行き倒れを助けたら、追放された王子様でした

20

翌日、朝起きると既にチビ助は起きていたようでこちらを見ていた。


「おはよう」


そう言うと、チビ助は嬉しそうに鳴きながら手を挙げて挨拶してきた。

そんな様子を見ていた俺は笑みを浮かべながら、朝食の準備をするべく台所に向かったのだった。


（ああ～マジで幸せすぎるわ……）


そんなことを考えながらもテキパキと家事をこなしていく俺であった……


「よしっ！出来た！」


出来上がったばかりのホットケーキを皿に移し替えてテーブルの上に置くと、それを見たチビ助が嬉しそうに駆け寄ってくる。

椅子に座ると同時に手を合わせると、早速食べ始めることにした。一口食べた瞬間に広がる甘い味わいに思わず頰が緩む……そんな俺を見てチビ助も幸せそうな表情を浮かべているように見えたので俺は嬉しくなった！


「美味しいね」


俺が笑顔で言うと、チビ助も嬉しそうに返事をするかのように鳴き声を上げた。

そんな俺達の様子をラインハルトは微笑ましげに見つめていたが、その視線に気づいた俺は恥ずかしくなって頰を染めるのだった……

お昼になると昼食の準備を始めることにした。今日はラインハルトの好物であるハンバーグを作ろうと思っているので材料を切り始める。肉をミンチにする時は包丁を使うのだが、その際に怪我をしないように常に気を付けていた。何故ならチビ助が心配そうな顔をしながらこちらを見ているからだ……


（ふふっ、心配してくれてるのかな？）


そんなことを考えながら作業を進めているとあっという間に完成したのでお皿に移してからテーブルに運ぶことにした。すると匂いに釣られたのかチビ助がトコトコ歩いてきて椅子によじ登るとワクワクした様子でこちらを見つめてきた。その様子が可愛くて思わず笑みが溢れてしまう。


「よし、食べようか！」


俺がそう言うとチビ助は嬉しそうに鳴き声を上げるとスプーンを手に取り食べる準備を始めた。そして一口食べた瞬間に幸せそうな表情を浮かべた後で再びこちらに視線を向けてきたので、俺は微笑みながら頷いた後で料理を食べ始めたのだった……

食事を終えた後、食器を片付けると今度は洗濯物を取り込むことにした。庭に出ると既に干しておいた洗濯物が風に揺れていたので取るのを手伝っていると、不意に背後から声をかけられたので振り向くとそこにはラインハルトの姿があった。彼は微笑みながら言った。


「お疲れ様」


その言葉に俺は笑顔で応えると、一緒に作業をすることにしたのだが……ふと視線を下に向けるとチビ助がこちらをじっと見つめていることに気がついた。


（もしかして手伝ってるつもりなのかな？）


そう思うと微笑ましく思えてきたので頭を撫でてあげると嬉しそうに鳴き声を上げていた。

そんな俺たちのやり取りを見ていたラインハルトも微笑むと言った。


「ふふっ、2人とも仲良しだね」


その言葉に俺は笑みを浮かべながら頷いた後で言った……


「ああ、本当に可愛いよな……この子と一緒にいるだけで心が癒されるよ……」


その言葉を聞いた瞬間、チビ助が嬉しそうに跳び跳ねながらこちらに抱きついてきたので受け止めると抱きしめるようにしてあげた。すると気持ち良さそうな鳴き声を上げるので、愛おしさが込み上げてくる……


（ああ……可愛い♡）


それからしばらくの間、俺たちはイチャイチャしながら部屋の中へと戻っていった……

そして風呂上がりの俺はドライヤーでチビ助の髪を乾かしてあげることにした。最初は嫌がっていたのだが、俺が根気強く続けるうちに気持ち良さそうに目を細めるようになったので嬉しくなった。


「さてと、そろそろ寝ようか？」


俺がそう提案するとチビ助が元気よく返事をした後で俺の膝の上に乗ってきたので抱き上げるとそのまま寝室へと向かった。布団に入るとすぐに寝息を立て始めたチビ助を見ていると、俺も眠くなってきたので眠ることにする……


（ああ……幸せだ）


そう思いながら目を閉じたのだった……