404 / 683
第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉
第十一幕 60 『天空の地』
しおりを挟む
全員が揃ったところで、改めて周囲を見渡して見る。
まるで楽園と言った雰囲気で、魔物が現れるようなところには見えない。
「ねぇ、ミロン?ここはどう言うところなの?」
相変わらずミーティアの頭の上に陣取っているミロンに聞いてみる。
これまで、どの階層も一筋縄ではいかなかった。
見た目は穏やかな雰囲気だが、この階層も厄介な試練が待ち受けているに違いない。
そう、思ったのだが……ミロンの答えは意外なものだった。
「この階層はボス戦だけです。長いダンジョン攻略で疲れた身体と心を、この美しい世界で存分に癒やしてから挑むと良いでしょう」
「へ?そうなの?」
思ってもみなかった答えに、思わず間の抜けた声で聞き返してしまう。
「なんだか拍子抜けですわね」
「いやいやいや。良いじゃないですか、余計な手間が省けるのなら」
「だが、ボス戦はあるんだろう?それ自体が厄介な試練だと言うことだろう」
「まぁ、そうだろうね」
むしろ下手な小細工が無い分、今までで一番厄介なのかもしれない。
「でも、何処に向かえばいいんスか?」
「確かに……一面の草原だから、目的地が分からないですね」
う~ん……確かに。
周りを見渡しても、何か変わったものがあるわけでもない。
「まぁここに居たってしょうがないから、取り敢えず探索を始めてみましょうか」
何も目印がない場所を闇雲に探索するのは危険ではあるが、そこはロウエンさんやケイトリンの感覚が頼りになる。
そして私達は第79階層の探索をはじめるのだが……
30分ほど歩いていくと変化が現れた。
「うわ~……」
「おぉ……」
あまりの光景に、ただただ感嘆の声が漏れ出る。
私達の目の前には、何もなかった。
文字通りの意味で。
いま私達が立っている地面は、その数メートル先でバッサリ切り取ったかのように途切れており、その先にはただ何もない空間が広がるのみ。
端から眼下を見下ろしても、何も見えない。
地面も海面も確認できないのだ。
最初は、ここは高地で断崖になってるのかとも思ったのだが、どうもこれは……
「空に浮かんでいる……?」
そう、見える。
「これまでも特異ではあったけど、これは更に不思議度合いが増してますね~」
「……取りあえずは陸地の縁に沿って周ってみるか?」
「うん、そうだね。ボス戦だけだってことだし、どこかにその舞台があるんでしょう」
と言う事で探索を再開する。
陸地の縁を確認しながら……でも、あまり端っこを歩くと怖いので、十分陸地の内側を歩いていく。
最初のうちこそ、ミロンが言った通り美しい草原の光景を楽しんでいたが、代わり映えしない景色でもあるので早々に飽きてしまった。
ここが本当に空に浮かぶ島なのだとしたら何れは元の場所に戻ってくる事になるが…
途中、何もなければ内陸部を探索しなければならない。
だが、その懸念は杞憂に終わる。
陸の縁に沿って探索を始めてから小一時間程度経っただろうか。
それは唐突に現れた。
「これは……塔、か?」
天に向かって伸びる建造物、その外観は確かに塔と呼ぶべきものだ。
しかし、天を見上げてみれば……その行き着く先には、空に浮かぶ別の大地があった。
「……こんなのがあったのに、何で遠くから見えなかったんスかねぇ?」
「今更ダンジョンの不可解さを議論してもしょうがないけど、確かにそうだよね」
「認識阻害の結界でも張られてるんですかね?」
「とにかく行ってみましょう。きっと、あそこが戦いの舞台なのですわ」
ボス戦だけだという話だから、多分そうだろうね。
近付いてみると、塔の太さは……そうだね、丁度あの賢者の塔くらいだろうか。
だが、高さは比べものにならないくらいに高い。
それこそ前世の地球の高層ビルくらいはあろうか。
高さに対して凄く細く見えるので、ポッキリ折れてしまいそうだ。
塔には扉があり、そこから内部に入れるみたい。
さっそく扉を開けて中に入ると、そこには広々とした空間が広がるだけだった。
見上げてみれば天井は遥か遠く……というか見えない。
ようするに、この塔は中空の筒のようなものだ。
「あ、魔法陣があるよ!」
ミーティアが指差したところ、丁度へやの中央の床には彼女の言う通り複雑な魔法陣が描かれていた。
「うぇ……またコピーが現れるの?」
「いえ、かなり構成が異なるので違うと思います」
心底嫌そうに言うケイトリンの言葉を、リーゼさんが否定する。
確かに私の目から見ても、あの時の物とは雰囲気が違うように見えた
近付いて更に詳しく見てみることに。
こう言うのはリーゼさんの出番だね。
「何か分かりましたか?」
「そうですね……コピーの魔法陣の時もそうでしたが、現代の術式体系とはかなり異なるのでハッキリとした事は流石に分からないのですけど…」
そう前置きした上で彼女が語ったところによると……
・使用者が魔力を流すことで任意に発動させるタイプ。
・魔法陣は比較的単純な構成で、おそらくは単なるスイッチのようなもの。
・多分、塔そのものに組み込まれている魔法装置と連動してるのでは?
との事だった。
まぁ、シチュエーション的にはアレだよね。
賢者の塔にもあった仕掛けだ。
私がその事を伝えると、早速起動してみる事に。
私が代表して魔法陣の中心に立って、魔力の流れを意識して足元に流し込むようにイメージする。
すると、魔法陣は薄っすらとした輝きを放ち始めて……
ブォン……と、作動音らしきものが聞こえたと思えば、足元の床から淡く光る透明の床がせり上がってきた。
「わわっ!?」
「昇っていきますわ!」
うん。
やっぱりエレベーターだったか。
そうして私達は、塔の内部を上へ上へと昇っていく。
そして、その先には決戦の舞台が用意されていることだろう。
まるで楽園と言った雰囲気で、魔物が現れるようなところには見えない。
「ねぇ、ミロン?ここはどう言うところなの?」
相変わらずミーティアの頭の上に陣取っているミロンに聞いてみる。
これまで、どの階層も一筋縄ではいかなかった。
見た目は穏やかな雰囲気だが、この階層も厄介な試練が待ち受けているに違いない。
そう、思ったのだが……ミロンの答えは意外なものだった。
「この階層はボス戦だけです。長いダンジョン攻略で疲れた身体と心を、この美しい世界で存分に癒やしてから挑むと良いでしょう」
「へ?そうなの?」
思ってもみなかった答えに、思わず間の抜けた声で聞き返してしまう。
「なんだか拍子抜けですわね」
「いやいやいや。良いじゃないですか、余計な手間が省けるのなら」
「だが、ボス戦はあるんだろう?それ自体が厄介な試練だと言うことだろう」
「まぁ、そうだろうね」
むしろ下手な小細工が無い分、今までで一番厄介なのかもしれない。
「でも、何処に向かえばいいんスか?」
「確かに……一面の草原だから、目的地が分からないですね」
う~ん……確かに。
周りを見渡しても、何か変わったものがあるわけでもない。
「まぁここに居たってしょうがないから、取り敢えず探索を始めてみましょうか」
何も目印がない場所を闇雲に探索するのは危険ではあるが、そこはロウエンさんやケイトリンの感覚が頼りになる。
そして私達は第79階層の探索をはじめるのだが……
30分ほど歩いていくと変化が現れた。
「うわ~……」
「おぉ……」
あまりの光景に、ただただ感嘆の声が漏れ出る。
私達の目の前には、何もなかった。
文字通りの意味で。
いま私達が立っている地面は、その数メートル先でバッサリ切り取ったかのように途切れており、その先にはただ何もない空間が広がるのみ。
端から眼下を見下ろしても、何も見えない。
地面も海面も確認できないのだ。
最初は、ここは高地で断崖になってるのかとも思ったのだが、どうもこれは……
「空に浮かんでいる……?」
そう、見える。
「これまでも特異ではあったけど、これは更に不思議度合いが増してますね~」
「……取りあえずは陸地の縁に沿って周ってみるか?」
「うん、そうだね。ボス戦だけだってことだし、どこかにその舞台があるんでしょう」
と言う事で探索を再開する。
陸地の縁を確認しながら……でも、あまり端っこを歩くと怖いので、十分陸地の内側を歩いていく。
最初のうちこそ、ミロンが言った通り美しい草原の光景を楽しんでいたが、代わり映えしない景色でもあるので早々に飽きてしまった。
ここが本当に空に浮かぶ島なのだとしたら何れは元の場所に戻ってくる事になるが…
途中、何もなければ内陸部を探索しなければならない。
だが、その懸念は杞憂に終わる。
陸の縁に沿って探索を始めてから小一時間程度経っただろうか。
それは唐突に現れた。
「これは……塔、か?」
天に向かって伸びる建造物、その外観は確かに塔と呼ぶべきものだ。
しかし、天を見上げてみれば……その行き着く先には、空に浮かぶ別の大地があった。
「……こんなのがあったのに、何で遠くから見えなかったんスかねぇ?」
「今更ダンジョンの不可解さを議論してもしょうがないけど、確かにそうだよね」
「認識阻害の結界でも張られてるんですかね?」
「とにかく行ってみましょう。きっと、あそこが戦いの舞台なのですわ」
ボス戦だけだという話だから、多分そうだろうね。
近付いてみると、塔の太さは……そうだね、丁度あの賢者の塔くらいだろうか。
だが、高さは比べものにならないくらいに高い。
それこそ前世の地球の高層ビルくらいはあろうか。
高さに対して凄く細く見えるので、ポッキリ折れてしまいそうだ。
塔には扉があり、そこから内部に入れるみたい。
さっそく扉を開けて中に入ると、そこには広々とした空間が広がるだけだった。
見上げてみれば天井は遥か遠く……というか見えない。
ようするに、この塔は中空の筒のようなものだ。
「あ、魔法陣があるよ!」
ミーティアが指差したところ、丁度へやの中央の床には彼女の言う通り複雑な魔法陣が描かれていた。
「うぇ……またコピーが現れるの?」
「いえ、かなり構成が異なるので違うと思います」
心底嫌そうに言うケイトリンの言葉を、リーゼさんが否定する。
確かに私の目から見ても、あの時の物とは雰囲気が違うように見えた
近付いて更に詳しく見てみることに。
こう言うのはリーゼさんの出番だね。
「何か分かりましたか?」
「そうですね……コピーの魔法陣の時もそうでしたが、現代の術式体系とはかなり異なるのでハッキリとした事は流石に分からないのですけど…」
そう前置きした上で彼女が語ったところによると……
・使用者が魔力を流すことで任意に発動させるタイプ。
・魔法陣は比較的単純な構成で、おそらくは単なるスイッチのようなもの。
・多分、塔そのものに組み込まれている魔法装置と連動してるのでは?
との事だった。
まぁ、シチュエーション的にはアレだよね。
賢者の塔にもあった仕掛けだ。
私がその事を伝えると、早速起動してみる事に。
私が代表して魔法陣の中心に立って、魔力の流れを意識して足元に流し込むようにイメージする。
すると、魔法陣は薄っすらとした輝きを放ち始めて……
ブォン……と、作動音らしきものが聞こえたと思えば、足元の床から淡く光る透明の床がせり上がってきた。
「わわっ!?」
「昇っていきますわ!」
うん。
やっぱりエレベーターだったか。
そうして私達は、塔の内部を上へ上へと昇っていく。
そして、その先には決戦の舞台が用意されていることだろう。
10
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる