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第十五幕 転生歌姫の最終決戦

第十五幕 13 『異界封じ』

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「…………」

 ダンジョンコアを両手で抱えて空中に佇み、目を閉じて意識を集中するミロン。
 私達は彼女を守るように周囲を固め、異界の亡者達を近付けさせないように全力を尽くす。


 暫くすると、ダンジョンコアが鮮やかな菫色の光を放ち始めた。
 そして、ミロンが神代語の祝詞のような言葉を紡ぎ出す。


『……我の意志は星の意志。我が希うは星の守護。地に流るる生命と念の力を以て、異界の扉を閉ざし封じ給え』

 次いで、彼女の口から流れるのは美しい旋律。
 歌……と言うよりは、まるでフルートのように澄んだ音色が優しく響く。

 みんな戦いの手を止めることはないが、思わず聴き惚れそうになる。

 旋律に乗って、まるで踊るようにコアが放った菫色の光が辺りに満ちていく。


 そして。



『顕現せよ!迷宮創世!!』


 ミロンの言葉に反応し、満ちた光が一際輝いて視界を染めあげる!


 パァッ!!


 光は一瞬で消え去り、そこには先程と変わらぬ風景が……
 だけど、何となく空気が変わったかのように感じられる。



「……ふぅ。成功です。完全ではないですけど、擬似的なダンジョン空間を生成しました。結界代わりになるので、これ以上湧いてくるのは防げるかと思います」

「ミーちゃん凄い!!」

 本当に凄いよ。

 天道律のサポートと言い……
 アクサレナダンジョンでのポンコツぶりからは、この活躍は想像もつかなかったよ。


 よし!

 こっちは早く片付けて……シェラさん達に加勢しよう!!













ーーーー シェラ ーーーー


「はぁーーーっっ!!」

「[滅雷・極]!!」


 もう何度目かになる攻撃を繰り出す。

 ロランの魔剣を駆使した連携攻撃に合わせて、私も間を補完するように攻撃魔法を放つけど……未だヴィーには有効打を与えられずにいる。


 やっぱり強い。


 邪神の波動が無くても強敵だったのに、今のあの子は……かつての魔王おとうさまの力をも凌駕しているかも知れない。

 だとすれば、今の魔王の力はどれほどのものになっているのか……



「[絶凍滅華]」


 はっ!?


「危ねえっっ!!」

「きゃっ!?」


 ヴィーの放った魔法の青白い光線が直撃する寸前、ギリギリのタイミングでロランが私を突き飛ばした!!


「リシィ!!しっかりしろ!!ボーッとするんじゃねえ!!」

「ご、ごめんなさい!!」


 そうだ、先の事を考えてる余裕なんて無い。

 今は目の前のヴィーに集中!!


「大丈夫よ!!」

「ああ。やっこさん、とんでもねえ強さだ。もう一手欲しい所だが……」


 ロランの言う通り、現状では攻め手に欠ける。
 それに、ヴィーにはまだ切り札が残されている。
 彼女にとってもリスクが高いから、早々には使えないとは思うけど……


 『星剣イクスヴァリス』……アルマ王国の至宝にして、かつてのテオフィールの愛剣。
 それは単なる切れ味の良い剣ではない。
 その真価は特殊能力にこそある。

 それは、前回の戦いで私が敗れた要因でもあった。


 あの子にそれを使わせる前に決着をつけたいところだけど……


 そう思ったとき、眼下に菫色の光が広がるのが見えた。

 あれは……!


「!?馬鹿な!!異界の扉を封じたというのですか!?」


 ヴィーが驚きの声を上げる。


 そうか、カティアさんたちが何とかしてくれたのね。
 異界の亡者がなんとかなるなら、みんなの支援も期待できるかも知れない。


 本当は自分の手で始末をつけたかったけど……

 今の私には頼もしい味方がいるのだから、力を合わせればいい。

 そして、皆であの子を止めるのよ!!
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