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あたしの話。
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「っ…やぁっ!」
「あんまり声をあげると外に聞こえるぞ。」
バリトンがあたしの耳に囁かれる。
バーのトイレであたしは男の指にもてあそばれている。
左腕であたしの体を支えるようにだきしめながらその指はへしゃげた胸を揉みしだき、右手はワンピースのスカートの中ショーツの上から敏感なところに触れる。
「腕と胸を縛られただけでこんなにさせるなんて変態だな。」
あたしだってこんなふうになるなんて知らなかった。
「他の男ともこんなことをするのか?」
あたしはふるふると首をふる。
「しなっ…こんなことされたのだって初めてっなの…。」
「はっ…、どうかな。付き合ってからまともに触れてやらなかったから持て余した熱を他の男で冷ましていないとはいいきれないだろ。」
「んぅ…。」
男の指が直接触れてくる。
「現に今日、こんなところで俺と会ったしな。」
あたしは三浦遥香。27歳。
職場の後輩に誘われて参加した合コンで知り合った1つ上の男性とお付き合いしている。
お付き合いらしきデートは大体2週間に一度。車でドライブがてら映画を見たり美術館に行ったりしている。
そんな生活も半年が過ぎたが実はまだキスしかしていない。
今時の高校生でもエッチしてるわ!と思うが
彼は軽いキスしかしてこないのだ。
ひょっとして彼は実はゲイではないかと疑っている。
そんなある週末。
デートの約束はない。
職場の同期会があり、二次会でつれていかれたのはSMバーだった。
あたし達の他には男性3人と女性1人のグループ、数人の個人で来ているお客さんがいた。
あたし達は男女合わせて8人で1つのテーブルを使わせてもらった。
お店の壁にはいろんな道具がかけられている。
「興味のある道具、使ってもらってもいいですよぉ。
今日だったら、キョウさんいるから緊縛教えてくださるんじゃないかしら。」
別のグループがプレイを始めた。
女性がテーブルに四つん這いになって男性達に叩かれている。
「えっ?
見てみたい!」
誰がいい、カウンターに座るスーツ姿の男性がママに呼ばれた。
「初めまして、キョウといいます。」
知的なメガネの男性はそう名乗った。
あたしはこの男の名前を知っている。
各務響也。
半年間あたしに触れてこなかった男だ。
「わぁ、イケメンっ。」
隣に座る夏帆ちゃんがいう。
「簡単なものでいいですか?」
あたしを除くみんなはこくこくうなずく。
「じゃあ、そこの白い花柄のワンピースの方、モデルになっていただきましょうか。」
白い花柄って、あたし?
「ママ、新しい赤いロープを2本下さい。
それから君はブラ、外してきて。」
「えっ?」
「それともここで無理やり服を剥がされて縛られたいか?」
「そ、それだけはっ。」
ふっと笑う。
今迄みせてもらったことのない笑みだ。
「キョウさん、遥香は彼がいるからっ。」
「確かに。
遥香には選ぶ権利がある。
どうする?」
「お願い、します。」
だって、断われない眼をしていた。
彼は恐らくこういう趣味があるからあたしには触れてこなかったのだ。
だとしたら、あたしが歩み寄ればいい。
あたしには知る権利がある。
あたしはトイレでブラを外して戻ってきた。
「遥香、大丈夫?」
あたしはこくりとうなずく。
髪をぐいっと引っ張られた。
男の顔が近づく。
「今から俺のことは御主人様と呼べ。
口ごたえは許さない。」
「はい、御主人様…。」
満足そうな笑みを浮かべてみんなの方を見る。
「では始めましょう。」
あたしに話しかけるのとは違う、穏やかな口調。
「皆様に挨拶を。」
え。
挨拶って、ナニ。
「申し訳ございません、御主人様、どのように挨拶すれはよいか教えてください。」
今はこの人を御主人様と呼ばねばならないのであればこのように尋ねた方がいいのだろうと思って口にした言葉に、主はあたしを見た。
「オマエは今俺がペットにしたばかりだったな。そこから躾が始まるか…。
『これから皆様の為に御主人様に縛っていただくペットの遥香です。よろしくお願いします。』だ。」
「はい、ありがとうございます、御主人様。」
そして7人の方に向き直る。
背中にまわした手に御主人様の手が触れた。
7人の視線があたしに集まる。
不安そうな目も、興味深く見守る目もある。
「これから、皆様の為に御主人様に縛っていただくペットの遥香です。よろしくお願いします。」
言えた。
深く頭を下げる。
「なにぶん飼い始めなので至らぬところもあるかと思いますが、そこはご容赦ください。
遥香、後ろを向いて。」
「はい、御主人様。」
みんなの視線を振り払うようにあたしはみんなに背を向ける。
「今日は後手縛りにしましょう。
これは上半身を拘束してしまうので覚えておくと色々楽しめます。」
言いながらあたしの姿勢を正し、背後にまわした腕の位置を決める。ふと目をカウンターに向けると心配そうなママの視線とぶつかった。
手馴れた様子で背中で重ねた腕に綿ロープがかけられていく。
「っ…。」
「口ごたえはするなといったな?」
な、なにもしてないよ、あたし。
「申し訳ございません。」
「皆様に迷惑をかけるようなことをまたするようであれば後ほど別室できちんとしつけの時間を設けないといけなくなることを肝に銘じておけ。」
「はい、御主人様。」
冷えた空気が流れる。
「あまり強く縛ると血流が悪くなって鬱血してしまいますので指で確認しながら縛っていきます。」
背中で腕を縛った縄が胸の上で1回、胸の下で1回回される。縄が二重になっているので白いワンピースに赤いロープがはっきり見える。
縄が触れ、主の指があたしの体に触れるたびに胸の奥がぎゅっとつかまれるような気分になる。
今迄、誰と付き合った時も感じなかった感覚。
これは何なんだろう。
「まずはこんな感じですね。」
1本目の縄が終わったらしい。
「余った縄はこのように始末します。」
「切らないんですか?」
「そうですね、出来れば切らない方が別の縛り方をする時に使えますのであまり切ることはおすすめしません。」
肩を支えられてくるりとふりむかされた。
「今の前はこんな感じです。」
「三浦…。」
男子が何か言いたげだが、口にはしなかった。
「白い服なので縄が良く映えるでしょう?」
自慢げに主がいう。
ブラをつけていないので胸の形がゆがむのがとてつもなく恥ずかしい。
「さて、仕上げていきます。」
そうしてまた後ろを向かされる。
背中でゴソゴソされるからどうなっているのかはよくわからない。
「最後にこうして胸の下に通した縄にかけていきます。」
ただ服を着たまま縄をかけらているだけなのに、凄く変な気分だ。
まるで人前で犯されているような。
そんな感じ。
もっと、もっとギチギチに縛られて、それでこの人が満足するならばそうされたい。
「できました。いかがでしょうか?」
「遥香の、感想聞きたい。」
あたしが何か言ってもいいのだろうか?
あたしは主の顔を見上げる。
「思うまま答えなさい。」
「初めは御主人様のペットに指名されてどうなるかと思ってましたが、御主人様に丁寧に縛っていただくうちにあたしは御主人様のモノにしていただいたんだって、嬉しくてきもちよ…っ!」
口を塞がれた。
「トランス状態になっているようですので解いて休ませてきます。またのちほど。」
言うとあたしをお姫様抱っこして歩き出す。
「御主人様っ?」
「だまれ。」
「部屋、借ります。」
「初めてのコなんだから…。」
ドアをあけて入っていく主にママが言葉をかけるけど主はママを一瞥し。
「知っている。」
中に入り目の前にあったベッドにあたしを下ろすとドアを閉めた。
鍵がかけられる。
ベッドに転がったあたしをさらにだきあげ、部屋に備え付けられたトイレに連れ込まれた。
「ココになにをしに来た。」
背後から抱きしめられた。
「職場の同期会の二次会です。
っ…あ…。」
「縛られて感じてるのか?」
ワンピースの上から胸を激しく揉まれる。
「縛ってくださったのが御主人様だからっ…。」
「どうかな。他の男に縛られても感じたんじゃないのか?」
「それはっ…。」
そんなの、わからない。
「こっちは、すごいな。」
「っ…やぁっ!」
「あんまり声をあげると外に聞こえるぞ。」
甘く耳に囁く。
指がスカートの中に入ってくる。
太腿を何度かなぞりあげ、敏感な部分をショーツの上からそっと触れる。
「腕と胸を縛られただけでこんなにさせるなんて変態だな。
他の男ともこんなことをするのか?」
あたしはふるふると首をふる。
「しなっ…こんなことされたのだって初めてっなの…。」
「はっ…、どうかな。付き合ってからまともに触れてやらなかったから持て余した熱を他の男で冷ましていないとはいいきれないだろ。」
「んぅ…。」
そんな。
「現に今日、こんなところで俺と会ったしな。」
「か…がみ、さんっ…、もぉ、放して。こんなんじゃ、あたしっ…。」
もうどうしようもなかった。
嫉妬心を露わにして、あたしを思い通りにしようとしながらあたしを理解してくれないなんて。
あたしを抱く手がぎゅっと強くなる。
「放したくないっ。
貴女を放したくない。
誰にも渡したくなくて、でも俺を知られたら逃げられると思って、何もできなかった。
こんな所で会うなんて思ってなくて…。」
ドンドンとドアが蹴られる。
「まだ解いてないの?タオル持ってきたんだけど!」
タオル?
「すまない。」
トイレから出されたあたしはするすると縄を解かれる。
ベッドに座らされて、彼はドアを開ける。
「もう!何してるのよ!キョウは彼女のお友達の相手でもしてて!」
ママに無理やり部屋から追い出され、ママが入ってきた。
「大丈夫?初めてなのに…。初対面の男にギチギチにされて。」
そう言ってママはあたしの腕にホットタオルを当ててくれた。
「大丈夫です。
縛られたのは初めてですけど彼とは初対面じゃないので。」
「?」
「一応、お付き合いしている方なんです。」
「あらあら。
キョウから聞いてた女の子って貴女なの!
合コンで一目惚れしたって。」
え。
一目惚れ?
「確かに合コンで知り合ってのお付き合いですけど…。一目惚れって聞いてないです。」
「じゃあ、内緒の話ね。」
彼はさっき自身で言った通りいわゆるSで、ノーマルなあたしとHするのをためらって、ママに相談していたらしい。
試してみないとわからないと言うママに対して彼は、試して逃げられるのが怖いと言っていたそうだ。
ドアがノックされ、彼がバッグを持ってきた。
「そろそろ帰ろうかと思うんだが。」
「ちゃんとペットが家に帰るまで確認するのが主の仕事でしょう?ブラつけ終わるまで待ってなさい。」
「…。」
彼は黙ってドアを閉めた。
あたしはタオルを外し、ブラをつける。
「遥香ちゃん頑張って。」
「はい。」
バッグを持って部屋から出る。
彼はあたしの同期と和やかに話をしていた。
「先程はありがとうございました。」
あたしは促されて彼の隣に座る。
「ここだけ跡が残ってる。」
あたしの左腕に彼がそっと触れる。
「大丈夫、です。そのうち消えちゃいますから。」
「でもすげえな、清楚系三浦があんな風になるとは思わなかった。」
言われて耳まで赤くなる。
「また見たいなぁ。エロい三浦。」
「申し訳ありませんが、彼女は僕のものですので。」
「えっ?
遥香、付き合って半年の清く正しくの彼がいるよね?」
「…僕のことそんな風に言ってたの?」
「だってっ…、各務さん…。」
キスしかしてくれないなんてここでは言えない。
「三浦遥香さんと半年、その清く正しく付き合っているのが僕なんですよ。
そんなわけで、彼女のエロい顔は僕だけのものですので悪しからず。」
「各務さん?」
「あぁ…ゴメン、恥ずかしかった?」
タクシーを待つ列であたしたちは手を繋いでいた。
「恥ずかしい、けどそうじゃなくて。
今日、初めて触ってくれた…。」
「僕はそういう趣味の人間だからね。
なかなか理解されないから。
だから貴女に触るのはずっとためらっていた。」
「あ、あの。
あたしを貴方のペットにも、して…下さい。」
「……僕についてこられないかもしれないよ?」
「頑張る、からっ。だから…。」
「無理だったらその場できちんと言ってくれる?」
あたしは小さくうなずく。
「じゃあ、電車で帰ろう。
今日は俺の家に来てもらうよ?」
スイッチが、入ってる。
「はい。」
「駅のトイレでショーツ脱いできて。」
あたしたちはタクシーを待つ列から抜け出した。
「あんまり声をあげると外に聞こえるぞ。」
バリトンがあたしの耳に囁かれる。
バーのトイレであたしは男の指にもてあそばれている。
左腕であたしの体を支えるようにだきしめながらその指はへしゃげた胸を揉みしだき、右手はワンピースのスカートの中ショーツの上から敏感なところに触れる。
「腕と胸を縛られただけでこんなにさせるなんて変態だな。」
あたしだってこんなふうになるなんて知らなかった。
「他の男ともこんなことをするのか?」
あたしはふるふると首をふる。
「しなっ…こんなことされたのだって初めてっなの…。」
「はっ…、どうかな。付き合ってからまともに触れてやらなかったから持て余した熱を他の男で冷ましていないとはいいきれないだろ。」
「んぅ…。」
男の指が直接触れてくる。
「現に今日、こんなところで俺と会ったしな。」
あたしは三浦遥香。27歳。
職場の後輩に誘われて参加した合コンで知り合った1つ上の男性とお付き合いしている。
お付き合いらしきデートは大体2週間に一度。車でドライブがてら映画を見たり美術館に行ったりしている。
そんな生活も半年が過ぎたが実はまだキスしかしていない。
今時の高校生でもエッチしてるわ!と思うが
彼は軽いキスしかしてこないのだ。
ひょっとして彼は実はゲイではないかと疑っている。
そんなある週末。
デートの約束はない。
職場の同期会があり、二次会でつれていかれたのはSMバーだった。
あたし達の他には男性3人と女性1人のグループ、数人の個人で来ているお客さんがいた。
あたし達は男女合わせて8人で1つのテーブルを使わせてもらった。
お店の壁にはいろんな道具がかけられている。
「興味のある道具、使ってもらってもいいですよぉ。
今日だったら、キョウさんいるから緊縛教えてくださるんじゃないかしら。」
別のグループがプレイを始めた。
女性がテーブルに四つん這いになって男性達に叩かれている。
「えっ?
見てみたい!」
誰がいい、カウンターに座るスーツ姿の男性がママに呼ばれた。
「初めまして、キョウといいます。」
知的なメガネの男性はそう名乗った。
あたしはこの男の名前を知っている。
各務響也。
半年間あたしに触れてこなかった男だ。
「わぁ、イケメンっ。」
隣に座る夏帆ちゃんがいう。
「簡単なものでいいですか?」
あたしを除くみんなはこくこくうなずく。
「じゃあ、そこの白い花柄のワンピースの方、モデルになっていただきましょうか。」
白い花柄って、あたし?
「ママ、新しい赤いロープを2本下さい。
それから君はブラ、外してきて。」
「えっ?」
「それともここで無理やり服を剥がされて縛られたいか?」
「そ、それだけはっ。」
ふっと笑う。
今迄みせてもらったことのない笑みだ。
「キョウさん、遥香は彼がいるからっ。」
「確かに。
遥香には選ぶ権利がある。
どうする?」
「お願い、します。」
だって、断われない眼をしていた。
彼は恐らくこういう趣味があるからあたしには触れてこなかったのだ。
だとしたら、あたしが歩み寄ればいい。
あたしには知る権利がある。
あたしはトイレでブラを外して戻ってきた。
「遥香、大丈夫?」
あたしはこくりとうなずく。
髪をぐいっと引っ張られた。
男の顔が近づく。
「今から俺のことは御主人様と呼べ。
口ごたえは許さない。」
「はい、御主人様…。」
満足そうな笑みを浮かべてみんなの方を見る。
「では始めましょう。」
あたしに話しかけるのとは違う、穏やかな口調。
「皆様に挨拶を。」
え。
挨拶って、ナニ。
「申し訳ございません、御主人様、どのように挨拶すれはよいか教えてください。」
今はこの人を御主人様と呼ばねばならないのであればこのように尋ねた方がいいのだろうと思って口にした言葉に、主はあたしを見た。
「オマエは今俺がペットにしたばかりだったな。そこから躾が始まるか…。
『これから皆様の為に御主人様に縛っていただくペットの遥香です。よろしくお願いします。』だ。」
「はい、ありがとうございます、御主人様。」
そして7人の方に向き直る。
背中にまわした手に御主人様の手が触れた。
7人の視線があたしに集まる。
不安そうな目も、興味深く見守る目もある。
「これから、皆様の為に御主人様に縛っていただくペットの遥香です。よろしくお願いします。」
言えた。
深く頭を下げる。
「なにぶん飼い始めなので至らぬところもあるかと思いますが、そこはご容赦ください。
遥香、後ろを向いて。」
「はい、御主人様。」
みんなの視線を振り払うようにあたしはみんなに背を向ける。
「今日は後手縛りにしましょう。
これは上半身を拘束してしまうので覚えておくと色々楽しめます。」
言いながらあたしの姿勢を正し、背後にまわした腕の位置を決める。ふと目をカウンターに向けると心配そうなママの視線とぶつかった。
手馴れた様子で背中で重ねた腕に綿ロープがかけられていく。
「っ…。」
「口ごたえはするなといったな?」
な、なにもしてないよ、あたし。
「申し訳ございません。」
「皆様に迷惑をかけるようなことをまたするようであれば後ほど別室できちんとしつけの時間を設けないといけなくなることを肝に銘じておけ。」
「はい、御主人様。」
冷えた空気が流れる。
「あまり強く縛ると血流が悪くなって鬱血してしまいますので指で確認しながら縛っていきます。」
背中で腕を縛った縄が胸の上で1回、胸の下で1回回される。縄が二重になっているので白いワンピースに赤いロープがはっきり見える。
縄が触れ、主の指があたしの体に触れるたびに胸の奥がぎゅっとつかまれるような気分になる。
今迄、誰と付き合った時も感じなかった感覚。
これは何なんだろう。
「まずはこんな感じですね。」
1本目の縄が終わったらしい。
「余った縄はこのように始末します。」
「切らないんですか?」
「そうですね、出来れば切らない方が別の縛り方をする時に使えますのであまり切ることはおすすめしません。」
肩を支えられてくるりとふりむかされた。
「今の前はこんな感じです。」
「三浦…。」
男子が何か言いたげだが、口にはしなかった。
「白い服なので縄が良く映えるでしょう?」
自慢げに主がいう。
ブラをつけていないので胸の形がゆがむのがとてつもなく恥ずかしい。
「さて、仕上げていきます。」
そうしてまた後ろを向かされる。
背中でゴソゴソされるからどうなっているのかはよくわからない。
「最後にこうして胸の下に通した縄にかけていきます。」
ただ服を着たまま縄をかけらているだけなのに、凄く変な気分だ。
まるで人前で犯されているような。
そんな感じ。
もっと、もっとギチギチに縛られて、それでこの人が満足するならばそうされたい。
「できました。いかがでしょうか?」
「遥香の、感想聞きたい。」
あたしが何か言ってもいいのだろうか?
あたしは主の顔を見上げる。
「思うまま答えなさい。」
「初めは御主人様のペットに指名されてどうなるかと思ってましたが、御主人様に丁寧に縛っていただくうちにあたしは御主人様のモノにしていただいたんだって、嬉しくてきもちよ…っ!」
口を塞がれた。
「トランス状態になっているようですので解いて休ませてきます。またのちほど。」
言うとあたしをお姫様抱っこして歩き出す。
「御主人様っ?」
「だまれ。」
「部屋、借ります。」
「初めてのコなんだから…。」
ドアをあけて入っていく主にママが言葉をかけるけど主はママを一瞥し。
「知っている。」
中に入り目の前にあったベッドにあたしを下ろすとドアを閉めた。
鍵がかけられる。
ベッドに転がったあたしをさらにだきあげ、部屋に備え付けられたトイレに連れ込まれた。
「ココになにをしに来た。」
背後から抱きしめられた。
「職場の同期会の二次会です。
っ…あ…。」
「縛られて感じてるのか?」
ワンピースの上から胸を激しく揉まれる。
「縛ってくださったのが御主人様だからっ…。」
「どうかな。他の男に縛られても感じたんじゃないのか?」
「それはっ…。」
そんなの、わからない。
「こっちは、すごいな。」
「っ…やぁっ!」
「あんまり声をあげると外に聞こえるぞ。」
甘く耳に囁く。
指がスカートの中に入ってくる。
太腿を何度かなぞりあげ、敏感な部分をショーツの上からそっと触れる。
「腕と胸を縛られただけでこんなにさせるなんて変態だな。
他の男ともこんなことをするのか?」
あたしはふるふると首をふる。
「しなっ…こんなことされたのだって初めてっなの…。」
「はっ…、どうかな。付き合ってからまともに触れてやらなかったから持て余した熱を他の男で冷ましていないとはいいきれないだろ。」
「んぅ…。」
そんな。
「現に今日、こんなところで俺と会ったしな。」
「か…がみ、さんっ…、もぉ、放して。こんなんじゃ、あたしっ…。」
もうどうしようもなかった。
嫉妬心を露わにして、あたしを思い通りにしようとしながらあたしを理解してくれないなんて。
あたしを抱く手がぎゅっと強くなる。
「放したくないっ。
貴女を放したくない。
誰にも渡したくなくて、でも俺を知られたら逃げられると思って、何もできなかった。
こんな所で会うなんて思ってなくて…。」
ドンドンとドアが蹴られる。
「まだ解いてないの?タオル持ってきたんだけど!」
タオル?
「すまない。」
トイレから出されたあたしはするすると縄を解かれる。
ベッドに座らされて、彼はドアを開ける。
「もう!何してるのよ!キョウは彼女のお友達の相手でもしてて!」
ママに無理やり部屋から追い出され、ママが入ってきた。
「大丈夫?初めてなのに…。初対面の男にギチギチにされて。」
そう言ってママはあたしの腕にホットタオルを当ててくれた。
「大丈夫です。
縛られたのは初めてですけど彼とは初対面じゃないので。」
「?」
「一応、お付き合いしている方なんです。」
「あらあら。
キョウから聞いてた女の子って貴女なの!
合コンで一目惚れしたって。」
え。
一目惚れ?
「確かに合コンで知り合ってのお付き合いですけど…。一目惚れって聞いてないです。」
「じゃあ、内緒の話ね。」
彼はさっき自身で言った通りいわゆるSで、ノーマルなあたしとHするのをためらって、ママに相談していたらしい。
試してみないとわからないと言うママに対して彼は、試して逃げられるのが怖いと言っていたそうだ。
ドアがノックされ、彼がバッグを持ってきた。
「そろそろ帰ろうかと思うんだが。」
「ちゃんとペットが家に帰るまで確認するのが主の仕事でしょう?ブラつけ終わるまで待ってなさい。」
「…。」
彼は黙ってドアを閉めた。
あたしはタオルを外し、ブラをつける。
「遥香ちゃん頑張って。」
「はい。」
バッグを持って部屋から出る。
彼はあたしの同期と和やかに話をしていた。
「先程はありがとうございました。」
あたしは促されて彼の隣に座る。
「ここだけ跡が残ってる。」
あたしの左腕に彼がそっと触れる。
「大丈夫、です。そのうち消えちゃいますから。」
「でもすげえな、清楚系三浦があんな風になるとは思わなかった。」
言われて耳まで赤くなる。
「また見たいなぁ。エロい三浦。」
「申し訳ありませんが、彼女は僕のものですので。」
「えっ?
遥香、付き合って半年の清く正しくの彼がいるよね?」
「…僕のことそんな風に言ってたの?」
「だってっ…、各務さん…。」
キスしかしてくれないなんてここでは言えない。
「三浦遥香さんと半年、その清く正しく付き合っているのが僕なんですよ。
そんなわけで、彼女のエロい顔は僕だけのものですので悪しからず。」
「各務さん?」
「あぁ…ゴメン、恥ずかしかった?」
タクシーを待つ列であたしたちは手を繋いでいた。
「恥ずかしい、けどそうじゃなくて。
今日、初めて触ってくれた…。」
「僕はそういう趣味の人間だからね。
なかなか理解されないから。
だから貴女に触るのはずっとためらっていた。」
「あ、あの。
あたしを貴方のペットにも、して…下さい。」
「……僕についてこられないかもしれないよ?」
「頑張る、からっ。だから…。」
「無理だったらその場できちんと言ってくれる?」
あたしは小さくうなずく。
「じゃあ、電車で帰ろう。
今日は俺の家に来てもらうよ?」
スイッチが、入ってる。
「はい。」
「駅のトイレでショーツ脱いできて。」
あたしたちはタクシーを待つ列から抜け出した。
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