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第十五幕 転生歌姫の最終決戦
第十五幕 44 『繋がる世界』
しおりを挟むーーーー テオフィルス ーーーー
「カティア、ミーティア……戻ってくるんだ、俺たちのもとに!!」
脈動する『闇』を前に、俺は呼びかけ続ける。
12柱の神々は闇を取り囲んで意識を集中し、これ以上闇が広がらないように抑えてくれていた。
神々の力は共鳴し、柔らかな光の波動が広がってこの場を満たす。
「カティア!!目を覚ませ!!闇に呑まれるな!!」
俺は幾度となくカティアに呼びかける。
恐らくは、ミーティアも闇の中でカティアを助けようとしているはずだ。
そうやって、諦めずに何度でも……!
すると。
何かが繋がるような感覚がした。
心の奥底、俺の精神の根幹……いや、それよりも更に根源的なところ。
この星の生命あるものが共有する無意識の領域を介して……
「カティアさん!!」
「カティア!!しっかりしなさい!!」
「カティア!!頑張って!!」
邪神の攻撃を受けて倒れていたはずの仲間たちが次々に起き上がり、闇の中のカティアに呼びかけ始めた。
そして更に……もっと多くの声が聞こえ始める……世界が繋がる!!
ーー アクサレナ エーデルワイス歌劇団 ーー
ダードレイたちエーデルワイス歌劇団の面々は、神妙な面持で上空に現れた邪神の舞台を見上げていた。
そして、神々の光の波動は地上にも届こうとしていた……
「大将……カティアちゃんがピンチッス!!」
「大丈夫だ。あいつは俺の……俺たちエーデルワイスの娘だ。辛気臭え邪神なんて輩なんかに負けるはずが無ぇ」
「その通りだ。だが、ほんの少しばかり苦戦しているようだ」
「カイト君が頑張ってるわ~。私達も一緒に、カティアちゃんに声を届けるのよ~!」
「よし!!お前ら!!気合い入れて声を出せよ!!」
「「「おうよ!!」」」
ーー アクサレナ学園 ーー
同刻。
アクサレナ学園では授業どころではなくなり、教師も生徒も校舎の外に出て、祈るような気持ちで空を見上げていた。
「カティア……頑張って!!貴女には鉄道開業の乗客第一号になってもらうんだからね!!絶対に帰ってきてよ!!」
レティシアも他の生徒たちと一緒にカティア達の無事を祈っていた。
すると……
「あ……これは……アリシアさんの歌?」
美しい歌声が響き渡る。
英雄を称え勇気付ける歌。
その歌声が皆の心を一つにまとめ、学園中からカティアの名を呼ぶ声が上がる。
「カティア……ほら、みんな応援しているよ!頑張って!!」
そしてレティシアも両手を組んで空を見上げ、あらん限りの声でその名を叫ぶ。
ーーーー アクサレナ王城 ーーーー
「お姉様!!ミーティアちゃん!!テオお兄様!!がんばれーーっっ!!」
クラーナが王城のバルコニーから空を見上げて懸命に声を張り上げる。
「カティア……とうにお前の力は私を超えている。邪神を倒して真にこのイスパルの……いや、世界の英雄となって帰ってこい……!」
「カティア……どうか無事に……姉さん、カティアを護って下さい……」
ユリウスとカーシャも、カティア達の勝利を信じて空を見上げる。
そして、王城中の誰もが、敬愛する主のために祈りを捧げその名を呼ぶ。
ーーーー ウィラー王国アルマ地方 ーーーー
グラナとの大戦がほぼ終結して、連合軍の兵士たちの間には安堵の空気が流れようとしていたが、上空に現れた邪神の舞台に再び緊張感を強いられていた。
「あそこでカティア様達が戦っておられるのか……もはや私達に出来るのは、あの方の勝利を信じて祈るのみ……か」
「神々もあそこに行ってしまわれた……カティア様、どうかご無事で!」
「ホントはご一緒したかったけど……私頑張りましたよ!だからお帰りになったら褒めてください!!」
リュシアン、オズマ、そしてケイトリンがカティアの勝利を信じて祈る。
「カティアさん、これが終わったら……グラナとカルヴァードの新たな時代を、私達の手で築き上げましょう」
エフィメラは、来るべき未来に思いを馳せて祈る。
ーーーー デルフィア王国 ーーーー
「カティア殿……貴女はきっと成し遂げる。私は信じている。帰ってきたらまた一緒にダンスを踊ろうじゃないか」
ジークリンデはカティアの勝利を信じて疑わない。
そして、少し気の早い祝杯をあげるように手を高々と突き上げて……
「勝利を!!」
「「「勝利を!!!」」」
ジークリンデの声に合わせて、兵たちが唱和する声が大地に木霊した。
ーーーー レーヴェラント王国 ーーーー
「……姫さん、また来年リベンジするんだからよ、絶対帰ってこいよ!」
「心配いらないさ、彼女は邪神なんかに負けやしない。必ず勝って帰ってくる」
「テオフィルス……しっかり姫を護るんだぞ。僕の義妹でもあるんだから」
ラウル、イスファハン、アルフォンスの三人もカティア達の信じて空を見上げ、彼らの勝利を願う。
ーーーー ウィラーの聖域 ーーーー
ウィラー聖域の上空にも邪神の舞台は確認することができた。
天を突くほどに高い王樹から天空を見上げるのは、リュートとメリアドールの二人だ。
「あなた……ラスボスだったの?」
「いやあ……自分でも驚きだよ……まさか本人がこんなことになってるなんて、思いもよらなかった」
メリアドールの言葉に、リュートは何とも言えない表情で答える。
「だけど、私はカティアさんを応援するよ。彼女ももう一人の自分だからね」
「当然でしょう。さぁ、カティアさん……いよいよ大詰めね。全ての因縁を断ち切る……あなたなら必ずやり遂げるわ。この世界は現実よ。ゲームに囚われたリュートなんかさっさと倒してしまいましょう」
「……耳が痛いよ、メリアさん。でも、その通りだ」
王樹の空は、夕日に染まりつつあった。
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