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12月1日
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「おはようございます。」
糊のきいた真っ白の半袖ワンピースに白のストッキング、少しだけヒールのある長時間立ち仕事でも疲れないと評判の白い靴であたしは職場に乗り込んだ。
「おはようございます。」
何人かが声をかける。
誰もあたしのことを見ない。
当然だ。
皆靴は違えど服はこれが制服だから。
篠崎美雪、29才、仕事は病棟看護師。
ホワイトボードを確認して担当の患者さんを確認する。
バインダーに患者さんの名前を書き込み、患者さんの予定を書き込んでいく。
入浴、清拭、洗髪、点滴などなど。
そして8時30分、朝の申し送りが始まる。
申し送りが終われば個々の仕事の時間だ。
まずはバイタルの確認をしながらそれぞれの患者さんへ挨拶。
本日退院予定の患者さんがいるから時間と支払いの確認もある。
時計を見れば11時。
今日の休憩は1なので10時の休憩はなくて11時にお昼、3時に休憩のシフトだ。
「先に失礼します。」
看護師長に声をかけてあたしは職員食堂へ向かった。
職員食堂はカウンターで食べたいものをとって、レジで支払う仕組み。
IDをつかって天引きにすることもできる。
時間が早いせいか人はまばらだ。
炊き込み御飯を普通茶碗大盛り、豚汁、金平レンコン、唐揚げとキャベツを取ってレジ前のプリンを取った。
「篠崎、よく食うな。」
背後から声をかけてきたのは藤田先生だ。
外科、消化器が専門の先生だ。
「後が長いので。」
22才でこの病院に就職したときからの知り合いだ。
もう7年になるのか。
藤田先生がいくつかは知らないが同期就職なのでストレートでもあたしより4才上になる。32才よりは上らしい。
あたしが窓側のカウンターに座ると隣に藤田先生も座ってきた。
職員食堂で顔を合わせると偶に隣で食べようとする。
何度か断ったが変わらないので今は放置している。
「美雪はどうしてそんなに連れないの?」
「悪目立ちしたくないからです。」
「俺と美雪の仲じゃん?」
「月に数回、藤田先生の都合のいい仲ですよね。」
「美雪の都合も考えてるつもりなんだけどな。」
「それはどうも。」
あたしはサッサと食事を終える。
本当は味わって食べたかったプリンも流し込むように食べた。
「今夜、どう?」
立ち上がったあたしの手を藤田先生は掴んでいた。
「生理中です。」
言ってあたしはトレイをもってその場を去った。
藤田先生こと藤田晴翔とはいわゆるセフレの関係だ。
3年前の同期の忘年会の後ヤってしまい、それからのお付き合いになる。
甘いマスクに背も高く、おまけに職業が医者となればモテる。職場では看護師以外に。
病棟に戻り休憩室の奥にあるトイレのような狭い部屋に入る。
見慣れたくすんだポーチからタバコとライターを取り出す。
立て続けに3本吸ってしまった。
「しのっち、ご機嫌ナナメね?」
くすくす笑って言ってきたのは主任の坂井さん。中学生の息子さんがいる。
「食堂で藤田に捕まりました…。」
坂井さんは中学生の息子さんがいるとは思えない肌のツヤがいい。
メイクのせいか若々しく見える。
「藤田先生かあ。気に入られてるよね。」
「お気に入りのオモチャ、ですかね。」
「オモチャ、ねぇ。
あ、そういえば忘年会。」
「忘年会…。」
〆切は今日だったか。
来週の土曜、予定はずばり!
「準夜勤ですので無理ですね。」
「そうだよねー。藤田先生と川島先生と喜多原先生が参加してくれるって言うんで今年は参加率高くて川西さんが場所困ってたよ。」
「幹事ご苦労様ですね…。」
糊のきいた真っ白の半袖ワンピースに白のストッキング、少しだけヒールのある長時間立ち仕事でも疲れないと評判の白い靴であたしは職場に乗り込んだ。
「おはようございます。」
何人かが声をかける。
誰もあたしのことを見ない。
当然だ。
皆靴は違えど服はこれが制服だから。
篠崎美雪、29才、仕事は病棟看護師。
ホワイトボードを確認して担当の患者さんを確認する。
バインダーに患者さんの名前を書き込み、患者さんの予定を書き込んでいく。
入浴、清拭、洗髪、点滴などなど。
そして8時30分、朝の申し送りが始まる。
申し送りが終われば個々の仕事の時間だ。
まずはバイタルの確認をしながらそれぞれの患者さんへ挨拶。
本日退院予定の患者さんがいるから時間と支払いの確認もある。
時計を見れば11時。
今日の休憩は1なので10時の休憩はなくて11時にお昼、3時に休憩のシフトだ。
「先に失礼します。」
看護師長に声をかけてあたしは職員食堂へ向かった。
職員食堂はカウンターで食べたいものをとって、レジで支払う仕組み。
IDをつかって天引きにすることもできる。
時間が早いせいか人はまばらだ。
炊き込み御飯を普通茶碗大盛り、豚汁、金平レンコン、唐揚げとキャベツを取ってレジ前のプリンを取った。
「篠崎、よく食うな。」
背後から声をかけてきたのは藤田先生だ。
外科、消化器が専門の先生だ。
「後が長いので。」
22才でこの病院に就職したときからの知り合いだ。
もう7年になるのか。
藤田先生がいくつかは知らないが同期就職なのでストレートでもあたしより4才上になる。32才よりは上らしい。
あたしが窓側のカウンターに座ると隣に藤田先生も座ってきた。
職員食堂で顔を合わせると偶に隣で食べようとする。
何度か断ったが変わらないので今は放置している。
「美雪はどうしてそんなに連れないの?」
「悪目立ちしたくないからです。」
「俺と美雪の仲じゃん?」
「月に数回、藤田先生の都合のいい仲ですよね。」
「美雪の都合も考えてるつもりなんだけどな。」
「それはどうも。」
あたしはサッサと食事を終える。
本当は味わって食べたかったプリンも流し込むように食べた。
「今夜、どう?」
立ち上がったあたしの手を藤田先生は掴んでいた。
「生理中です。」
言ってあたしはトレイをもってその場を去った。
藤田先生こと藤田晴翔とはいわゆるセフレの関係だ。
3年前の同期の忘年会の後ヤってしまい、それからのお付き合いになる。
甘いマスクに背も高く、おまけに職業が医者となればモテる。職場では看護師以外に。
病棟に戻り休憩室の奥にあるトイレのような狭い部屋に入る。
見慣れたくすんだポーチからタバコとライターを取り出す。
立て続けに3本吸ってしまった。
「しのっち、ご機嫌ナナメね?」
くすくす笑って言ってきたのは主任の坂井さん。中学生の息子さんがいる。
「食堂で藤田に捕まりました…。」
坂井さんは中学生の息子さんがいるとは思えない肌のツヤがいい。
メイクのせいか若々しく見える。
「藤田先生かあ。気に入られてるよね。」
「お気に入りのオモチャ、ですかね。」
「オモチャ、ねぇ。
あ、そういえば忘年会。」
「忘年会…。」
〆切は今日だったか。
来週の土曜、予定はずばり!
「準夜勤ですので無理ですね。」
「そうだよねー。藤田先生と川島先生と喜多原先生が参加してくれるって言うんで今年は参加率高くて川西さんが場所困ってたよ。」
「幹事ご苦労様ですね…。」
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