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第十二幕 転生歌姫と謎のプリンセス
第十二幕 7 『神々の来歴』
しおりを挟む「……と言う事だったんだよ」
「そう……ダンジョンにそんな意味があったなんてね……」
今日は、最近何かと忙しくて来れてなかった神殿を訪れ、リル姉さんに最近の出来事……ダンジョンの話を報告したところだ。
「総体としての星の意思……私達などよりはよほど『神様』って感じね」
「人智を超える力を持つ者、という事なら変わりはないと思うけど。それに、人間の行く末を気にかけてくれてる姉さんたちは、私達にとって感謝して敬うべき存在である事も変わらないと思うよ」
「ふふ、ありがとう。でも、私達の方こそ人間たちには感謝しているのよ?」
「え?そうなの?」
「そうよ。……私達も寄る辺のない存在だったと言う点では、『異界の魂』と同じだったの」
「え?」
思いもよらなかった言葉に、戸惑いの声が漏れた。
寄る辺の無い存在……?
どういうことだろう?
……そう言えば、リル姉さんたち神々がどういう存在なのか、あまり気にしたことがなかった。
【私】はこの世界の住人として、当たり前の存在として受け止めているのだが……改めて【俺】の感覚で考えてみれば、実在する神と言うのは特異な存在だと感じる。
そして、リル姉さんから驚愕の事実が明かされる。
「私達はね……もともとこの星に生まれた生命体ではないのよ」
「……え?え~と、つまり……宇宙人ってこと?」
「そう…ね。そうとも…言えるわね」
思わずグ○イタイプの宇宙人が脳裏に浮かんでしまった。
だが、神様たちは私達人間と変わらない見た目をしている。
自分で言っておいてなんだが、あまりピンと来なかった。
「あなたがイメージするものとは少し違うかもしれないのだけど……口で説明するのは難しいわね……ともかく、私達はこの星では異邦人ということなの」
「異邦人……」
「私達が故郷の地を失い長い時を彷徨い続け……この地に辿り着いたときに出会った人々。彼らは私達を快く迎え入れてくれた。それがどれほど嬉しかったことか……」
その当時を懐かしむように穏やかな笑みを浮かべて語るリル姉さん。
そうか、だから……
「私達はこの地に来て救われた。ここが安寧の地になった。だから、その時の恩に報いるために私達の力をこの地の人々の役に立てようとしたの。……でも、隔絶した力は人々にとっては甘美な毒になりかねなかった」
そこから先は伝説でも語られていること。
神々の力に頼りきった人間達に別れを告げて地上を去った……
「でも、リル姉さんたちは今でも人々を気にかけて見守っていてくれる……」
「ええ。恩に報いるということだけではなく、もはや私達にとってもこの地は故郷であり、人々は家族のように大切な存在だから」
……何だか嬉しかった。
人を思いやる心で繋がったからこそ、神々は今でも私達を見守ってくれているのだと分かったから。
「だったら……私達だけでなく、リル姉さん達のためにも、この地は護らないとだね」
「ふふ、ありがとうカティア。でも、もし邪神などという存在が復活するのであれば……私達もただ引き籠もってるだけじゃ駄目かもね。この星に住む一員として」
「え!?地上に再臨するかも……ってこと?」
「それも選択肢として考えなければ、という事ね。実体を持たない身ではかつて程の力を地上で振るうことはできないかも知れないけど」
「そうだとしても、凄く心強いよ!!」
少なくとも人間の力を超越してるのは間違いないだろうし。
もちろん、自分たちの手で何とかしないといけないと言う気持ちはあるのだけど、もしリル姉さん達が直接的に力を貸してくれるのなら、こんなに頼もしいことはないだろう。
「……もちろん、他の神々とも相談しなければだけどね」
一時的にでも神々が再臨するなんてことになれば、きっとそれは新たな伝説になるだろうね。
「そう言えば、邪神の封印の地はグラナかも知れないということよね?」
「うん。ダンキチと賢者リュートはそう考えたみたいだね。話を聞く限りは私もそうだと思う」
「そう……実はグラナ本国の情勢は、私達神々にも見通せないのよ」
「う……そうなんだ……実はそれも今日相談したかったんだけどね……」
神々はある程度地上の様子を探ることができるはずだから、グラナも見れないかな~、って思ったんだけど……
「以前、黒神教が王都に結界を張って神界との繋がりを妨害したことがあったでしょう?あれと似たようなものが、グラナ全土を覆っていて、神界からは見通すことが出来ないのよ」
「そんな大規模な結界が張られてるの……?」
王都の結界は、地脈の力も利用した相当大規模な儀式魔法によって発動していた。
あれほど大掛かりな術式を用いても、精々が王都を覆うくらい……それでもすごいことなんだけど、国を丸々結界で覆うなんて……
「……もしかしたら、それこそが邪神の力の一端なのかもね。封印されてもなお地上に影響を及ぼすような強大な存在……なのかも」
もし、そうだとしたら……そんな存在に、果たして人間が対抗できるのだろうか?
私は、そんな不安な気持ちが湧き上がるのを抑えることができなかった。
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