465 / 683
第十二幕 転生歌姫と謎のプリンセス
第十二幕 48 『調律師』
しおりを挟む巨人たちとの戦いは、ルシェーラ達の加勢もあって優勢に進んでいた。
驚異的だった再生の能力も今は目に見えて落ちているので、巨人の装甲は損傷が目立ち始めてる。
何とかこのまま押し切れそうで、勝利は目前だ。
……そう、思っていた。
「でりゃあーーーっ!!!」
ザンッ!!
父さんの大剣の一撃が巨人の右腕を切り飛ばす!!
「これで最後よ!!はっ!せいっ!!」
そこにシフィルが止めとばかりに無数の爆裂魔弾(一本銀貨50枚)が放たれる!!
ドォンッ!!ドゴォンッッ!!ドドーーンッ!!
『ぐがあ……!』
幾つもの爆発音が鳴り響き、巨人の身体中に穴が空き……たまらず巨人は地に膝を付いた!
一方のルシェーラとリュシアンさんの婚約者コンビは、息の合った連携を見せる。
「はぁーーーっっ!![練気剛断]!!」
ザスッッ!!!
巨人の攻撃を掻い潜り、振るわれた腕を踏み台にして上空へ大きく跳躍したルシェーラは、『氣』を纏ったハルバードを大上段から一気に振り下ろした!!
『があああーーーーーっっっっ!!!??』
肩口から一直線に下に向かって大きく切り裂かれた巨人は、苦悶の声を上げる!!
そして、更に……!
「止めです!![銀閃乱舞]!!」
リュシアンさんの槍が無数の銀の閃光となって巨人に襲いかかる!!
そして、全身を穴だらけにされた巨人は……
ズズンッ……!!
大きな地響きを立てて、うつ伏せになって地に倒れるのだった!
そして、最後の一体も……
「『銀矢驟雨』!!」
『アォーーンッッ!!!』
騎士たちが一旦離れたタイミングを見計らって、ステラは無数の銀光の矢を放つ!
それは山なりの軌道を描いて雨あられと巨人に降り注ぎ、その間を縫うようにポチが爪の斬撃を幾度となく見舞う!
『ぐごぉ……!』
飽和攻撃に晒された巨人が身体中に細かな傷を負って怯んだその隙を狙って……
「喰らえっ!![剣閃]!!!」
父様の大剣から放たれた衝撃波が巨人の胴体を水平に薙ぎ払う!!
ザシュッ!!!
剣閃は巨人の腹部を大きく切り裂いて、血飛沫が舞った!!
そして、大ダメージを受けた巨人は、腹の傷を押さえて蹲る。
よしっ!!
巨人は3体とも戦闘不能なくらいのダメージを負った。
あとは止めを……!
そして、騎士たちが総力を上げて止めを刺そうとした、その時………!
「ふふ……中々やりますね。ですが、ここからが本番ですよ?」
何者かの声が聞こえた。
大きく叫んでるわけでもないのに、その声は戦場の喧騒の中でもやけに響き渡ってその場に居た全員がそれを聞いた。
「何者だ!!?」
「上です!!」
その声の元を辿ると、上空に人影か浮かんでいるのが見えた。
白銀の長い髪。
黄金の瞳。
その顔は……シェラさん!?
……いや、違う。
良く似ていたが、シェラさんよりも少し幼く見えた。
と言うか、彼女は……
「その声……『調律師』かっ!!!」
そう。
これまでフードで顔が分からなかったけど、その声は確かに『調律師』のものであった。
「シェラはどうしたんだっ!!?」
テオが調律師に問う。
そうだ、調律師はシェラさんと戦っていたはずだ!
まさか、シェラさんが倒されたのか……!?
「『堕天使』……姉さんは今頃夢の中でしょうね。殺してはいないから安心してください」
「姉さん……だと?」
シェラさんが調律師のお姉さん!?
と言う事は、彼女は……
「改めて名乗りましょう。私は黒神教七天禍が一柱、『調律師』のヴィリティニーアと申します。あ、愛称は『ヴィー』とか『ティニー』とか呼ばれてますよ」
愛称は別に聞いてないけども。
しかし、教団の重要人物とか自分で言って、これまで戦闘を避けていた彼女がこうして堂々と姿を表すのは……何かイヤな予感がする。
「……ご自慢のデカブツはもう虫の息だぜっ!!今頃のこのこ出てきて、どうするってんだ!!?」
「ふふ……ですから、これからが本番と申してるでしょう?……さぁ、黒魔巨兵たちよ。あなたたちの真の力を見せてご覧なさい」
そう言って彼女は目を閉じて集中し始める。
すると……彼女から、キィィン…という甲高い音ともに、『黒い光』とでも言うべき禍々しい波動が放たれた!!
「な、なんだ!?」
「何が起きるんだ!?」
「何という禍々しい波動ですの……」
「くっ……近づけない!」
[風神招来]で飛翔していたシフィルが接近戦を試みるが、黒い波動に阻まれて近付けない様だ。
彼女やステラも矢を放つけど、相手に届く前に不可視の障壁で阻まれる。
そして……
黒い波動を受けた巨人たちからも、凄まじい勢いで瘴気が溢れ出す!!
殆ど虫の息だった巨人たちは、あっという間に傷口も塞がって再び立ち上がる。
さらに、その身体が変容していくではないか!
黒はより黒く、光を飲み込むほどの漆黒へ。
甲虫のような装甲は無数の鋭い棘が全身を覆い尽くし、いっそう禍々しさが増す。
噴き出した瘴気はその勢いを減じるが、薄っすらと全身を覆って安定した。
そして、先程までとは比べ物にならない力を感じる……!
「さぁ、黒魔巨兵よ。この者たちを滅して、アクサレナを灰燼に帰すのです!!」
くっ……!
ここで食い止めなければ、本当に王都が壊滅しかねない……!
滅魔の力を持つ私も戦列に加わったほうが良さそうなんだけど……支援を止めたら一気に瓦解しかねない……
一体どうすれば……?
『『『グオーーーーーンッッ!!!』』』
内心で焦る私をよそに、新生した黒魔巨兵たちは雄叫びを上げて再びその猛威を振るい始めるのだった!!
10
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる