……ハハハ、最深到達記録よりも遥かに深いッスねぇ……」

「も、戻れるのっ!?」

 こんな深部に放り出されて戻れないなんて、冗談じゃない!

 だが、ミロンは無情にも告げる。


「残念ながら…第60階層より後は最深部までポータルはありません」

「そんな……いえ、最深部は何階層なの?」

 最深部の階層によっては戻るよりも進んだほうが良いかもしれない。


「最深部は第80階層になります」

「なら、進んだほうが速そうだけど……」
 
「問題は魔物の強さだな。最深到達記録の……確か第32階層だったか。そこで現れる魔物は殆どがAランクだと聞く」

「そうすると……倍以上深いここだと、Sランクとか出ちゃったりするんですかね?」

 単純に考えればそうなるけど…

 普通にエンカウントする敵が、古龍とか伝説級の魔物だったりするとか……無理ゲーすぎるわ。


「いえ、ボスはそれなりですけど、普通に出現する魔物の強さは30層と大差ありませんよ」

「だったら、まだマシだけど…それでも殆どAランクだと、無駄な戦いは避けたほうが良さそうだね」

 一口にAランクと言っても様々だけど。
 危険な相手には違いない。



「それにしても……完全に想定外だったよ。うぅ…学校の時間までに戻れるかなぁ?公演もあるし……皆も巻き込んじゃってゴメン!」

「私はこれくらいの事は起きるかも、と覚悟してたから大丈夫ですわ。カティアさんとダンジョンの組み合わせなんて…」

「同じく」

「うに」

「ッス」

「私も」

 ……皆、私のこと一体どう思っているのか。
 一度オハナシが必要なのでは?


「あ、それなら多分大丈夫ですよ。ここは殆ど異界と申しましたでしょう?時間の流れが地上よりも遅いはずです」

「…何というご都合主義」

「…あれ?逆だったかな?」

「ちょっと!?」

 ヤダよ!?
 戻ったら50年後でした…とか!!


「ああ、いや、大丈夫です。確かリュート様が……10日くらい過ごしたのに1日と経って無かった、とか言っておられましたから」

「…なら良いんだけど」

 某修行部屋みたいだね。












「まあ、転移してしまったのはしょうがないとして……話が途中だったけど、案内というのは結局何なの?……何となく分かった気がするけど」

「はい、お察しの通り……私の役目は、リュート様の足跡を辿ろうとする方を導く事です。差し当たっては、このダンジョンの最深部までご案内いたします」


 やはりそう言う事か。
 隠し部屋の転移装置ポータルからダンジョン最深部付近まで飛ばされたのだから、そういう事なのだろうとは思った。


 今日は様子見程度のつもりだったんだけど……こうなったら、賢者リュートがこのダンジョンで一体何を見せたかったのか、この目で確かめてみようじゃないか。

 …どのみち、前に進まなければ帰れないのだから。






「……よしっ!みんな行こう!」


 こうして私達は……賢者以外、誰も到達したことのないダンジョン最深部に向かって歩み始めるのであった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...