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あのピアスは3月プレゼント攻撃の第1弾だった。
引越しが終わった日曜日。
夕食時に那賀さんはやってきた。
手早くできるようにとトマト鍋を高遠さんが用意してくれていた。
「引越し祝い?」
ケーキを持ってきてくれた。
「引越しに祝いも何も…。」
あたしが言うと
「高遠さん~、やよいが冷たい…。」
なんなんだ、この人は。
「あたしに甘えてこないで下さいー。」
キッチンから返事がきた。
とりあえずいただいたケーキは冷蔵庫にいれる。
「最近の那賀さんは別人みたいですね。」
鍋を3人で囲みながら高遠さんが言った。
「やよいの前だから、かな。
ちょっと甘えたくなる。」
鍋のせいじゃなくて頬があつい。
「でも甘えさせてもらえないのはどうしてなんですかね?」
「まだ恥ずかしいんだね、きっと。」
そういうことになるのか…。
食事を終えてデザートにいただいたケーキをたべる。
あたしはベリーのムース。
高遠さんは芋と栗のタルト。
那賀さんはシュークリーム。
「こっちはホワイトデーのお返し。」
高遠さんとあたしにべつべつに渡された。
高遠さんはフランスのメーカーのボディソープとボディミルクのセット。
あたしは。
「那賀さんっ!」
「俺のネクタイピンとお揃いだね。」
あたしがあげたネクタイピンと同じブランドの腕時計。
高遠さんは苦笑するだけだ。
「こんな高そうなの…。」
「そんなに高くないよ。
それよりしっかり使ってくれたら嬉しいな。」
シルバーだろうか、スモークのかかったいろにピンクの文字盤。
ベルトも金属で大人の女性ってイメージだ。
「わかり…ました。」
那賀さんは腕時計を箱から出してあたしの左手を取り、腕時計をつけた。
「どう?気に入ってもらえたかな?」
「はい…。」
「社会人になるんだからこういったきちんとしたものもってたほうがいいと思ったんだ。」
そこまで考えてくれたんだ…。
「ありがとうございます。」
あたしは素直に受け取ることにした。
那賀さんはケーキを食べると早々に帰っていった。
女性だけが住んでいるところに長居するのは失礼だし、ましてややよいが引っ越した当日だからね。
なんて言い残して。
「未だにやよいの趣味がわからないって嘆いてたけど。」
ちらっとあたしの手首を見て高遠さんは口元に笑みを浮かべた。
「どうですか?今の気持ちは。」
「正直、プレゼントをもらい慣れてないので。
不安です…。」
元カレはあたしの誕生日やクリスマス、ホワイトデーなんかにプレゼントをする人じゃなかったと思う。
あたし自身があまり興味がなかったのもあるけど。
あたしがいつもあの男に求めていたのはお金で買えないものだった。
そのことに気がついていなかったのだろうか。
ただ1つ。ふたりでゆっくり過ごす時間が欲しい。それだけだったのに。
「那賀さんなりの愛情表現なんだから素直に受け取ってあげるのが1番よ。」
「愛情表現、ですか?」
「そうでないと…、1日に何回も目にするものは贈らないわよ?」
愛情なのか何なのか、今のあたしにはわからないけど。
引越しが終わった日曜日。
夕食時に那賀さんはやってきた。
手早くできるようにとトマト鍋を高遠さんが用意してくれていた。
「引越し祝い?」
ケーキを持ってきてくれた。
「引越しに祝いも何も…。」
あたしが言うと
「高遠さん~、やよいが冷たい…。」
なんなんだ、この人は。
「あたしに甘えてこないで下さいー。」
キッチンから返事がきた。
とりあえずいただいたケーキは冷蔵庫にいれる。
「最近の那賀さんは別人みたいですね。」
鍋を3人で囲みながら高遠さんが言った。
「やよいの前だから、かな。
ちょっと甘えたくなる。」
鍋のせいじゃなくて頬があつい。
「でも甘えさせてもらえないのはどうしてなんですかね?」
「まだ恥ずかしいんだね、きっと。」
そういうことになるのか…。
食事を終えてデザートにいただいたケーキをたべる。
あたしはベリーのムース。
高遠さんは芋と栗のタルト。
那賀さんはシュークリーム。
「こっちはホワイトデーのお返し。」
高遠さんとあたしにべつべつに渡された。
高遠さんはフランスのメーカーのボディソープとボディミルクのセット。
あたしは。
「那賀さんっ!」
「俺のネクタイピンとお揃いだね。」
あたしがあげたネクタイピンと同じブランドの腕時計。
高遠さんは苦笑するだけだ。
「こんな高そうなの…。」
「そんなに高くないよ。
それよりしっかり使ってくれたら嬉しいな。」
シルバーだろうか、スモークのかかったいろにピンクの文字盤。
ベルトも金属で大人の女性ってイメージだ。
「わかり…ました。」
那賀さんは腕時計を箱から出してあたしの左手を取り、腕時計をつけた。
「どう?気に入ってもらえたかな?」
「はい…。」
「社会人になるんだからこういったきちんとしたものもってたほうがいいと思ったんだ。」
そこまで考えてくれたんだ…。
「ありがとうございます。」
あたしは素直に受け取ることにした。
那賀さんはケーキを食べると早々に帰っていった。
女性だけが住んでいるところに長居するのは失礼だし、ましてややよいが引っ越した当日だからね。
なんて言い残して。
「未だにやよいの趣味がわからないって嘆いてたけど。」
ちらっとあたしの手首を見て高遠さんは口元に笑みを浮かべた。
「どうですか?今の気持ちは。」
「正直、プレゼントをもらい慣れてないので。
不安です…。」
元カレはあたしの誕生日やクリスマス、ホワイトデーなんかにプレゼントをする人じゃなかったと思う。
あたし自身があまり興味がなかったのもあるけど。
あたしがいつもあの男に求めていたのはお金で買えないものだった。
そのことに気がついていなかったのだろうか。
ただ1つ。ふたりでゆっくり過ごす時間が欲しい。それだけだったのに。
「那賀さんなりの愛情表現なんだから素直に受け取ってあげるのが1番よ。」
「愛情表現、ですか?」
「そうでないと…、1日に何回も目にするものは贈らないわよ?」
愛情なのか何なのか、今のあたしにはわからないけど。
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