【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

文字の大きさ
587 / 683
第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪

第十四幕 37 『占星術師』

しおりを挟む

 賢者の塔の地下にて、ミーティアが行使した大転移魔法[天道律]の光に包まれた私達。
 眩い光のため閉じていた目を開いたとき、そこには不思議な空間が広がっていた。

 イメージとしてはアレだ……亜空間とか異次元空間とか、そんなやつ。

 光源などは見当たらないがぼんやりと明るく、互いの姿ははっきりと視認できた。

 何もない空間なので方向感覚は意味をなさないが、僅かに重力が感じられる。
 それを基準にすれば、どうやら私達は頭上に向かって飛翔しているようだ。





「一瞬で目的地に着くわけじゃないんだね」

 思わず呟く。
 転移魔法って言うくらいだから、目を開けたら目的地に着いていた……なんて想像していたのだけど。

「[神帰回廊]はこのような場所は通らないのですけどね」

 あ、シェラさんは[神帰回廊]を使えるんだ。
 確かに彼女はいつも神出鬼没だったね。





「不思議な場所だな」

「足場が無いと落ち着きませんわ……」

「私は空を翔ぶのは慣れてる方だけど、こう何も無いと感覚がおかしくなるわね」

「ここなら迷子になっても仕方がないよね」

 テオ、ルシェーラ、シフィル、メリエルちゃんがそれぞれ感想を言う。
 メリエルちゃんは、もう迷子の原因は解消されたはずだけど……染み付いたコンプレックスは中々根深いね。


「ミーティアちゃん、ここはどういう場所なのかしら?」

 ステラが術者であるミーティアに聞くと、皆の注目が集まる。

「ん~……私も良く分からない。直ぐに出口になると思うんだけど……ミーちゃん、分かる?」

「次元の狭間とか、異空間とか……そのようなものだと認識してますが、詳しい理屈なんかは私も分からないです」

 まぁ、彼女たちも術者としての手順は分かっても、そこまで細かい事は分からないか。

「取りあえず、ちゃんと目的地に辿り着ければ何でも良いよ」

 もしリーゼさんが居たら、考察に没頭してしまいそうではある。


 と、そこで何者かの声が……

『こいつは、地脈の流れをベースに大転移魔法の力で一時的に作られた異空間だな』

「その声は……ゼアルさん?」

『おうよ』

 そーいや、この人もいたんだっけ。

「姿が見えないということは……まだ力が戻らないんですか?」

 ゼアルさんには、レーヴェラントでの魔軍襲来の時、ダンジョン攻略の時、そして調律師との戦いの時と、何度も力を使ってもらっている。

『だな。短い期間で何度か力を使ったからな……流石に今回は力を貸すほどには戻って無いな』

「まぁ、しょうが無いですね……今回は見守ってて下さい」

『ああ。ま、神々の加護を得たお前らなら、大丈夫だろ』















 そうして、時空の流れのようなものに身を任せていた私達だったが……




 パリィンッ!!



 何もないはずの空間に、突如としてガラスが割れたような音が鳴り響いた!!


「えっ!?誰かが干渉を!?」

「ミー姉さま!!流れが変わります!!このままじゃ……!!」

「ミーティア!?何が起きたの!?」

 何か不測の事態が起きた事は、彼女たちの慌てた様子から分かるが……一体何が?


「誰かが私の魔法に干渉して、強制的に目的地を変えようとしてる!!」

「「ええっ!?」」

 こんな大魔法に干渉!?
 一体誰が……!?


「くっ!!ダメ!!制御が奪われる!!みんな気を付けて!!」

 き、気を付けろって……
 何をどう気を付ければ良いの!?


 そうこうしているうちに、進行方向にはトンネルの出口のような光が見え、あっと言う間に近づいたと思ったら……




















「ここ……は?」

 半ば呆然とした誰かの呟きが聞こえる。

 ふと気が付けば、私達は見知らぬ場所に立っていた。
 辺りを見渡せば……草木も何も無い、赤茶けた荒野が広がる。

 一体、何処に出てしまったんだ?





「そう簡単に、我らの聖地に足を踏み入れる事は出来ませんよ」

「誰っ!?」

 突如聞こえてきた、知らない女性の声。
 鋭く誰何の声を上げながら、声が聞こえた方を振り向くと……!


「お初にお目にかかります。私は黒神教、七天禍の一柱。『占星術師』のフォルトゥナです。……まぁ、覚えていただかなくても結構です。あなた達はここで死にますから」

 魔族の特徴である白銀の髪は、腰まで届く位の長いストレートヘア。
 前髪は眉の上できれいに切り揃えている。
 やはり魔族の特徴である黄金の瞳。
 そして、『占星術師』の名の通り、占い師が着るようなゆったりとしたローブに身を包む。

 神秘的で怜悧な美しさをもつ、妙齢の女性であった。



「あなたが転移魔法に干渉したの!?」

「ええ。星の巡りが重要な魔法ならば……私にとって、干渉するのは造作も無い事です」

 私が問い質すと、彼女は至極あっさりと答えるが……[天道律]ほどの大魔法に干渉するなど、並大抵の力の持ち主ではない。


 黒神教の本拠地たる『黒き神の神殿』で、七天禍と遭遇する可能性は高いと思っていたけど……やはり戦いは避けられないようだ。


「魔族……今の私達なら!!負けませんわよ!!」

「邪神を相手にするかもしれないんだ。こんなところで躓くわけにはいかん!!」


 そして、激戦の幕が上がる!!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...