【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

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後日談3 学園祭狂詩曲〈ラプソディー〉

演者は集う

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「うぷ…………酷い目にあったよ……」

「だ、大丈夫?」

 真っ青な顔になってるレティシアを、カティアが心配そうに声をかけながら背中をさすっている。
 レティシアは特に乗り物酔いなどしない方なのだが、縦横無尽に高速機動するカティアの動きには流石についていけなかったようだ。




 モンスター・メイズの最終エリアにて、大魔王(笑)メリエルの猛追を受けながら、息も絶え絶えになんとか出口まで逃げ切ったカティアたちだが、今は模擬店の一つでゆっくりと休憩中だ。


「レティの調子が戻るまで、ここでゆっくりしていこうか」

「ありがと~……うぷ。カティアやテオさんはともかく、リディーも案外ケロッとしてるよね……」

 リディーが気遣わしげに言うと、レティシアは意外そうな目を彼に向ける。

「鍛えてるからな。……最近、色々と思うところがあって」

「へぇ~、そうなんだ~。いいね、健康的で~」

 リディーの答えにレティシアはのんきにそんなことを言うが、それを見ていたカティアは内心でため息をついた。

(この娘は相変わらず鈍感だね……リディーさんも苦労するよ)

 要するにリディーは、レティシアを守るために身体を鍛えてるということなのだが……そんなことは鈍感娘には伝わらないのだ。
 告白されるまで自分の想いに気が付かなかっただけのことはある。


「あ、それよりカティア……そろそろ準備しないとなんじゃない?」

「ん?あぁ……そうだね、そろそろかな。もう少し見て回りたかったけど、まだ明日もあるか。他の皆のクラブのところはその時かな」

 レティシアが聞くと、カティアはそう答えた。
 彼女が出演する演劇・合唱クラブ合同のミュージカルの開演時間はもう少し先だが、開演前の準備のため早めに集まることになっている。


「父様に母様、ミーティアやクラーナも明日来るって言ってたから、まだ行ってないところはその時一緒に見て回るよ。……ミーティアとかはモンスター・メイズ行きたいって言いそうだけど……」

「あぁ……それは間違いないだろうな」

「またアレに挑むのか……いや、クラーナもいるんだから、難易度をちびっ子モードにしてもらわないと」

 フローラの話では、小さな子供連れ向けの難易度もあると聞いていたので、そうしてもらおうと彼女は考えた。
 ミーティアには物足りないかもしれないが……とも。


「まあいいや……それじゃあ私はそろそろ行くね。レティたちはもう少し休んでくんでしょ?カイトはどうする?」

「俺はダードさんたちと合流してから、カティアの舞台を見に行くよ」

 レティシアとリディーに気を使ったらしい彼はそう言って、カティアに続いて席を立つ。


「私達も少し見回ってから行くね~」

「うん、楽しみにしててね。またね!」




 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




 カティアが皆と別れて大ホールのある建物までやって来ると、そこには既に長蛇の列が出来ていた。


「うわぁ……まだ開演まで結構時間があるのに、もうこんなに並んでるんだ……」

 チケットは午前から販売が行われていたはずだが、この様子だと既に売り切れと思われる。
 特に座席指定は無いので、おそらくはより良い席を確保するために並んでいるのだろう。



「あ、クラリス先輩、お疲れ様で~す」

「……?」

 列の長さに驚きながら裏手の通用口に向かおうとしたカティアは、その途中で同じ方向に向かうクラリスに気付いて声をかけた。
 ちょうど彼女も開演準備のためにやって来たようだか、声をかけられて怪訝そうな表情をしている。
 しかし、まじまじとカティアの顔を見ると、ようやく気がついたようだ。


「あ……もしかしてカティアさん?髪の色が違うから気が付かなかったわ。それにその格好……」

「あ、これは1年1組の『メイド・執事喫茶』の制服です。宣伝も兼ねて、自由行動の間もこの格好することになってるんです。髪の色は……普段のままだとこの格好に合わないって皆が言うから……」

「まあ、そうでしょうね。もし普段のままだったら……あそこに並んでる人たちに気が付かれて大変な事になってたかもしれないわ」

「そうでしょうか……?それにしても、お客さん凄いですねぇ……」

 いまいち自覚のない彼女はクラリスの言葉に首をひねりながら、改めて来客の多さに感嘆する。


「そうね。合唱も演劇も、こんなに集まってもらえるのは初めてのことよ。やっぱりカティアさんの名声は凄いわ」

「いえ、私は今回メインじゃないですし……たぶん、『協力:エーデルワイス歌劇団』が効いたんじゃないですか?」

「もちろんそれもあるんでしょけど、やっぱりカティアさんの影響も大きいと思うわよ」

「そんなんですかね……。う~ん……演劇は初めてだから、あまり注目されると緊張しちゃうな」

 歌姫としては舞台慣れしてる彼女も劇に出演するのは初の試みなので、改めて注目されてると言われると緊張を感じてしまう。


「まあ、緊張を飼いならすのもプロですからね。頑張ります」

「ええ、頑張りましょう!」



 カティアの演者としての初舞台。
 そして世界でも初の試みとなるミュージカルの舞台は、果たして成功するのか?
 演者たちは続々と大ホールへ集結し、舞台の幕が上がる時を待つ。

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