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第十三幕 転生歌姫と生命神の祈り
第十三幕 56 『森都防衛戦10 決着?』
しおりを挟むさて……
ブレイグ将軍との決着を付けるため、戦いを受けて立つ事にしたものの。
もう私の印の発動限界は近い。
あっちの[鬼神降臨]がどれくらい持続出来るのか分からないけど……何れにせよ短期決戦を狙うしかないだろう。
ここまでの攻防を見る限り互角……
いや、先程はメリエルちゃんが守ってくれなかったら私の方がダメージを負っていたはず。
力に力で対抗していたのでは先程と同じだ。
だからと言って……魔法を織り交ぜるのもイメージが湧いてこない。
上級魔法は詠唱の暇がないし、無詠唱で放てる程度の魔法が通じるとも思えない。
そこまで考えた私は……
印の発動を止め、リヴェラを腕輪状態に戻す。
「……?」
ともすれば奇妙とも言える私の行動に、ブレイグ将軍は眉をひそめる。
少し怒っているようにも見えるけど、別に勝負を投げたわけでも相手を馬鹿にしてるわけでもない。
これは私なりの覚悟。
背水の陣とも言う。
なまじ力や武器に頼っていては、この強敵には勝てない。
そう、判断したのだ。
かつてティダ兄や父様と戦った時のように……自分自身を追い込んで、極限まで感覚を研ぎ澄ます。
そして、ただ無心となって最高の技を繰り出す。
それこそが武の極み。
「……」
ブレイグ将軍も私の覚悟を感じとったのだろう。
たぶん、一撃で勝敗が決するであろうことも。
無言で大剣を構え直す将軍。
対する私は、余分な力を抜いて特に構えを取らずに立つ。
一見して唯の棒立ちにしか見えないだろう。
緊張感が高まるとともに、私の意識から周囲の雑音が消え去っていく。
今はただ、目の前の相手に集中するのみ。
そして……
ブレイグ将軍の身体から、これまでで最も強烈な闘気が噴き上がる。
雄叫びを上げ、石畳を割り砕きながら突進を始める。
私の数メートル手前で大剣を大きく振りかぶる。
渾身の力でもって大剣が振り下ろされる。
それらの挙動の一つ一つが、まるで全てスローモーションのように私の目に映った。
大剣が私の右の肩口から袈裟に斬り下ろされようする、その刹那。
私は、ふわりと身を翻して大剣を躱す。
本当に文字通りの紙一重。
そして、ブレイグ将軍の腕を絡め取って、身体全体を使って巻き取るように……
「せぃやぁーーーーーっっっ!!!」
将軍の突進と斬撃の勢いを利用しながら、私自身の力も加えて加速させて地面に叩きつける!!
この揺るぎない大地こそが私の武器だよ!!
ズドォーーーンッッッ!!!
「ガハァッッ!!?」
まともに受け身もとれず全身を地面に打ち付けるブレイグ将軍。
自身の全体重と攻撃の勢い、そこに私の力も加わったのだ。
石畳が粉々に砕け散るほどの衝撃……いかに彼と言えどもただではすまないだろう。
「ぐっ……う……!!」
「勝負……有りですね?」
地面に仰向けに倒れたまま、身動きが出来ないブレイグ将軍。
命は取りとめたものの、流石にもう戦闘不能だろう。
「ああ……完敗だ。…………もはや、これまで。殺せ」
「え?イヤですよ。何で勝敗が決まったのに殺さなければならないんですか」
何で私がそんなことしなければならないのさ。
「将として……戦いに敗れておめおめと生き長らえるなど恥でしかない。死んだ部下にも申し訳がたたぬ」
……それは違うんじゃないかな。
「生きて責任を取るのも将の役割なんじゃないですか?早々にご退場なんて、そんな楽はさせられないです」
私がそう言うと、ブレイグ将軍は一瞬呆気にとられたような表情になり……そして、憑き物が落ちたように穏やかな表情となる。
「……ふ。ふはは……!これは、手厳しいな。いや、全くその通りだ。俺は生き残った兵のために、責任を取らねばならぬのだな……」
「ええ」
彼や生き残ったグラナ兵の処遇はウィラーが決めることだけど……
エフィとの約束もあるし、口添えはするつもりだ。
元々は国際会議でも話し合われた内容でもある。
そう考えながら、私はブレイグ将軍に手を差し出そうとするが……
その時、不穏な気配を感じ、私は慌ててそちらを振り向く!
「ひょひょひょ……ブレイグ将軍、困りますなぁ?お主たちの役割は死ぬまで戦うこと。いや、死んでも戦うことじゃよ?」
「誰!?」
突如として響いたその声を辿った先。
そこにいたのは……
フードを目深に被り、ローブを纏った怪しげな人物。
「ひょひょ……お初にお目にかかるのぉ、お嬢さん」
この気配……魔族か!!
決着がついたかのように見えた戦いだが……どうやらここからが本番なのかも知れない。
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