636 / 683
第十五幕 転生歌姫の最終決戦
第十五幕 39 『世界変革の舞台』
しおりを挟む………………
…………
……
「あ……あぁ…………」
ミロンの決死の覚悟による攻撃。
おそらくは、星の守護……ダンジョンを利用した何らかの結界。
彼女の生命を燃やして神殿の中に蟠る闇を全て吹き飛ばすような眩い光が放たれた……その時。
その圧倒的な光の奔流は空間を歪め、邪神リュートを時空の彼方へと封じ込めるかのように思えた。
しかし。
「……少し、肝が冷えたかな。だがミロンは私が創造したんだ。造物主に危害を加えられるはずがないだろう?」
言葉ほどには焦った様子でもないリュートが、淡々と告げる。
あの瞬間……光がリュートを捕らえたと思ったその時。
彼の手から放たれた闇の波動が、光に飲まれることなく一直線にミロンを貫いたのだ。
リュートの攻撃を受けた彼女は力を失って墜落し、地面に横たわってピクリともしない……
「あぁ……ミーちゃん……ミーちゃん!!!」
ミーティアの口から絶望の声が漏れる。
私とテオは呆然として声を発する事も出来ない。
「心配しなくても死んではいない。彼女の機能を一時的に停止させただけだ。私が止めなければ生命を失っていただろうが。もっとも……私を倒さない限りは二度と活動を再開する事も無いから、結果は同じかも知れないが」
やはり感情の籠らない声でリュートは告げる。
……一先ず生命を奪った訳では無い事にホッとする。
しかし……生命を賭けたのミロンの攻撃は不発に終わり、万策尽きたかのように思われた。
「……ふむ。思ったより空間に歪みが生じているな。折角だから、利用させてもらおうか」
「……一体何を?」
「なに、いい機会だから……世界変革の時を、皆にも見てもらおうと思ってね」
そう言って、リュートが両手を広げると彼の周囲の景色が歪み始める。
「空間が……歪んでいる?」
「何をするつもりだ!?」
私とテオの言葉を無視してリュートは意識を集中させ、空間の歪みは更に広がっていく。
「あ…………跳ぶ…………?」
ミーティアが小さく呟く。
その瞬間……!!
歪みは反動をつけるかのように一旦収縮し、その後、爆発的に広がる!!!
「「!!!!??」」
歪みが私の身体を通り抜ける瞬間、ぐにゃり……と、まるで天地をひっくり返されたかのような強烈な目眩を感じた。
そして次に襲い来るのは浮遊感。
地に足をつけてるはずなのに、空を飛んでるような錯覚に陥る。
これまで感じたことがないような様々な感覚で私の頭の中は混乱の嵐が吹き荒れた。
どれくらいの時間が流れたのか。
一瞬のことだったのか、それとも長い時間が過ぎ去ったのか。
それすらも判然としないまま、唐突に正常な感覚が戻ってきた。
そして、私はあり得ない光景を目にする。
「空が…………」
神殿の中に居たはずなのに、空が見える。
もう夕暮れ時が近いのか、太陽はかなり傾きつつあった。
そして、私達が立っている場所はそのままだが……ある地点から先の床がない。
大きな円形を描くように、バッサリと切り取られている。
これではまるで……
「まさか……空に浮いてるのか?」
そう。
周りの景色を見る限り、私達の立つ場所は空に浮いているようにしか見えなかった。
天空に浮かぶ島……それを結界のように歪みが球体状となって囲んでいる。
「さあ、ここが世界変革のセレモニーを行う為の特設舞台だ。この場所の出来事は世界中の人々に見てもらえるようにしてある。そして、舞台の主役は……カティア、君だ」
感情を感じさせなかったリュートの顔に、初めて愉悦の笑みが広がる。
狂気を孕んだその嗤いに、私は恐怖で身体が震える。
どんなに虚勢を張ろうとしても絶望がじわりじわりと私の心を蝕んでいく。
あぁ……このままでは……
闇が押し寄せてくる。
10
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる