カウントダウン

梨花

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12月15日

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今日はいい天気だが、よく冷えた朝だ。
「おはようございます。」
7時。
朝の配膳の時間。
「よく眠れましたか?」
「今朝は冷えますね。」
声をかけながら食事を配っていく。
今日は深夜勤務だった。


朝の申し送りを終えてカルテを整理していると喜多原先生が来た。
「あ、篠崎さんっ。」
「おはようございます。」
「おはよう。
明日、暇?」
いきなり言われてあたしはきょとんとした。
「買い物付き合って欲しいの。
従姉妹にクリスマスプレゼント強請られてさー。ランチ奢るから、だめ?」
というか、あたし?
「そりゃ暇ですけど…。
あたしなんかでいいんですか?」
「篠崎さんがいいからお願いしてるの。」
「…わかりました。」
「ありがとう。
じゃあ明日、10時に迎えに行くね。」
そう言って喜多原先生は回診に行った。
「篠崎さん、モテモテだね。」
はっ。
「川島先生…。」
「いやあ、若いっていいねぇ。」
「…何年寄りみたいなこと言ってるんですか。」
「篠崎さん、今度30だよね?」
女性に年齢の話をしてはいけませんとっ…誰かに教えて貰わなかったのだろうか。
「ハイ、ソウデスガ。」
「藤田と喜多原は34、僕は1度別の大学出てから入り直したから36。」
「存じませんでした。」
考えてみればストレートで大学を出て6年、その後研修が2年で、看護大学を出ているあたしとは同時期に就職しても4年は離れているのだ。
川島先生が別の大学を出て入り直したということだけど恐らく理系の大学を卒業して入りなおしたから2年分の単位が免除になったんだろう。
医師になる人にはそういう人もいるとは聞いたことがある。
「あんまり人に話せるものでもないからね。
まあ、大学出て8年、そろそろ年貢の納め時だね。」
「…ハイ?」
言っている意味が解らない。
「来年の3月でここ辞めるの、ワタクシ。」
「えっ?」
「僕にも見合いの話が来ててね。
帰って来いて言われてるんだよ。」
「そう、なんですか…。」
「もう父親も年だしねぇ、嫁連れてこれないなら用意するって。
篠崎さん、俺の嫁になる?」
「お断りします。」
はっきりきっぱり。
「玉の輿だよ?大病院の院長夫人だよ?」
「それは、なりたい人にお願いしてくださいな。そもそもあたしは医者の嫁になりたくないんです。」
「僕を振る理由が好きな人がいるからじゃないんだ?」
「残念ながらそれ以前の問題でしたね。」
あたしは苦笑した。
「それは藤田を振ったのも同じ理由?」
「先生は、何が知りたいんですか?」
質問には返事をせずにあたしは言った。
今の話、どこまでが本当でどこまでがウソなんだろう。
「察しのいい人はこれだからやだねぇ。」
「お褒めに預かり光栄です。」
「褒めてはいないかなあ。
篠崎さんは結婚相手に何を求めているの?」
これが、本題か。
「相手は普通の人がいいですよね。」
「普通?」
「あたしと生活レベルの変わらない普通の人。」
「生活レベル?」
「そうです。」
カルテ整理が終わる。
「では、あたしは帰りますね。
失礼します。」
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