【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I

文字の大きさ
33 / 151
剣聖の娘、騎士登用試験を受ける……?

お料理対決

しおりを挟む

 後宮審査会第二の課題。
 その実施場所として案内されたのは後宮の厨房だった。
 果たして、ここで行われる課題とはいったい何なのか?


 戸惑う令嬢たちをよそに、ドリスは説明を始めた。


「皆様方には何名かのグループになっていただき……お料理を一品作って頂きます」

 戸惑いの空気がどよめきに変わる。
 それも無理からぬ事だろう。

 彼女たちはみな貴族……それも名家の出だ(1名除く)。
 毎日の料理は専属の料理人が作るのが常であり、自らの厨房に立つことは無いのである。




「私達に使用人の真似事をさせるというの!!馬鹿にしているわ!!」

 その時、怒りをあらわにした令嬢の一人がドリスに食ってかかった。
 他にも何人か彼女に同調して詰め寄る。


「馬鹿になどしてはおりません。これはれっきとした審査なのです。ご了承頂けないようでしたら、残念ですがこれ以上はお引取り頂くことになります」

 怒れる貴族令嬢たちに詰め寄られても、萎縮することなくドリスは淡々と言う。
 使用人の立場では貴族に強く出られれば、そうそう抗うことなど出来そうもないが……彼女は中々の胆力を持っているようだ。


「くっ…………だけど、私……料理なんてした事ないわ!!」

「私もよ!!」

「こんな審査……意味がないわよ!!」

 審査終了をチラつかされて幾分かトーンは落ちたものの、尚も言い寄る令嬢たち。







 その様子を見て、ため息をつきながら小さな声で呟く者が。

「ふぅ…………彼女たちは、この試験の意図が分かって無いようね……」

「え?レジーナ様はお分かりに……?」

 呟いたのはレジーナ、それを聞いて問うたのはミレイユ。
 二人は王都の社交界で面識があり友人と言っても良い間柄だ。


「推測ではありますけど。後宮に住まうのが、どういう者なのか……それを考えれば自ずと答えはでます」

「えっとえっと……みんなで力を合わせて頑張ろう!!って事ですよね!!」

 二人が話しているところに、エステルも加わった。
 エステル的にはミレイユはもう友達だから。


「あ、あなた……人の話に勝手に入って……」

「あなたはエステルさんでしたわね。先程のダンスはとても見事でした」

 ミレイユは突然話に入ってきたエステルに文句を言おうとするが、レジーナは気にした様子もなくエステルに話しかけた。


「ありがとうございます!!え~と、あなたは……」

「私はレジーナ・エルネアと申します」

「よろしくお願いします!……あれ?国と同じ名前……」

 いくら世の常識に疎いエステルであっても、流石にそれには気が付いた。

 この国の名はエルネア王国。
 その名と同じ家名、それはつまり……


「ええ、私はエルネア王家に縁のある者です。とは言っても……」

「レジーナ様は今この場にいる誰よりも高貴なお方なのよ。あなたが気軽に話しかけられるものではないのよ!」

「王家に縁の方……(え~と、王様の親戚って事だよね、すごいんだぁ……)」

 取り敢えず、何だか凄く偉い人だと理解したエステル。

「それで……レジーナ様は、先程のお話はどうお考えでござるか?」

 ……そんな謎敬語 (?)が飛び出した。
 偉い人相手ということで、彼女なりに敬意を示したのだろうか?
 そして、その言葉は一体誰に教わったのか……


「ご、ござる……?慣れない話し方をするくらいなら、別に変えなくてもいいですよ。……先程の話なら、エステルさんが仰った通りです」

「え……?力を合わせて……という?」

 レジーナがエステルの先の言葉を肯定し、ミレイユがキョトンとした表情で言う。
 
「ええ。ほら、まだ説明の続きがあるみたいですよ」








「皆様がご心配されるのはもっともでございますが……ご安心ください。皆様のサポート要員として、王城の専属料理人を各チームにお付けいたします。ただし彼女たちは助言を行うのみ……あくまで手を動かすのは皆様方であることはご承知おきください」

 ドリスのその説明で、最後まで抗議していた令嬢たちも渋々ながら押し黙る。
 口調は丁寧だが、雰囲気から最後通告だと察したのだろう。
 それに、料理のプロがアドバイスしてくれるなら何とかなる……と思ったのもあるかもしれない。


「ご理解いただけたようで何よりです。……では、グループ分けを発表させていただきます」


 一悶着あったが、どうやら第二の課題がようやく始まるようだ。
 そして、ドリスが発表したグループ分け……エステルがどうなったかと言えば。


「よろしくお願いしますね、レジーナさん!ミレイユさん!!」

「ええ、よろしくね」

「……ふんっ!足を引っ張らないでよね!」

 先程から一緒に話をしていたレジーナとミレイユが同じグループとなるのだった。

 果たして彼女たちは、力を合わせて見事に課題を乗り切ることは出来るのだろうか?


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

処理中です...