【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

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第十二幕 転生歌姫と謎のプリンセス

第十二幕 34 『魔薬』

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 アグレアス侯爵から『黒爪』の拠点を聞くことができた。
 父様に報告の上、早急に現場を押さえて対処しなくてはならないだろう。
 手土産と言うには十分すぎる話であった。


 そして……

「もうそろそろ時間ですかね……ガエル?」

「…そうですね。そろそろ『サバイバル戦』の方も、全位置情報の開示がなされて一気に決着まで進む頃かと思います」

 そーいやそうだった。
 衝撃的な話が多かったから、すっかり忘れてたよ……
 ステラたちは生き残ってるかな?


「では、今日のところはこれで、今後に向けての更に詳しい話は……」

 この場を締めようとエフィメラさんが言いかけたが、まだ私にはどうしても聞きたいことがあった。

「すみません、その前に……もう一つだけ聞きたいことがあります」

「?何でしょうか?」

 私はチラ、とガエル君を見てから疑問を口にする。

「ガエル君の突然のパワーアップについて。そして、今は消えてしまったようですが……先程までの彼からは、僅かにですが『異界の魂』や『魔族』に共通する気配が感じられた。その理由について」

「!?ま、まさか……ガエル!!あなた……あれ・・を使ったのですか!?」

 どうやらエフィメラさんにも想定外の事だった様子。
 だが、彼が何をしたかは分かってるみたいだね。


「……申し訳ありません。彼女をこの場に連れてくるために必要なことでしたので。それに、彼女には知ってもらう必要があるでしょう?その脅威も含めて」

「それはそうですが……だからと言って、そんな危険な真似を!!大体、どこで手に入れたのですっ!?」

 ……ふむ。
 どうやらガエル君の独断である、と。
 そして、それはエフィメラさんにとって忌むべき事……のようだ。

 だけど、蚊帳の外のままでは事情が分からないね。
 取り敢えず私の質問が原因なのだから仲裁しないと。

「エフィメラ様、どうか落ち着いてください。いったい、彼は何をしたのです?」

「カティア様……申し訳ありません、取り乱してしまいました。……そうですね、ガエルの言う通りカティア様には説明しなければならないことではあります。ガエルが使ったのは……『魔薬』と呼ばれるものです」

「『魔薬』?」

 響きからしてロクでもないもののように聞こえるよ。
 そして、多分その通りなのだろう。


「『魔薬』とは、黒神教の最高幹部『七天禍』の一人で魔族でもある『薬師くすし』が開発した恐るべき薬で……その名の通り、一時的に僅かながら魔族の力を得る事が出来るというものです。まだ実験段階とのことらしいですが……」

「そんなものが……」

 それに『七天禍』か。
 これまでに会ったのは『獣騎士』『奇術師』『調律師』の3人。
 何れも魔族として強大な力を持つ恐るべき敵だった。
 2人は倒したから、残るはあと5人……何れも難敵に違いないだろう。

 そんな魔族の力を僅かにでも得る事が出来る薬など……脅威以外の何物でもない。


「『魔薬』は恐るべき薬です。一度の使用であれば効果も小さく、殆ど副作用はありませんが……。服用を繰り返すことにより『魔』の力は徐々に強くなり定着していく。薬を飲むだけで強くなれるのです。しかし、当然危険な副作用があります。長期間多量に服用すれば、それだけ依存性も強くなり、性格も凶暴に……。そして、薬が合わない者は……やがてその身は崩壊し、異形となり果てる。そうなれば、あとはただ破壊衝動と……生きとし生けるものの魂を喰らう食欲が残るのみ」

「!!……それはまさか、あの時の?」

 私のお披露目パーティで、暗殺者の一人が突然異形に変じた。
 今まさにエフィメラさんが言ったように。
 そしてあの時、監視していたであろう者の存在も……
 あの時も、その結論に至ったが、あれはおそらく『実験』の経過観察だったのだろう。
 その『薬師』とやらの。


「そう言えばカティア様は既に遭遇していたのですね。ならばお分かりかと思いますが……あれは決して存在を許してはいけない薬なのです。例え強力な力を得て、戦力の増強に繋がろうとも」

「……ええ。あんなものが蔓延るなんて想像もしたくないです」

「そうです。……だから、ガエル。二度と服用してはなりませんよ?」

 そうエフィメラさんは念押しする。
 私としても同級生がそんなモノに手を出すのは看過できない。
 クスリ、ダメ、絶対。


「……分かりました。私としても、薬で得た力になど……なんの価値も感じません。今回は必要と判断したから使っただけです」

「「必要と思ってもダメだよ(です)!」」

「……はい」

 私とエフィメラさんのツッコミが被り、彼は渋々ながら了承するのだった。


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