行き倒れを助けたら、追放された王子様でした

6

翌日、今日も元気に街を散策することにした。昨日は海に行ったので、今日は別の場所を選ぶことにしようと思う。


「ラインハルト、どこか行きたいところはあるか？」


俺は彼に尋ねると少し考え込んだ後でこう言った。


「うーん……特に思いつかないな……」


彼はしばらく悩んだ後でこう続けた。


「あ、そうだ！最近できたパンケーキ屋に行ってみたいかな」


なんでも新作のフルーツパンケーキが絶品だとかで、一度は食べてみたいと思っていたらしい。というわけで今日はその店に行ってみることになったのだった。

店に入ると中は女性客で賑わっていた。やはり人気店だけあって並んでいる人も多いようだ。しばらく待っていると俺たちの番がやってきたので注文することにした。


「いらっしゃいませ！ ご注文は何にされますか？」


店員の女性が尋ねてきた。彼女の名前はアレッタといい、この店の看板娘でもあるらしい。可愛らしい笑顔が印象的だ……。

ラインハルトはパンケーキを2つ注文した。すると彼女は笑顔で応じてくれた後、厨房へと戻っていった。


「楽しみだな……」


ラインハルトは目を輝かせながら呟いた。その様子を見ているだけで幸せな気分になれる……。しばらくして注文したパンケーキが届くと、彼は早速一口食べてみた後で幸せそうな顔で頬張っていた。その姿はまるで小動物のようで可愛いらしいと思ったのは俺だけじゃないはずだ……。


「美味しいか？」


俺が尋ねるとラインハルトは大きく頷いて肯定の意を示した後でまた一切れ口に入れたのだった……。それから俺たちは店を出て街を散策した後、家に帰ることにした。


「ただいま」


俺はそう言いながら玄関の扉を開けると中に入った。するとそこにはエプロン姿のラインハルトが立っていた……。彼は少し照れ臭そうにしながらも微笑んでいる。その仕草がとても愛らしくて思わず抱きしめてしまったのだが……それはまた別のお話である……。


「ごちそうさま」


そう呟いてから手を合わせると、ラインハルトも真似するように同じ言葉を呟いた後で食器を片付け始めた。その様子を見ていると胸の奥が温かくなってくるような感覚を覚える。これが幸せというものなのだろうなと思った……。


「ああ、今日も幸せな味がする」


ラインハルトはそう言って笑顔を浮かべた。俺も微笑みながら頷き返すと、彼の頭を撫でてやることにする……。すると彼は気持ち良さそうに目を細めるのだった……。


（今日もかわいいな）


俺は心の中でそう呟きながら食事を続けたのだった……。


「ごちそうさまでした！」


2人で声を揃えて言うと顔を見合わせながら笑い合った後で食器を片付け始める。そしてその後……俺たちは一緒に風呂に入ることにしたのだった……。


「今日もいい湯だな」


俺はそう言いながら湯船に浸かり、ラインハルトもそれに同意するように頷いていた。彼は俺の足の間に座り、背中を俺にもたれかけている状態だ。この体勢が一番落ち着くらしいのだが……俺も彼の体温を感じることができるので好きなのだ……


「ふぅ……」


思わず溜息が漏れてしまうほど気持ちよかった。やはり風呂は最高だ……。するとラインハルトの手が俺の腕に触れてきた。どうしたのかと思ってそちらを見ると、彼は照れ臭そうにしながらもこう言ってきた。


「その……もう少しくっついてもいいか？」


俺は笑顔で頷いてから彼をぎゅっと抱きしめてやった。そうすると彼も嬉しそうに笑いながらこちらに体重を預けてきたので、俺たちはしばらくの間抱き合ったまま湯船に浸かることにしたのだった……。