カウントダウン

梨花

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12月25日

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なんだかんだで誕生日当日。
寒い夜中に1人で出勤。
更衣室を出る前に携帯を確認すると晴翔からラインが来ていた。
『仕事がんばれ!』
よし。
がんばる。

世間では三連休ということもあり、安定している患者さんは外泊していたりする。

草木も眠る丑三つ時。
「こんばんは。」
ナースステーションでカルテを書いていると当直ドクターが来た。
「川島先生、こんばんわ。」
「病棟は変わりないですか?」
「はい。」
担当の患者さんがいればカルテを見たり、こっそり様子を見に行くドクターもいるけど、当直ドクターとの会話はこれで終了のはず。
なのだが。
「明日、楽しみにしてますよ。」
「…はい?」
「聞いてませんか?
明日の夜はいつものメンバーで飲みに行くと藤田には話をしたんですが。」
晴翔め…。
あたしの表情で川島先生は察してくれたらしい。
「初めてのクリスマスは2人っきりで過ごしたいのかもしれませんが、そうは問屋がおろさないですよ。」
「明日どこに行くのかご存知なんですね?」
「はい。」
にっこりと川島先生は笑って。
「いい報告を待っています。」


朝。
申し送りを終えて、大急ぎでカルテを書く。
「篠崎さん、何か急ぎ?」
「これから実家に帰るので。
年末年始帰らないので親孝行したいのですが、今夜、飲みに誘われたので実家でゆっくりする時間がなくてぇ。」
話しながらもがしがしカルテを書いていく。
外泊の患者さんがいる分いつもより早く書き終えた。

自分の実家なのでジーンズにオフホワイトのゆったりしたニットとダウンコートだ。
「お疲れ。」
「眠い。」
コンビニのコーヒーとサンドイッチがあった。
「先にカーナビ登録して?
終わったら飲んで食べて寝ていいから。」
実家までは2時間ほどだろうか。
あたしはカーナビに実家を登録し、案内を開始させた。
車が動き出し、あたしはコーヒーとサンドイッチに口をつける。
「そういえば、川島先生に今夜楽しみにしてるっていわれたんですが。」
「あ~。ドタキャンするつもりだったのにぃ。」
「医者がそれでいいのかっ。」
「だって夜勤明けで疲れてるのに実家とんぼ返りとかきつくない?」
「そんなこと言うなら最初からお断りを…。」
「させてもらえなかったんだよねぇ。」
「はあ…。」
川島先生が押し切るって珍しいな。
「仕方ない。美雪を置いて帰るつもりだったけど、友達が誕生日会を張り切って準備していると言って帰るか…。」


「別にいいんじゃないか。」
父は言った。
あっさりしてないか、父。
「お父さんがいいなら私はいいわよ。」
母が父のいいなりなんて珍しい。
「もうお腹すいちゃった。
お昼御飯にするわよ。」
父もお腹が空いていていたのだろうか。
父は無表情だ。
「それでね。
今日は泊まれなくなっちゃった。」
「あら、そう。」
「そうか。」
夫婦仲がよろしいです。

お昼御飯はあたしの好物ばかりだった。
帰ってくるからと母は張り切ったのだろう。
赤飯、空揚げ、茶碗蒸し。
サラダはグリーンサラダとマカロニサラダだが梅干しと玉葱の入ったものだ。

余った空揚げとサラダを貰って帰る。
「ありがとう。」
車の中。
「当たり前のことデショ。」
「当たり前のことかもしれないけど。
でも、口にしないと気持ちは伝わらないと学びましたから。」
「そうだな。
じゃ、どういたしまして、ですね。」
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