9 / 11
3月13日 木曜日
しおりを挟む
2人して黙々と食事をする。
他の人はこんなあたしたちを見てどう思うだろうか。
いや。
そもそもランチタイムには少し早い時間だから見る人もいない。
「さて。
どうする?
俺と付き合う?」
箸を置いて村田は言った。
「だ、だからっ。
昔付き合った男を見返すためだけに付き合うっていうのがおかしいでしょ?」
「ああ。
肝心な事を言ってなかったな。
俺は木崎のこと、好きだぞ。」
「は。」
今、幻聴が聞こえた?
「木崎が好きだと言ったんだが聞こえなかったか?」
「えっと…本気?」
「本気だ。
その前提がなければそもそも付き合おうなんて言わないがな。」
あたしは頭を抱えた。
「だったらますます、村田くんとは付き合えない。」
「木崎らしい返事だな。」
ウェイトレスが御膳を下げ、新しい灰皿を持ってきた。
「ありがとう、って言ったらいい?」
「いや。
まあ、そんな木崎だから惚れたんだけどな。」
好きだの惚れただの、よくシラフで言えるな、この人は。
「木崎が恋愛に興味がないのはわかってた。
男女分け隔てなく、浅く広く付き合ってるのを見てきたから。
だけど、10年頑張ったんだからそろそろ潮時でよくないか?
まあ、俺と恋愛してくれれば文句なしだが、木崎の事を気にしている奴は他にもいるし…。」
「村田くんはあたしのこと、あたし以上にわかってるんだね。」
「木崎、好きな相手のことは何でも知りたいし、知りたいと思ったら相手が何を考えて動いているのか見るものだ。
そうしたら色々気がつくこともある。」
この人は…。
「返事、明日まで待ってやる。
一晩よく考えろよ。」
会社の隣の駅で降ろしてもらい、あたしは会社に戻った。
電車の中でスマホが震えてあたしは確認した。
『村田に誘拐されたって聞いたけど大丈夫?
夜ご飯食べに行こう。
残業終わるの待ってます。』
相手は美保だった。
話がどうして誘拐になってるんだ…。
あたしはため息をついて了解のスタンプを送った。
午後は午前に比べれば随分サクサク仕事が進んだ。
終業のチャイムがなり、デスクの上を片付けているとデスクの上に小さな箱。
「笠井くん?」
「1日早いですけどお返しです。」
「え?」
お返しって。
「明日はホワイトデーですよ。」
あら。
「すっかり忘れてた。」
「木崎さんあれだけたくさんチョコを配り歩いてたのに。」
「義理ばっかりだけどね。」
義理しかなかった。
「明日は主任と食事だと聞いているのでフライングです。」
「そんな、気にしなくていいのに。」
「こちらが気にするので。
ではお先に失礼します。」
ぺこりと頭を下げて笠井くんは帰って行った。
そうしたら次から次へとお返しの山。
「ちょっと。
これ、どういう事ですかっ?」
最後に持ってきた水戸さん、営業、2年先輩を捕まえた。
「明日、主任とデートだろ?
デート当日に他の男からもらったもの抱えてたら木崎が危険だからな。」
「明日はデートじゃありませんっ!
それに危険って…。」
「危険、危険。
大事な事なので2度言いました。
ここ、テストに出るから覚えとけよ。」
あたしはため息をつく。
「何のテストですか。」
「まぁ…。
明日のデートのテストに、だな。
じゃあ、な。」
水戸さんはそう言って帰って行った。
デスクの上に置かれたお返しは数えると12個あった。
義理チョコは18個買ったから明日も何人か持ってくるということか。
あたしは1度ロッカーに戻って自分の荷物を取ってくる。
バッグからエコバッグを取り出しそこにお返しを詰めていった。
他の人はこんなあたしたちを見てどう思うだろうか。
いや。
そもそもランチタイムには少し早い時間だから見る人もいない。
「さて。
どうする?
俺と付き合う?」
箸を置いて村田は言った。
「だ、だからっ。
昔付き合った男を見返すためだけに付き合うっていうのがおかしいでしょ?」
「ああ。
肝心な事を言ってなかったな。
俺は木崎のこと、好きだぞ。」
「は。」
今、幻聴が聞こえた?
「木崎が好きだと言ったんだが聞こえなかったか?」
「えっと…本気?」
「本気だ。
その前提がなければそもそも付き合おうなんて言わないがな。」
あたしは頭を抱えた。
「だったらますます、村田くんとは付き合えない。」
「木崎らしい返事だな。」
ウェイトレスが御膳を下げ、新しい灰皿を持ってきた。
「ありがとう、って言ったらいい?」
「いや。
まあ、そんな木崎だから惚れたんだけどな。」
好きだの惚れただの、よくシラフで言えるな、この人は。
「木崎が恋愛に興味がないのはわかってた。
男女分け隔てなく、浅く広く付き合ってるのを見てきたから。
だけど、10年頑張ったんだからそろそろ潮時でよくないか?
まあ、俺と恋愛してくれれば文句なしだが、木崎の事を気にしている奴は他にもいるし…。」
「村田くんはあたしのこと、あたし以上にわかってるんだね。」
「木崎、好きな相手のことは何でも知りたいし、知りたいと思ったら相手が何を考えて動いているのか見るものだ。
そうしたら色々気がつくこともある。」
この人は…。
「返事、明日まで待ってやる。
一晩よく考えろよ。」
会社の隣の駅で降ろしてもらい、あたしは会社に戻った。
電車の中でスマホが震えてあたしは確認した。
『村田に誘拐されたって聞いたけど大丈夫?
夜ご飯食べに行こう。
残業終わるの待ってます。』
相手は美保だった。
話がどうして誘拐になってるんだ…。
あたしはため息をついて了解のスタンプを送った。
午後は午前に比べれば随分サクサク仕事が進んだ。
終業のチャイムがなり、デスクの上を片付けているとデスクの上に小さな箱。
「笠井くん?」
「1日早いですけどお返しです。」
「え?」
お返しって。
「明日はホワイトデーですよ。」
あら。
「すっかり忘れてた。」
「木崎さんあれだけたくさんチョコを配り歩いてたのに。」
「義理ばっかりだけどね。」
義理しかなかった。
「明日は主任と食事だと聞いているのでフライングです。」
「そんな、気にしなくていいのに。」
「こちらが気にするので。
ではお先に失礼します。」
ぺこりと頭を下げて笠井くんは帰って行った。
そうしたら次から次へとお返しの山。
「ちょっと。
これ、どういう事ですかっ?」
最後に持ってきた水戸さん、営業、2年先輩を捕まえた。
「明日、主任とデートだろ?
デート当日に他の男からもらったもの抱えてたら木崎が危険だからな。」
「明日はデートじゃありませんっ!
それに危険って…。」
「危険、危険。
大事な事なので2度言いました。
ここ、テストに出るから覚えとけよ。」
あたしはため息をつく。
「何のテストですか。」
「まぁ…。
明日のデートのテストに、だな。
じゃあ、な。」
水戸さんはそう言って帰って行った。
デスクの上に置かれたお返しは数えると12個あった。
義理チョコは18個買ったから明日も何人か持ってくるということか。
あたしは1度ロッカーに戻って自分の荷物を取ってくる。
バッグからエコバッグを取り出しそこにお返しを詰めていった。
0
あなたにおすすめの小説
最強魔術師の歪んだ初恋
黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。
けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?
義兄様と庭の秘密
結城鹿島
恋愛
もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならない千代子。けれど、心を占めるのは美しい義理の兄のこと。ある日、「いっそ、どこかへ逃げてしまいたい……」と零した千代子に対し、返ってきた言葉は「……そうしたいなら、そうする?」だった。
思い込みの恋
秋月朔夕
恋愛
サッカー部のエースである葉山くんに告白された。けれどこれは罰ゲームでしょう。だって彼の友達二人が植え込みでコッチをニヤニヤしながら見ているのだから。
ムーンライトノベル にも掲載中。
おかげさまでムーンライトノベル では
2020年3月14日、2020年3月15日、日間ランキング1位。
2020年3月18日、週間ランキング1位。
2020年3月19日、週間ランキング1位。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる