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弁護士さんに会いました。
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高橋敬輔。
高校の時に付き合っていた人のお兄さんで何度か会ったことはあった。
一回り年の違うその人は会った時は弁護士の資格は持っていてもまだ見習いだよ、と言っていた。
駅を出て電話を鳴らすとすぐに敬輔さんは出た。
『すぐ行くから待ってて。』
電話を切ってすぐ、肩を叩かれた。
「久しぶり。」
「ご無沙汰しています。」
あたしは頭を下げた。
あたしは事務所に連れて行かれた。
初めて入る弁護士事務所に少し緊張した。
「取って食べるわけじゃないから安心して。」
中に入るといきなり女性に抱きつかれた。
「深和ちゃんっ!」
30代半ばぐらいの可愛らしい感じの人。
知り合い、だったっけ?
「由岐だよ、覚えてない?」
敬輔さんが言ってあたしは思いだした。
初めてデートをした時に連れて行かれたジュエリーショップの店員で敬輔さんの恋人さんだった人だ。
「由岐もいきなり抱きついたら驚くだろう。」
「だって、深和ちゃんが依頼するなんてっ。」
2人の左手の薬指にはお揃いの指輪がひかってた。
「ご結婚されたんですね。」
「うん。」
あたしが事情を説明し、敬輔さんはそれをメモしていく。最後に婚約破棄の証を出すと敬輔さんは苦笑した。
「普通はこんなことしないよ。」
「婚約破棄言われた時に1番に敬輔さんのこと思い出したんです。だったらこういうのがあればいいかと。」
「僕のことより大樹のことを思い出してくれた方が良かったな。」
「結婚しようと思ってた相手とその両親の前で失礼なことは出来ません。」
そういうと敬輔さんはおだやかな笑みを浮かべた。
自宅に戻って実家に婚約破棄されたと伝えた。
親はびっくりしたが、事情を説明すると納得してくれた。
お祝いはまだ誰からもいただいていなかったので親戚には親から連絡してもらうことにした。
かかった費用はレシートやメモを母がスクラップしているのでそれを弁護士さんに渡すことにする。
『弁護士さんに相談したの?』
母は電話口で驚いていた。
「高校の時に付き合っていた高橋くんのお兄さんが弁護士なの。
相手の人の顔、仕事以外で見たくないし、お願いすることにした。」
『ああ、高橋くん。彼は元気かしらね?』
「さあ。そんな話しなかったから」
日曜日は招待状を出した何人かの友人に電話した。
みんな口を揃えて言ったのが『あんな顔だけの男!』だった。
最後に電話したのは幼馴染だった。
『晩飯付き合えよ。』
言われて昨日からまともに御飯を食べていなかったことに気がついた。
高校の時に付き合っていた人のお兄さんで何度か会ったことはあった。
一回り年の違うその人は会った時は弁護士の資格は持っていてもまだ見習いだよ、と言っていた。
駅を出て電話を鳴らすとすぐに敬輔さんは出た。
『すぐ行くから待ってて。』
電話を切ってすぐ、肩を叩かれた。
「久しぶり。」
「ご無沙汰しています。」
あたしは頭を下げた。
あたしは事務所に連れて行かれた。
初めて入る弁護士事務所に少し緊張した。
「取って食べるわけじゃないから安心して。」
中に入るといきなり女性に抱きつかれた。
「深和ちゃんっ!」
30代半ばぐらいの可愛らしい感じの人。
知り合い、だったっけ?
「由岐だよ、覚えてない?」
敬輔さんが言ってあたしは思いだした。
初めてデートをした時に連れて行かれたジュエリーショップの店員で敬輔さんの恋人さんだった人だ。
「由岐もいきなり抱きついたら驚くだろう。」
「だって、深和ちゃんが依頼するなんてっ。」
2人の左手の薬指にはお揃いの指輪がひかってた。
「ご結婚されたんですね。」
「うん。」
あたしが事情を説明し、敬輔さんはそれをメモしていく。最後に婚約破棄の証を出すと敬輔さんは苦笑した。
「普通はこんなことしないよ。」
「婚約破棄言われた時に1番に敬輔さんのこと思い出したんです。だったらこういうのがあればいいかと。」
「僕のことより大樹のことを思い出してくれた方が良かったな。」
「結婚しようと思ってた相手とその両親の前で失礼なことは出来ません。」
そういうと敬輔さんはおだやかな笑みを浮かべた。
自宅に戻って実家に婚約破棄されたと伝えた。
親はびっくりしたが、事情を説明すると納得してくれた。
お祝いはまだ誰からもいただいていなかったので親戚には親から連絡してもらうことにした。
かかった費用はレシートやメモを母がスクラップしているのでそれを弁護士さんに渡すことにする。
『弁護士さんに相談したの?』
母は電話口で驚いていた。
「高校の時に付き合っていた高橋くんのお兄さんが弁護士なの。
相手の人の顔、仕事以外で見たくないし、お願いすることにした。」
『ああ、高橋くん。彼は元気かしらね?』
「さあ。そんな話しなかったから」
日曜日は招待状を出した何人かの友人に電話した。
みんな口を揃えて言ったのが『あんな顔だけの男!』だった。
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