【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
392 / 683
第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 48 『ALONEs』

しおりを挟む
 第77階層のボス部屋で十分な休息を取ってから、私達は光の渦へと飛び込んだ。

 そして、あの不快な浮遊感がして……私は思わず目を閉じてそれをやり過ごすが、その感覚は直ぐに消えた。


 第78階層。
 樹海、海と来て、今度はどんな世界が広がっているのか。

 少しワクワクしながら目を開いた私の視界に飛び込んできたのは……
 

「……あれ?」


 これまでの流れから考えると予想外の光景だった。

 私が今立っているのは、四方を石造りの壁に囲まれた小部屋……要するに、上層階と同じような普通のダンジョン(?)そのものだった。



 ふと、違和感を覚えて辺りを見回す。

 すると、隣にはミーティア(と、ミロン)がいるのだけど、他の皆が居ないことに気が付いた。


「うにゃ……みんなはどこ~?」

「一緒に飛び込んだはずだよね……」


 戸惑いを隠せない私達に、ミロンが告げる。

「この階層は個々の力を試す試練となります。なので、皆さんはバラバラ分かれてスタートする事になります」

「ええっ!?」

 なんとまた……これまで以上に厄介な……

 私はまだオールラウンダーなので、ソロも比較的慣れてる方だけど……

「みんな、大丈夫かな……」

「一応、個人の力量やタイプを読み取って、『無理ゲー』にはならないはずです」

「そうなんだ……」

 だったら今は皆を信じるしかないか。

 ……あれ?


「個々の力を試すと言うのなら……何で私とミーティアは一緒なの?」

「うにゅ?」

「ん~、それが不思議なんですよねぇ……何らかのイレギュラーがあったとしか…」


 ふむ……おそらく、だけど。
 私とミーティアの魂の一部が同じだから…なのかもしれないね。

 まぁとにかく、ミーティアと別れずに済んだのは僥倖だった。
 一人でいると思ったら気が気でなくなるところだったよ。

 ……他のみんなはこちらの状況分からないだろうから心配してると思うけど。
 早く合流して安心させてやらないとね。

 
「それじゃあ、取り敢えず攻略開始しますか」

「がんばるっ!」


 小部屋には一箇所だけ扉があり、私達はそこから部屋の外に出て、ダンジョン攻略に乗り出すのであった。



















ーーーー カイト ーーーー



 まさか……ここに来て仲間たちと逸れてしまうとは思わなかった。



 他の皆の状況は非常に心配だが、ここで焦ってもどうにもならない。
 ……とは思うものの、カティアやミーティアが一人で不安な思いをしているかと思うと気が気でなくなりそうだ。

 だが、今はとにかく自分自身がこの状況を突破しなければならない。

 皆の無事を祈りつつ、俺は覚悟を決めて部屋の扉を開け、ダンジョン攻略への一歩を踏み出した。





 扉の外は、転移してきた小部屋と同じような石造りの通路が伸びていた。
 これまでの2階層と異なり、どうやら構造的には通常のダンジョンのようだ。

 ……この先も同じだとは限らないが。



 少し進むと道が二手に分かれる。
 一本道だったらまだ良かったのだが、それを嘆いても仕方がない。

 どちらに行くべきか、明確な判断根拠は無いので、取りあえずは左の通路に進む。
 念のため、ロウエンさんに倣って壁に印を付けておくことにした。

 そして鞄から筆記具を取り出して、不慣れながらマッピングも行う。










 そうやってダンジョン内を暫し彷徨っていると、前方から何者かが近付いてくる気配を感じた。
 ロウエンさんがいれば、もっと細かな情報が分かるのだが……改めて有り難さを感じる。

 仲間の誰かなら良いが、それはあまり期待せずに俺は抜剣して臨戦態勢を取った。












ーーーー ルシェーラ ーーーー


「ミーティアちゃん、大丈夫かしら……」

 他の皆さんは……まぁ、何とかするとは思いますけど。
 もちろん、私も。

 ここからは自分自身の力だけが頼り。
 ですが、それは望むところですわ。


 ここ最近、自分の実力が急速に伸びているのを感じています。
 それは慢心などではなく、実感としてそう思うのです。
 カティアさんと並び立ちたい一心で頑張って来た甲斐がありますわ。


 そして、この試練も乗り越えて、糧にしてみせますわ!



 そう決意して、私は一歩を踏み出します。
 前へ前へと、真っ直ぐに。














ーーーー ケイトリン ーーーー


「はぁ~……」

 思わずため息をつく。

 護衛が護衛対象と逸れるだなんて……

 まぁ、多分この階層のルールみたいなものだろうし、自分の失態というわけでは無い。
 そう気を取り直すしかない。


 だが、そうは言っても心配ではある。

 もともとカティア様は護衛など必要としないくらいの実力者だ。
 きっと一人で何とかしてくれる。
 そう思うけど、まったく状況が分からないのは精神的にキツい。

 ミーティアちゃんも……
 能力はもしかしたらメンバー最強かもしれないけど、本来の彼女はまだ幼子だ。
 いつも一緒にいるカティア様ママテオフィルス様パパが居なければ……不安で泣いているもしれない。

 そう思うといたたまれない気持ちになる。


 とにかく、早く合流しなければ。



 最近は機会がないけど、もともと単独任務は慣れたものだ。

 リュシアン様の人使いが荒かったからね!



 そうして、私は焦る気持ちを圧し殺して、一歩を踏み出すのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...