【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
514 / 683
第十三幕 転生歌姫と生命神の祈り

第十三幕 37 『縁』

しおりを挟む

「……神狼」

 メリエルちゃんの呟きに反応して、神狼は彼女に歩み寄る。
 心なしか、穏やかな微笑みをたたえてるような感じがする。
 尻尾がゆらゆら揺れてるのは、警戒を解いてリラックスしてると言う事だろうか。

 神々しさは変わらないが、先程までの強大なプレッシャーは鳴りを潜めた人懐こい様子の神狼は……ぶっちゃけ可愛い。

 ようするに。



 モ

 フ

 り

 たい!!!



 ずっと歩き通しだったから、そろそろ休憩も必要だし!

 私が手をワキワキさせてターゲット・ロック・オン!しようとしていると。


「……あれ?もしかして……ロビィ?」

『ウォンッ!!』

 メリエルちゃんに名前を呼ばれると、神狼は嬉しそうに一声吠えて尻尾をブンブンと振り回す。

「あれ?メリエルちゃん、お知り合い?」

「うん、そうみたい!うわぁ……久しぶり~!!」

『くぅ~ん』

 甘えるような声を出してメリエルちゃんにすり寄るロビィ。


 私の眼前には今……
 幼女(同い年)が大きなワンコ(狼)に抱きついてモフモフするという眼福な光景が広がっていた。

 あぁ……写像魔導具カメラを持ってくればよかった……

















「この子はねぇ……私が小さい頃、森で迷子になったと時にいつも助けてくれたんだ~」

『ウォウ』

「あぁ、やっぱり昔から良く迷子になってたんだね……」

 王女様がしょっちゅう森で迷子になるって……やっぱりウィラー王家は大らかというか、放任主義と言うか……
 普通は王族が外で遊ぶ事だって中々出来ないと思うけど。

「お姉ちゃんもね、いつも探しに来てくれて……ロビィと一緒に街に帰ると、困ったような顔をするんだけど、『お帰りなさい』って言ってくれて」

 昔を思い出しているのか、懐かしそうに……しかし、切なそうに語るメリエルちゃん。
 今もメリエナさんの事を思って、一刻も早く早く助けに行きたいと考えてるのだろう。



「メリエルちゃん…………必ず、助けようね!」

「こんなに凄い防衛体勢だもの。きっと、外から助けが来るのを信じて今も頑張ってるはずよ」

シギル持ちがこれだけ勢ぞろいしてるのだ。例え魔族が来ていようと返り討ちにしてやる」

 私とステラ、ジークリンデ王女の激励の言葉に、テオとイスファハン王子も同意して力強く頷く。


「みんな……うん!頑張ろう!」

『ウォウッ!』


 なお、このやり取りの間……私とメリエルちゃん、そしてジークリンデ王女はロビィに抱きついて、柔らかな毛皮を堪能中だ。

 シリアスな会話の間もだ!
 モフモフは正義だから!





「それにしても……ふわぁ~、柔らかくて暖かくて気持ちいい……爽やかな森の香りがするし。そう言えばポチも同じような匂いがしたなぁ……」

『ワフ』

「あぁ……プラタあのこもルナ・ウルフから幻獣化してるから」

 モフモフ堪能組には加わらず、何だか苦笑して見ていたステラが私の呟きに答える。


「え?そうなの?毛色がかなり違うけど……」

「幼体なのよ。と言うか、幻獣って召喚者の力によってその姿や能力が左右されるのだけど……私はまだ未熟だから、あの子の本来の力を引き出せてないの」

 何だか悔しそうな表情でそんな事を言うけど……


「今でもポチは十分強いのに……まだ成長の余地があるなんて凄いじゃない」

「……ふふ、ありがとう。そうね、もっと皆の力になれるよう、精進するわ」

 そうそう、何事も前向きに考えないと。


「実はね……あの子も、この森の神狼たちの祖先も、元を辿ればアダレットの森に住んでいたのよ」

「え、そうなの?それは初耳だな~」

「アダレット王家の伝承でしか伝わってないから……。月の女神パティエット様はシギルを託す候補を何人か考えてらっしゃったのだけど、そのうちの一人がメリアドール様の育ての親にあたる人だったんですって」

「へぇ~……」

「その方が魔境の森で暮らすのを心配して、パティエット様が使役していた番のルナ・ウルフの何組かを、森の番人代わりに連れてきた……と言われてるわ」

「ほぉ~……」

「そうなんだ~」

 意外なところで繋がってるものだ……と、しきりに感心してしまった。


「だからね、同じ盟約の十二王家という以外にも、ウィラーには縁を感じていたの。もちろん、メリエルが大切な友人だって理由も大きいわ」

 そうだよね。
 色々な『縁』があって私達はここにいる。
 それは遥か昔から受け継いだものだったり、新たな繋がりだったり。
 それはきっと、何かを成し遂げるための大きな力となるのだろう。










「さて……休憩は終わりにして、そろそろ先に進もうか」

『ウォンッ!!』

「あ、ロビィ、先導してくれるの?」

『ウォウッ!!』


 そうして私達は頼もしい味方を得て、更に森の中を征くのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...