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第十二幕 転生歌姫と謎のプリンセス
第十二幕 46 『続・市街戦』
しおりを挟むーーーー 王城 カティアの部屋 ーーーー
カティア達が黒爪を壊滅させるべく王城を出て暫く経った頃、ミーティアはカティアの部屋でお留守番をしていた。
「ママたち……大丈夫かな?」
「カティア様、テオフィルス様ならご心配には及ばないでしょう。ミーティア様もご存知の通り、お二人ともお強いですし……エーデルワイスの皆さんも、リュシアン様もおられます。それに、今回は何と言っても陛下も参戦しておられます。これ以上は考えられない布陣かと」
不安そうに呟くミーティアに、マリーシャは安心させるようにそう答える。
実際、この王都でも最強クラスの者達が勢揃いしているのは事実なので、彼女の本心からの言葉である。
「うん……そうだよね、マリーシャお姉ちゃん!」
マリーシャに言われて少しは安心したのだろう、いつも通りの元気一杯な彼女になったが……それは、やや空元気に見えなくもなかった。
そうして暫く部屋で過ごしていると、唐突にミロンが声を上げた。
「む?……ミー姉さま、何やら不穏な空気を感じます」
すると、ゼアルもミーティアの中から現れて言う。
「うむ。地脈に乱れがあるな。何やら強大な存在が現れたようだぞ」
「……ママたち、危ない?」
「どうだろうな?苦戦するとは思うけどよ」
「助けに行くの!!」
ミーティアの決断は早かった。
言うやいなや、彼女の身体は光に包まれて大きくなっていく。
そして……
「ミラクルミーティア参上!さぁ、行くよ!おじちゃん!ミーちゃん!」
「おじちゃんは止めろっての」
「了解であります!ミー姉さま!」
「[神帰回廊]!!」
すかさず転移の魔法を行使するミーティア。
そして、3人(?)はあっという間に消えてしまった……
「……はっ!?お、お待ち下さい!!」
あまりの展開の速さに呆気に取られていたマリーシャはようやく我に返るが、時既に遅し。
彼女も慌てて部屋を飛び出すのであった……
ーーーーーーーー
巨人との戦闘は膠着状態だ。
だが、私の[絶唱]の効果もあって、騎士達は獅子奮迅の活躍を見せている。
そして、ティダ兄の要請に即応じてくれた冒険者達も戦列に加わった事で、ついには巨人の進行を押し留め、学園の方へと誘導しつつある。
戦いの場が学園の野外訓練場に移れば……周囲の被害を気にせずに大技を使えるようになるだろう。
そこからが勝負だ。
「はぁーーーっ!![裂空銀閃]!!」
建物の屋根に登ったリュシアンさんが槍を振るう!
それは無数の銀の閃光となって巨人の一体を捉えた!!
『ぐがぁーーーっっ!?』
まともに胸部に直撃し、巨人は大きくのけ反る!
そして硬い装甲を貫いて無数の穴が穿たれた!
だが……!
「やはり再生速度が尋常じゃない……!」
これまでと同様に、瞬く間に傷は再生して、即座に反撃してくる!
『ぐおーーーーんっっ!!!』
ぶうんっ!!
大木のような腕が唸りを上げてリュシアンさんに襲いかかる!!
ドゴオーーーンッッ!!!
そして、リュシアンさんが居た建物を破壊して辺りに瓦礫が飛び散る!!
狙われたリュシアンさんは隣の建物に跳んで難なく回避しているが……
「おい!!リュシアン!!これ以上建物を壊させるな!!俺のポケットマネーが無くなっちまう!!」
「は、はいっ!!」
父様……
多分、母様から何か言われてるんだろうねぇ……
こんな緊迫した戦いなのに、余裕があるのか無いのか……
「だが、今の一撃で巨人たちの進路が変わったぞ。これならもう少しで学園の敷地に誘導できそうだ」
私の隣で[絶唱]の効果を増大させるべく印を発動してくれているテオが言う。
なお、今回は以前のように抱きつかれてはいない。
……ちぇっ。
テオの言う通り、3体の巨人は少しづつ学園に向かっている。
広い場所に誘い込めれば…………って、そのあとどうする?
父様、父さんの[鬼神降臨]なら大技で大ダメージを与えられるだろう。
だけど、それ以外だと……魔法が効かないと言うのがイタいね。
いくら何でも再生にも限度があるだろうから、何とか総力を上げて攻撃し続けるしかないだろうか。
私もどこかでタイミングを見て、印を発動して攻撃に加わるべきかも。
とにかく、今は広い場所に誘い込むのが先決だ。
ーーーー 学園 野外訓練場 ーーーー
「そろそろ……ここまでやって来そうですわ」
「いよいよね。腕が鳴るわ」
「二人共、無理は禁物よ。回避優先、騎士の皆さんの連携を邪魔しないように」
「ええ、心得てますわ。それよりも……シフィルさん?レティシアさんが仰ってましたが、どうやら相手は魔法が効かないとの事ですが……」
シフィルは魔法無しでも十分に強いのだが、本来は風魔法を駆使して戦うスタイルだ。
ルシェーラはその点を心配してるのだろう。
「ん~?まぁ……それならそれで、やりようはあるわよ。取って置きもあるから」
「まぁ……まだ奥の手がお有りなのですね。たのしみですわ」
(……何だかカフェで話しているのとまるで変わらない感じよね。頼もしいけど……二人とも、ちょっとおかしいわ……)
自分はこれからの激戦を想像して震えが止まらないと言うのに、まるで普段通りの二人の様子に内心で呆れるステラであった……
ーーーーーーーー
ーーーー 学園 某所 ーーーー
「待って!!ガエル!!」
「……」
「あなたも……戦いに行くと言うの?」
「……あぁ」
「そんな……ガエルが居なくなったら……私……私……!」
「……」
戦場へ赴こうとするガエルを、メリエルが引き留めていた。
彼女は深刻な表情で目に涙をためてガエルに縋り付く。
まるで、戦地に向う恋人との今生の別れを嘆くように……
「今ここでガエルが居なくなったら……誰が私を避難場所に連れて行ってくれると言うの!?」
「……はぁ」
「あ~!ため息ついたな~!もし私を置いていって迷子になって死んだら、化けて出てやる~!」
「分かった分かった……(殺しても死ななそうだが)」
仕方なくガエルは、急いでメリエルを避難させてから戦いに参加することにした。
(この状況なら……あの方は御自ら戦おうとされるはず。俺もどうにかして合流し、お護りせねば)
「えへへ~、じゃあよろしく!はい、しゃがんで!」
「……何故だ?」
「おんぶ。私の迷子を舐めちゃダメだよ!」
「……はぁ」
「あ~!!また溜息ついた~!!」
仕方がなくしゃがんだガエルの背中をポカポカ叩くメリエル。
緊迫感の欠片もない光景だった。
「ん~……私も行ったほうが良いかなぁ?」
「いや、あの巨人はどうやら魔法が効かないようだ。大人しく避難していたほうが良いだろう」
「……そっか。ガエルも無茶しないほうが良いんじゃない?」
「そうはいかない。あそこには護るべき御方がいる」
「(カティアの事かな?)……じゃあさ、もし治療の手が足りなかったらこっちに連絡するように言っておいて。治癒魔法には自信があるから!」
「分かった」
そうしてガエルは避難場所にメリエルを送り届けたあと、自らは戦地へ向かうために来た道を引き返すのであった。
ーーーーーーーー
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