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第十三幕 転生歌姫と生命神の祈り
第十三幕 11 『迷子の理由』
しおりを挟む放課後、私はエメリール神殿総本山へと向かっていた。
ここ最近の出来事をリル姉さんに共有しておくためだ。
こっちの様子はある程度見えるとは言え、状況を全て把握出来るわけではないので、こうやってたまに共有しておく必要がある。
特に今回は、色々と情報がアップデートされてるからね。
「あ、カティア!どこにいくの~?」
神殿に行く道すがらメリエルちゃんに会った。
「こんにちは、メリエルちゃん。ちょっとエメリール神殿まで行くところ」
「そっか~、エメリール様にお会いしに?」
「そう。メリエルちゃんもお出かけ?」
彼女は寮暮らしなので、街中で会うということは彼女もお出かけなのだろう。
「うん。ほら、これ」
と言って彼女は何やら手紙のようなものをヒラヒラさせる。
「手紙?」
「うん。お姉ちゃんに出そうと思って。郵便局に」
あ、やっぱり手紙だったんだ。
この世界にも【俺】の前世と同じような郵便制度がある。
カルヴァード大陸の殆どの国に国際郵便を出すこともできる。
もちろんメリエルちゃんの出身国であるウィラーにも。
でも……普通は王族同士の手紙って機密なんじゃないの?
とも思ったけど、まぁメリエルちゃんだからね……
「じゃあね、メリエルちゃん」
「うん!またね、カティア」
そうして、一言二言立ち話をしてから別れた。
神殿にやって来た。
今日も多くの人で賑わい、皆思い思いに祈りを捧げている。
私も、周りの人たちと同じように祈りを捧げる(ふりをする)と、いつもの感覚が訪れて私の意識は神界へと引き上げられた。
「よく来たわね、カティア」
「やほ~、カティアちゃん!」
「宴会以来だな」
「こんにちは、リル姉さん。それに……リナ姉さんとリリア姉さんも来てたんだね」
神界で目覚めると、そこはいつもの森の広場。
テーブルセットの椅子に座ったリル姉さんとリナ姉さん、リリア姉さんがお茶をしているところだった。
「たまたまお姉ちゃんのとこに遊びに来てたんだけど、ナイスタイミングだったわね」
「うむ」
ということらしい。
ふと、リナ姉さんを見る。
「ん?どうしたの?そんなにまじまじと、私のこと見て?」
「あ、さっき神殿に来る途中で友達に会ったんだけどさ……リナ姉さんと似てるなぁ……と思って」
やっぱり印を受け継ぐ王家の人って、それぞれの神様に容姿が似てるなぁ……って改めて感じたのだ。
「カティアちゃんの友達って言うと……あぁ、あの娘ね」
「知ってるの?」
「そりゃあね。ウィラー王家なんだし、最近はやっぱり何かと気にかけてるから」
「カティアの事は他の神々も気にかけてくれてるし、そうなるとその周囲の人間も気になるものなのよ」
そうなんだ。
でも、そうやって私だけじゃなくて、他の人も気にかけてくれると聞くと嬉しいね。
「あの娘はねぇ…カティアちゃんの友達というのもあるのだけど、凄く資質があるから特に気になるんだよね」
「資質?」
「うん。もし彼女のお姉さんが印を受け継いでなかったら……多分、彼女が受け継いでたでしょうね。こと資質だけで言えば妹の方が上かも。……それどころか、ウィラー初代女王のメリアドールに匹敵するほどの魂の力の強さを感じるわね」
「へぇ……」
確かに、メリエルちゃんはレティにも匹敵する魔法の才能を持ってるし、そういう点も資質がありそうな感じはするね。
「でも、メリエルちゃんって凄い方向オンチなんだよね~」
「あ~……それは多分……。その辺もメリアに似てるのよね……」
「え?メリアドール様も方向オンチだったの?」
ウィラー初代女王メリアドール様の伝説、逸話はいくつか知ってるけど、そんな話は聞いたことがないなぁ……
「ううん、その逆。めちゃくちゃ方向感覚は優れてたよ。何の目印も無いような森の中でも全く迷わないくらいだもの」
「そう言えばそうだったわね」
「全然似てないじゃない……」
というかそれじゃ真逆でしょ。
「あの娘の迷子って、ちょっとおかしいでしょ?それこそ怪奇現象みたいに」
「う、うん。あれは迷子なんて生易しいものじゃないとは思ってたよ」
「あれはね、あの娘の中に眠る特別な力の影響なのよ」
「特別な…力?」
「メリアも持っていたその力……あの娘がそれに覚醒するかどうかは何とも言えないけど、もしそれに目覚めれば迷子も解消する……かも。仮に彼女が印を受け継いでいたら、ひょっとしてその力も発現してたんじゃないかな?」
「へえ~…………因みにどんな力なの?伝説では語られてないと思うのだけど」
「それはね………」
………
……
…
ほ~……そんな能力があるんだ。
『ゲーム』でも出てこなかったスキルだよ。
もし、その力にメリエルちゃんが目覚めたなら……と、そこまで考えて自戒する。
仮に、彼女が強い力を持っていたとしても、友達を戦いに巻き込むようなマネはしたくない……そう、思うのだった。
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