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第十二幕 転生歌姫と謎のプリンセス
第十二幕 17 『対抗戦二日目』
しおりを挟むまた不思議な『夢』を見た。
おそらくは【私】の前世の記憶に関わるもの。
グラナについて知りたいと思ったら、ちょうどそれに関連しそうな内容だった。
これまでも、何かの兆候であるかのようにこの『夢』を見てきた。
果たして、今回もそうなんだろうか……?
リディアやテオフィールのパーティーの仲間である魔導士リシィがグラナ出身……どころか皇女だったと言う事実。
しかし彼女は300年も昔の人物だ。
いくらなんでも今のグラナの情報源として期待できるはずもないだろう。
だけど、何かが記憶の片隅に引っかかった。
かつての【俺】の記憶の中にある、前世のゲームにおける設定画の人物……顔の造作や雰囲気はリシィと似ている気がするけど、その色彩はまるで違う。
あるいは、それ以外の誰かに似ているのか……
そんな風に『夢』から醒めた後もずっと考えていたのだが、結局のところ答えは出なかった。
さて、今日は対抗戦の二日目である。
前日に続いて武術対抗戦は第二回戦が行われる。
そして、その他の目玉競技と言えば、シフィルが出場する予定の『マギ・ボール』だろう。
男女ペアで武術と同じように3ブロックのトーナメント戦を行い、勝ち抜いた3組による総当たり戦によって優勝を決める。
昨日のトップバッターであるルシェーラは、今日も最初の試合となるので、先ずは彼女の試合を応援することに。
「ルシェーラ、今日も頑張ってね!」
「相手は……2年生ね。昨日のドロテア先輩よりは楽そうだけど」
「どんな相手でも油断大敵ですわ。戦いの場では時に想像もつかないことが起きるのですから」
流石ルシェーラだ。
この娘は慢心とは無縁だよね。
とは言え昨日の対戦を見る限りは、シフィルの言う通りルシェーラの勝利は揺るぎないように思う。
そして時間になり、ルシェーラと対戦相手が武舞台に上がり……試合が始まった。
「ルシェーラお疲れ~」
うん、特に問題なかったね。
試合開始直後、飛び出したルシェーラが一気に間合いを詰めてハルバードを一閃。
それだけで決着が付いてしまった。
代表に選ばれるくらいだから相手も決して弱くは無いのだろうけど……それはあくまでも学生レベルの範疇だった。
「こう言うのは相手に失礼かもしれませんが……些か消化不良ですわね」
「やっぱり、あなたもこっち側なのよ」
「そうだねぇ……ダンジョンで相当レベルアップしてたし、もう実力差は殆ど無いと思うよ。というか、今戦ったら勝てるかどうか分からないね」
「だねぇ」
「いえ。私などまだまだですわ」
ルシェーラはそう言うけど、それは謙遜と言うものでしょう。
彼女は魔法は使えないけど、それを補って余りある身体能力がある。
戦闘センスもずば抜けてるし、勝てるかどうか分からないというのは偽らざる本音だ。
「さて……フリードの試合も見たいけど、今回はシフィルの方が優先だね。あ、ステラはフリードの方を見たいかな?」
「え?い、いえ。私もシフィルの試合を見るわ」
ちょっと動揺したね。
でも、ステラがシフィルを差し置いてそっちを見るなんて言わないか。
……ちょっと意地悪だったかな?
「じゃあ、みんな応援よろしくね!さぁ、行くわよ!トール!!」
「は、はい!シフィルさん!」
シフィルのペアとなる男子は、彼女と同じく『攻撃魔法研究会』に所属するトール君。
何だか気弱そうで、シフィルとのやり取りは姉御と子分みたいな感じ。
ちら……と、ルシェーラを見る。
彼女はふるふると首を振った。
ふむ、脈なしか。
最近何かと色恋沙汰が気になるんだよね……
「じゃあ、みんな行こうか」
そうして私達は武術対抗戦の会場を後にした。
「うぉいっ!!俺っちの応援はよっ!?誰もいなくなっちまったじゃねーかっ!?」
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